第73話 1人反省会

「でも、反省点も多いな」


結果的には完勝と言ってもいいが、オークをいや…Cランクを相手にする課題は見えてきた。


「まず、そもそも【攻撃】【魔攻】が足りない」


耐久力が高いオークだったというのもあるが、何度も攻撃しないと倒せなかった。Dランクまではほぼ一撃で倒せていたのにだ。


「まあ、普通はパーティで戦うからそこは問題じゃないんだよな…」


パーティなら1人で攻撃するわけじゃないので、平均が今の俺よりも攻撃力が低くてもオーク2体に勝てるパーティもいるだろう。ただ、俺は1人なので急に多くオークが来ても対処できるように火力は増したい。


「ステータス」



【名前】  ヌルヴィス

【種族】  人族

【年齢】  15

【職業】  不遇魔法剣士

【レベル】 18 (3UP)


【生命力】 284/305  (45UP)

【闘力】  196/305  (45UP)

【魔力】  143/305  (45UP)


【物攻】  149  (24UP)

【魔攻】  149  (24UP)

【防御】  80  (15UP)

【敏捷】  131  (21UP)

【精神】  131  (21UP)


【物理スキル】

・大鎌術Lv.5・身体強化Lv.4・大刀術Lv.3

・無属性魔法Lv.3・体術Lv.2


【魔法スキル】

・闇魔法Lv.5・雷魔法Lv.4・氷魔法Lv.4

・身体属性強化Lv.3・付与魔法Lv.1・魔力操作Lv.1


【他スキル】

・隠蔽Lv.5・解体Lv.1



「やっぱり根本となるのはレベル不足だな」


俺は自分のステータスを見てそう呟く。ちなみに、今の戦闘でレベルがまた1つ上がっていた。危険は伴うが、レベル上げにはオークが良いのかもしれない。

ちなみに、火力だけなら魔力と闘力を大量に使えばどうにかなりはする。ただ、そうすると、すぐに魔力と闘力が無くなって無力になってしまう。だから基本的に1人でCランクを相手に安定するにはステータスが足りない。



「大鎌の斬れ味も悪いかもしれない」


俺は数年間を共にした相棒である大鎌を見てそう呟く。もちろん、俺の腕が良くないのもあるとは思うが、オークの腹の途中で大鎌が引っかかるように止まるとは思わなかった。

この大鎌はまだ大鎌を作ったことがないルイ父さんが数日かけて作ってくれたものだ。もちろん、その事には強く感謝しているが、これが業物であるかと聞かれたら首を横に振らざるを得ない。それはルイ父さんも承知している事だ。だから、王都に来た時には最高の武器を渡すと言われているのだ。


「今日にでも武器屋に渡して研いでもらうか」


その場しのぎではあるが、研いで貰った方が良いだろう。最後に研いでもらったのはルイ父さん達が村に来た時だ。その時からもう1年ほど経っているし、魔物も最近かなりの数を斬ったしな。


「今日は…帰るか」


魔力ポーションと闘力ポーションを飲めばもう1組のオークは狩れそうだが、そうすると日暮前に街に帰れなくなる。そうなると、大鎌を研いでもらえない。それに、今日が初のCランク帯の魔物との戦闘だったので、良い出来で終わりたい。


俺はまず、討伐証明の耳を取り、魔法を食らわせた傷オークを解体し、魔法は使わず倒した新オークはそのままマジックポーチに入れる。傷オークは下手に売って魔法の痕跡を見つけられても困るので売らず、新オークをそのまま1体売ろう。闇の付与魔法なら痕跡は残らないよな?

売らない傷オークは自分で食べよう。オークもCランクの魔物もまだ食べたことがない。一体どんな味がするのだろうか?



「何とか日暮れ前に街に着いたな」


帰りは道を分かっているので行きよりも随分早く移動することができた。時刻はまだ16時くらいだろう。俺はまずはギルドに向かった。



「あの…オークを狩って来たんですが」


俺はいつもよりも混んでいるギルドの受付でギルドカードを見せながら小声で恐る恐る聞いた。この受付の方は俺にあの地図をくれた人なのでギルド長からある程度話は聞いているだろう。しかし、Eランクの俺が受けられないCランク常設依頼の報酬までくれるとかは話していなかった。


「討伐証明をお出しください」


しかし、受付はさも当然のようにそう話し出す。俺はその堂々とした対応につられてオークの耳を渡す。


「2体で大銀貨2枚です」


「おお…」


やはり、Cランクともなるので依頼料も跳ね上がるな。


「私以外では報酬は貰えないのでもし、報酬が欲しかったら私のところに来てください」


「はい」


大銀貨を渡しながら小声でそう言われた。俺はそれの返事し、報酬を受け取ると、解体場に向かった。



「これの解体をお願いします」


「おお!オークまんま1体か!それに魔法による傷も無い!これは高くなるぞ!」


通常、防御力の高く、遅いオークは遠距離からの魔法でボロボロになった状態で持ち込まれるらしい。だから斬り傷だけのここまでの状態の良いのは珍しいらしい。


「今日中に解体しておくから、また明日来てくれ!」


「あ、1つ聞きたいことが!」


俺は解体師達に大鎌を研ぐのに良い場所を聞いた。解体には刃物を使う。もちろん、その刃物も使えば切れ味が落ちるので研がなければならない。つまり、解体師こそ、刃物を研ぐのに優秀な場所を知っているということになる!…と予想している。



「あー!それならあそこが……」


解体師達は快く研師という刃物を研ぐ専門家の場所を教えてくれた。その研師は愛想は悪いが、腕は本物らしい。

ちなみに、解体師達がこんなに快く情報を教えてくれるのは何でも、かなり多く、さらに綺麗な魔物を持ち込む俺を上客として認識しているかららしい。どうやら、解体師の給料は歩合制のようだ。


その後は解体師御用達の研師のところに大鎌を持っていった。その場所は大通りではなく、裏の方にあったので、教えて貰えなかったら一生訪れなかっただろう。

そこに入ると、店主?はいたが、まるで相手にされないような対応だったので、解体師達からの紹介で来たと言った。こう言えば少しは対応は変わるはずと解体師達からも言われていた。

そう言うと、研師は顔をこちらに向け、研いで欲しい武器を渡せと言ってきた。素直に大鎌を渡すと、少し観察し、次の日の夕方に取りに来てくれと言われて帰らされた。


武器も無いので明日は急にオフになってしまった。

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