第168話 闘装と魔装の攻撃的手法
「調子は戻ったか?」
「もう完全回復したぞ。一応今日は昨日みたいなことはしないでおくけど」
「今日どころか当分はしてはいけません」
次の日になると頭痛や目眩などの症状はすっかり無くなっていた。ただ、あの二対槍を今日は放つ気には全くなれない。今日にもう一度あれをやると昨日よりも症状が酷くなりそうだ。
まあ、先生から最低は1週間は使用が禁止された。
「それならば調度良い。今日は魔力無しで戦ってみたらどうだ?」
「ああ、そうさせてもらうよ。姉弟子もそれでいい?」
「僕は全然いいよ」
俺がまだ悩んでいることを師匠は分かっているようで、魔力無しで姉弟子と戦うことを進めてくれた。闘装を取得してから姉弟子とは戦ってなかったからちょうどいい機会だ。
「あ、戦う前に攻撃主体の闘装と魔装ってどんな感じなの?」
俺は戦いが始まる前に師匠と先生に闘装と魔装の攻撃的に使用する方法を聞いてみた。
「闘装と魔装を攻撃に使うには自分の体だけでなく、武器にまでそれらを纏わせるのだ。その分少し闘力や魔力を消費し、防御力は下がってしまう」
「ああ、なるほど」
やり方的には俺の闇魔装のようなものか。ただ、俺の闇魔装は武器に纏っても斬撃を放つ以外できないから根本的には違うのだろう。
…というか、普通に武器を使って戦うものもいるんだな。師匠や姉弟子が素手だから獣人は素手で戦うかと勝手に思ってたぞ。
「闘装を纏わせた武器は斬れ味や破壊力が増す」
(無属性の付与魔法でいいな)
「魔装を纏わせた武器にはその属性の効果が追加されます。もちろん、その効果の強さは魔攻で判断されます」
(氷、雷、闇の付与魔法でいいな)
まだ何かあるのかと思ったが、2人はそこから追加で話すことはない。
「えっと、それだけ?」
「そうだぞ」
「そうですね」
まじか…。わざわざ防御力を疎かにしてまでやることではない気がする。そう感じるのは俺が防御力が低く、付与魔法で全く同じ事が出来るからなんだろうな。
ただ、ちょっと気になることはある。
「姉弟子、ちょっと実験して欲しいことがあるんだけど…」
「いいよ!何をすればいい?」
姉弟子には軽く俺の実験に付き合ってもらうことにした。
「ちょっとこの大鎌に触れてみて」
「うん、あぅっ!」
姉弟子に雷付与した大鎌に触れてもらった。ちなみに、いつも見たく水魔装をしてないから電気で痺れるのは手だけで済んでいる。
「えっと…あ、できた」
「…普通は武器に魔装を纏わせるのは苦労するものですよ」
雷魔装を大鎌にも纏わせるのは簡単にできた。普通はやるのに苦労するらしいが、俺が大鎌を使う時は色々と特殊だからな…。
「また触ってくれない?」
「いいよ。あっ」
姉弟子の痛みと軽い痺れが完全に無くなってから雷魔装を纏った大鎌に触れてもらった。
「さっきとどっちが痛かった?」
「最初の方が痛かったよ」
なるほど。スキルレベルによる違いはあると思うが、付与魔法によるダメージの方が大きいか。まあ、それ専用の付与魔法が負けたら駄目だとは思っていたけど。
「雷付与。じゃあもう一度触ってくれる?」
「分かった」
雷魔装と雷付与のどちらもした場合、効果はどのように変わるのか、ここが気になっていたのだ。
「あぅっ!最初と同じくらい痛い」
「…なるほど」
効果は重複してより強力になることは無さそうだ。
「氷付与。もう一度触ってくれない?」
俺は雷魔装を解かず、付与魔法の属性だけを変えてもう一度姉弟子に触ってもらう。
「あっ!冷た!」
「雷は感じた?」
「全く感じなかった」
「ありがとう。これでもう大丈夫だよ」
これで結果がわかった。魔装でしか試していないが、闘装でも多分同じ結果ができる気がする。
付与魔法と魔装を同時にした場合には付与魔法の効果しか出ない。また、付与魔法と魔装なら効果の強さは付与魔法の方が高い。
結論、俺には闘装と魔装を攻撃使う必要は全くない。むしろ、防御が下がり、無駄に闘力や魔力を使う分弱くなる。
「俺はこの道場に来てよかったよ」
「?よく分からんが、そう思ってくれるのはこちらも嬉しいぞ」
防御中心の道場に来てよかったと心の底から思う。無駄なことをせずに済んだな。
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