第152話 魔装とは

「盛り上がっているところ悪いが、修練の続きをするぞ」


「はい」


「あ、はい」


師匠の声がかかった瞬間に姉弟子は顔をキリッとさせて集中モードに入った。その切り替えの早さは凄い。


「まず、ラウレーナは弱点の克服を最優先とし、その次に魔装の防御力増加とより攻撃を当てられるようにするぞ」


「はい」


「そして、ヌルヴィスは闘装と魔装の習得を最優先とし、それと並行して闘力と魔力の節約をできるようにしていくぞ」


「はい」


ここで俺と姉弟子は同じ道場内だとしても別メニューでの修練となる。まあ、これは俺がやるべきことが姉弟子に追い付いていないから仕方がない。


「今日は時間が少ないが、とりあえずラウレーナは久しぶりだし、儂と修練だ」


「分かりました」


「では、ヌルヴィス君は私と魔装の修練をしましょう」


「はい」


こうして俺は夜まで先生と魔装のを修練をすることになった。



「まず、ラウレーナのを見たら分かると思うけど、魔装は闘装と違って自分の持つ魔法の種類で色々変わることになります。まずは私の魔装を見せましょう」


そう言うと、先生は濃いピンク色の魔装を纏う。


「私は回復魔法使いですので、この魔装は回復魔法のものになります」


「そうなのか」


てっきり姉弟子と同じように魔法を使えるが、接近戦で戦う職業かと思っていた。


「意外と回復魔法使いの魔装は厄介ですよ。回復魔法使いがタンクの代わりをしながらアタッカーを回復させ続けられますから。これでも昔は爺さんとのタッグではほぼ負け無しで最強タッグと呼ばれていたんですよ」


「な、なるほど…」


確かにタンクができる魔法使い、しかも回復魔法使いはかなり需要があるな。魔装で攻撃を耐えながら自分を回復もできる。また、普通の魔法使いなら詠唱をしながら魔装で耐えることもできる。

ちなみに、どの道場でも魔法職で魔装を習いに来る者多いそうだ。


「魔装を弱くしましたので、攻撃して割ってみてください」


「はいっ!」


俺は先生にそう言われたので、大鎌で先生の魔装を斬り付ける。魔装を弱くしてくれていたので、ヒビが入ったが、それは逆再生のようにすぐに直った。


「私の魔装は壊れても魔力で自動再生します。ただ、その分普通の闘装よりも耐久は弱いですけど」


「おおっ…」


自動で直る魔装とはかなり強いな。耐久が少し低いのだとしても補ってあまりある効果だ。


「魔装は魔法の種類によって少し特性が変わります。ただ、大体が火魔法だと少し熱い、土魔法だと少し硬いなどの効果だけですね。私やラウレーナは珍しい特殊な方です」


例えば、水魔法の魔装にしてもあんなぶよぶよするのは姉弟子だけらしい。普通は少し斬る攻撃に強い程度だそうだ。また、特殊の回復魔法の魔装にしても魔装している間は身体の傷が徐々に治っていくという違う効果の者もいるそうだ。


「そして、基本的に魔装はどういう効果にしようと選べるものではないです。初めて纏った時に効果は決まるものです」


「え?!」


だから魔装は効果に多少の当たりと外れがあるそうだ。ただ、当たりは少なく、どの魔装でも防御をできることは絶対だそうだ。


「そして、魔装ごとの効果にもよるところはありますが、魔装には弱点となる属性が存在することがあります」


「あっ!」


姉弟子の魔装がまさにそれだ。雷系を弱点としている。

また、基本的に雷魔法の魔装は土系が弱点で、氷魔法の魔装は火系が弱点だそうだ。

ちなみに、闇魔法だが、先生は闇魔法のを取得している者が魔装を使っているのは見たことがないから分からないそうだ。そもそも闇魔法は上級魔法という取得が特に困難な魔法だから仕方がない。


「そして、魔装は同じ属性の魔法には特に強い耐久をしています。これは身体属性強化でも少し出ていますよ」


「あっ!」


確かに俺が闇身体強化をしていた時は自分の闇魔法のダメージが弱かった覚えが何度かある。ただ、魔装の場合はあれよりもさらに強い効果があるそうだ。


「ちなみに、闘装では魔装のような人による効果が無い代わり、どんなものにも強く、弱点はありません」


闘装はただの闘力を使うだけだから人によってほとんど違いは出ないそうだ。だからこそシンプル故に使い手の手腕によって闘装の強さに差が出るらしい。


「とりあえず、今のところでの魔装の説明は以上ですね。これより、実際に魔装の習得ができるようにしていきましょう」


「はい」


説明が終わったので、これからは実践的な内容になった。

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