第158話 魔装取得
「今度は魔装も取得できましたね」
「お、おお…!」
闘装を取得して8日経ち、未だに割れた箇所を即座に修復することに苦戦している中、ついに魔装の取得にも成功した。
「ダメージは無いですね?」
「全く痛くない」
今の俺は全身に雷を纏っている状態なのに、全くといってダメージは無い。
「全身に纏っていますが、雷の魔装なので闘装と違って動けますか?」
「お、動ける!」
雷なので闘装とは違い、姉弟子の水の魔装と同じく全身に纏っているが問題なく動ける。
「特殊な効果があるかは気になりますが、とりあえず着脱する練習をしましょう」
「分かった」
俺の魔装の効果を確かめる前に基本となる着脱の練習をするそうだ。着脱できる前に特殊効果があるのか調べるのは効率が悪いそうだ。何かの拍子に解かれた時に纏うのが遅いと面倒だしな。
ちなみに、今日はもう遅かったのもあり、着脱の練習で今日の修練は終わってしまった。明日は朝から魔装の効果が無いか調べるそうだ。
「恐らく、ヌルヴィスの魔装には特殊効果があると思うから家で試したりするなよ」
「気を付けるよ」
ごく稀にだが、攻撃するような効果を持つ魔装もあるそうなので、家の中で1人で試すようなことは絶対にするなと言われた。
「でもなんで特殊効果があると思うんだ?」
「傾向的に魔法スキルの才が増すごとに特殊効果が付きやすいのだ。特に奇才ならほぼ確実に特殊効果が付くだろう。修練を見ていてわかったが、ヌルヴィスの魔法スキルの3つは奇才だろ?」
「あ、ああ」
ステータスを授かる時の魔法スキルのスキルレベルで魔装に特殊効果が授かる確率に変化があるそうだ。ただ、実際に調べた訳では無いから何となくらしい。特にスキルレベル3である奇才の魔法スキルを授かった者のほとんどが特殊効果を持つそうだ。現に先生と姉弟子がそうであるらしい。
(…それなら奇才をも超えるスキルレベル4で授かった闇魔法はどうなるんだ?)
俺は誰にも聞こえないように心の中でそう呟いた。
「よし、特殊効果を確認するぞ。好きなやつから魔装をやってくれ」
「氷魔装…あっ」
昨日はずっと雷魔装で着脱をしたので、氷魔装から試したのだが、氷魔装を雷魔装のようにすると動けなくなった。
「一旦解いて闘装のようにやってみろ」
「……あっ、できた」
氷魔装は完全な氷のため、闘装のように物理的に硬い。つまり、氷魔装は闘装のような板となっているのだ。ただ、これが特殊効果という訳ではなく、土魔法の魔装も同じようになるそうだ。
だから闘装のように纏うことで普通に動くことが可能になる。
「さて、ラウレーナ。ヌルヴィスを殴ってみろ」
「はあっ!」
今回は姉弟子と師匠も一緒になっている。3人がかりで試してくれるらしい。
「おうっ?!」
急に殴ってきた姉弟子に驚愕したが、姉弟子も加減してくれたようで胸の一部分が割れるだけで俺にダメージは無かった。…しかし、スキルレベルが低いとはいえ、こんな簡単に割られるとはな。
「痛っ!」
「え?」
攻撃したはずの姉弟子が拳を手で押えた。慌てて先生が駆け寄って拳を見ると、拳には軽く霜が降りており、青くなっていた。
「ふんっ!」
「ちょ!?」
それを見た師匠は姉弟子と同じように俺の二の腕を殴ってくる。完全に二の腕部分の氷魔装は砕け散ったが、俺には全くダメージは無い。
「これは氷魔法を食らった時のようなダメージがあるのう。この特殊効果は攻撃した者に氷のダメージを与えるものでよいだろう」
拳に薄く氷が張っている師匠は冷静にそう分析した。その後は先生が2人の拳を回復魔法で治した。
「ちなみに、この特殊効果ってどう?」
「強くはあるが、特に珍しくもない特殊効果だな」
それを聞いて俺は少しがっかりしてしまった。強いのはいいが、できればあまり人には無い珍しい特殊効果が良かったと思ってしまう。
「次も試すぞ。結果は半分分かっておるがな」
「雷魔装」
氷魔装を解除し、雷魔装をする。魔装の種類が変わったのを見ると、姉弟子は殴ってくる。姉弟子には躊躇とかはないのか?
「あ!痛い!ビリッとしたし、痺れる!」
「やはり同じ効果か」
同じ人の同じ才の魔法スキルでは同じ特殊効果になることが多いらしい。だから俺の雷魔装の特殊効果も氷魔装と同じになるだろうと予想できていたそうだ。
いや、それならよく姉弟子は躊躇いなく殴れたな。痺れるのは決まっているようなものなのに。
「さて、次が最後かのう」
「ああ…」
そして、残りは闇魔装を残すのみとなった。3人は魔装を攻撃した時の闇のダメージがどういうものなのかを楽しみにしているようだが、俺は違う。
氷魔法と雷魔法は奇才だが、闇魔法は奇才を超えている。どんなものになるのか期待しながら俺は闇魔装を使った。
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