第139話 それから

「ぅんー!!!」


いつもと変わらぬ6時の鐘の音が鳴る1時間ほど前に目が覚めた。


「あれから勇者達とも関わってないから平和だな」


あの勇者達とのシアの家で遭遇してから1週間が経つが、勇者達から音沙汰は全くない。俺のお願い脅しが効いたのだろう。

まだ懲りずに関わろうもんならこの国から即座に去るつもりだったが、余計な手間が省けた。


「だとしても何だよな……」


正直、この1週間でCランクやC+ランクの魔物を狩っているが、どこか物足りない感じがしている。


「ステータス」


俺は改めてステータスを表示して確認する。


【名前】  ヌルヴィス

【種族】  人族

【年齢】  15

【職業】  不遇魔法剣士

【レベル】 27 (2UP)


【生命力】 422/425  (30UP)

【闘力】  425/425  (30UP)

【魔力】  425/425  (30UP)


【物攻】  213  (16UP)

【魔攻】  213  (16UP)

【防御】  120  (10UP)

【敏捷】  187  (14UP)

【精神】  187  (14UP)


【物理スキル】

・大鎌術Lv.5・身体強化Lv.4・大刀術Lv.4

・無属性魔法Lv.3・体術Lv.3

・闘力操作Lv.2(1UP)


【魔法スキル】

・闇魔法Lv.5・雷魔法Lv.4・氷魔法Lv.4

・身体属性強化Lv.3・付与魔法Lv.2

・魔力操作Lv.2


【他スキル】

・隠蔽Lv.6 ・危険感知Lv.1

・気配感知Lv.1(New)・解体Lv.1





「うーん…」


あんだけ苦労して倒した親子オーガでもレベルは2しか上がっていない。こんな感じなのにCランク帯の魔物を狩ったところで次のレベルアップはいつになれるのか。


「やっぱり問題は防御だよな…」


俺がB-ランクの魔物であっても挑みに行こうと思えないのはオーガと戦って痛感した俺の防御の低さだ。もう少しレベルが上がると俺の防御の数値は攻撃と特攻の半分以下になってしまう。さすがにそれでは低過ぎる。

だからオーガの一撃で俺は死にかけたんだ。きっと攻撃と同じ数値が防御にあったら、片腕の骨が少し折れる程度で済んだはずだ。

今の俺だとBランク帯の魔物から一撃食らっただけで戦闘不能になる可能性があるのだ。

とはいえ、ステータスの数値を今更変えようとしても無駄である。これは職業を授かった時からほぼ変化は無いのだ。


「そうなると、スキルかー」


スキルには防御力を増加させるものもいくつかあるらしい。その1番分かりやすい例があの王都に一緒に来た冒険者が使っていた盾術だ。あれは盾を使うことで攻撃を防いでいるので、防御力を増していると言える。

また、闘力や魔力を使って防御を増す手段もあるそうだが、それは噂程度にしか知らない。


「それに闘力と魔力を使うってのもな…」


普通なら身体強化と魔法にしか闘力と魔力は使わない。だが、俺は無属性魔法や身体属性強化、付与魔法なとで闘力と魔力を他の人よりも余分に使っている。だからここからさらに闘力と魔力で防御力をアップさせようとすると、戦闘可能時間がガクッと減ってしまう。


「簡単なのは仲間を作ることだけど……」


簡単なのは俺のできない盾役を仲間にやってもらう事だ。そうすれば俺が新たに何か取得する必要も無い。しかし、勇者なんかの酷いのを見たあとだとその気も失せる。足でまといが増えて欲しくは無い。


「とりあえずはこのままレベルを上げるしかないか」


行き詰まった感が出てしまったが、まだ村を出て1年も経っていない。ここは焦らず安全にレベルを上げるしかないのかもしれないな。

特に今は急いで何かやりたいことがないので、今のルーティンを続けるとする。




「お届け物です」


「ありがとう」


それからさらに1週間が経つと、宿の前に立っていた者に何か手渡された。もちろん、それは見知らぬ人からの贈り物では無い。さすがに急に知らない人から何か渡されたら警戒する。しかし、今回はよく見ていたシアの家に居た門番からの手渡しだった。


「…本当にきたよ」


自分の部屋に入ってから贈り物を確認すると、それは2つのマジックポーチだった。その場で受け取り拒否をされないためにわざわざ門番による手渡しにしてきたのか。そこまでするならもう受け取った方がそれぞれの両親のためかもしれない。

…という建前で受け取っておく。普通にこのマジックポーチはかなり助かる。


「容量は……」


小さめの方の容量は俺の防具と大刀とポーション類で半分近く埋まるくらいだ。ここには戦闘中で使う武器やポーションを入れておけば良いだろう。


「問題は…」


問題となるのはもう1つの今まで使っていたよりも大きいマジックポーチだ。軽く容量を探ってみたが、どれくらい大きいか分からない。軽く前のマジックポーチの3倍以上はありそうだ。大きな魔物が狩れたらこっちに入れよう。

俺はそれからも変わらずCランク帯の魔物を狩る毎日を過ごしていた訳だが、突然転機が訪れた。

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