第41話 レベルアップとエンカウント

「お、おぉ…」


狩りは今日で4回目だ。狩りは1週間に2、3回なので、もう狩りを初めて1週間以上が経っている。連続で何日も狩りに行ってもボアは食べきれないから毎日は狩りに行かないそうだ。まあ、週2、3回でも俺達家族だけではボアの肉は食べきれないから干し肉にして保存が効くようにしたり、近所と物々交換をしている。


ちょうど、不意打ちでボアに魔法を当てて弱ったところを大鎌で斬り殺したところだった。俺は体の奥から力が湧き出る感覚がした。


「その様子だとレベルが上がったみたいだな」


「これがレベルアップ…」


この感覚はレベルが上がった時の感覚らしい。俺は周りを警戒して他に魔物が居ないのを確認してからステータスを開いた。



【名前】  ヌルヴィス

【種族】  人族

【年齢】  13

【職業】  不遇魔法剣士

【レベル】 2 (1UP)


【生命力】 65/65  (15UP)

【闘力】  53/65  (15UP)

【魔力】  55/65  (15UP)


【物攻】  21  (8UP)

【魔攻】  21  (8UP)

【防御】  15  (5UP)

【敏捷】  19  (7UP)

【精神】  19  (7UP)


【物理スキル】

・大鎌術Lv.5(1UP)・身体強化Lv.3・大刀術Lv.3

・無属性魔法Lv.2・体術Lv.2(1UP)


【魔法スキル】

・闇魔法Lv.4・雷魔法Lv.3・氷魔法Lv.3

・身体属性強化Lv.2・付与魔法Lv.1

・魔力操作Lv.1(New)


【他スキル】

・隠蔽Lv.5(1UP)




「おお!」


初めてスキル欄と年齢以外の場所が大きく変わったステータスを見て思わず声が漏れた。


「特別なことがない限り、レベルアップで上がる数値は同じだからな」


「なるほど」


1レベルで上がるステータス数値は毎回ほとんど一緒らしい。ただ、時々急激に上がることもあるらしいが、その謎は解明されていないらしい。


「ってことは…俺の防御はかなり低くなるのか」


母さんから算数は習っているので計算はできる。今はまだそこまで違いは無いが、この先何十レベルも上がった時、俺の防御の数値は他の数値と比べてかなり小さいだろう。


「誰よりも多くの数値を持ってるやつが何を言ってんだ。合計値で計算したら同じレベルの相手になら誰にも負けんぞ」


「まあ、そうだけどさ」


防御は防具でカバーできるから優先度はそこまで高くないから別にいいけどさ。ないものねだりくらいしてもいいでしょ。


「そら、解体を早くしないと次の獲物を探す時間が無くなるぞ」


「あっ!」


俺は急いで解体に取り掛かった。まだ解体のスキルが持っていない俺は手際は悪い。ただ、それでも解体のスキルが手に入れられるように解体を頑張っている。ちなみに、俺は大鎌が1番やりやすかったから大鎌で解体している。大刀が手に入ったら大鎌とどっちがやりやすいかぜひ試したいもんだ。



「よし、じゃあ次を探すぞ」


「うん」


俺は血だらけの手を布で拭いてから父さんの後を付いて行く。こういう時に魔法職なら必ず持っている生活魔法が使えれば布だけでは落とせない血なまぐささも落とせるんだけどな。こう痒いところに手が届かない感じが《不遇》たる所以なのかな?




「ちょっと止まれ」


「っ?!」


父さんがいつになく真剣に俺にそう言ってくる。そして、父さんはそう言うと、自分の腰に装備している剣を握る。

父さんが何に警戒しているかはすぐに分かった。視界の先に他の人間がいるのだ。その人間は俺よりも少し背が高い男の2人組で両者とも抜いたままの剣を持ちながら歩いている。



「恐らく駆け出しの冒険者だろう」


父さんはよく観察してからそう言い、少し緊張を解いた。格好をよく見ると、装備は腕、胸、足などの大きい部位に皮の装備をしているだけで俺よりも不格好に見える。



「この辺はボアやゴブリンが狩れるから近くの都市から冒険者がやってくることがある」


「なるほど」


どうやら、あれは冒険者なのだそうだ。

ちなみに、父さんが駆け出しと判断した理由は装備と動きと雰囲気だそうだ。


「ヌルはこういう森や洞窟とかで人が居る可能性があるところであまり武器は抜いたままにするなよ。余計なトラブルに繋がる」


「わかった」


父さんが彼らを強く警戒した理由もそれにあるらしい。2人が武器を抜いているからこちらに攻撃する意思があるのかと警戒したそうだ。

そのためにも、突然現れた敵に即座に対応できるようにすぐに武器を取り出せるようにしておいた方がいいらしい。その点、俺の大鎌は背負った状態から柄を握ってすぐに振り下ろせるから優れものだ。さすがはルイ父さんの作品だ。



「下手に関わっても面倒だ。少し音を出しながら離れるぞ」


「うん」


父さんはわざとらしく草むらで音を出しながら彼らに背中を向けて離れる。もちろん、俺もそれに付いて行く。わざと音を出すのは向こうからも離れさせることで下手に再びエンカウントしないためだそうだ。

音でこちらに気が付いたのか、後ろで声が聞こえた気がした。しかし、こちらに向かってくる感じではなかったので無視した。

正直、この森で冒険者に会ったので少し話しをしたかった気持ちはあったのだが、挙動不審だったのでやめておいた方がいいだろう。

それからも冒険者を見つけることはもちろん、先に見つけられることもあったが、特に関わることなくお互い無言で離れていった。無用なトラブルを避けるために知らない相手と森など出くわしても関わらないのは基本のようだ。

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