第23話 スキルの強さ

「はあ…はあ……くそっ…」


結局、体術のスキルレベルが上がっても父さんに攻撃を掠らせることすらできなかった。惜しかったのも最初に不意を付いた時だけだった。


「レベルによるステータス差があるから攻撃が当たらないのはしょうがないぞ。まあ、同じレベルになったとしたらまず俺が負けていそうだけどな!」


それほどレベルによるステータスの増加は強さに関係してくるそうだ。


「なら、スキルレベルを上げるよりもレベルを上げた方が良くない?」


今のスキルでも父さんと同じレベルになったら父さんよりも強いならもうスキルレベルを上げるよりもレベルを上げた方がいい気がする。


「いや、そんなことは無いぞ。もし、ヌルの大鎌術がレベル8か9くらいになったら今のステータスでも俺に勝てると思うぞ」


「まじで!?」


俺はそれを聞いてかなり驚いた。ステータスの差は何十倍もあるのに、スキルレベルが8か9になったら父さんに勝てるとは思っていなかった。

ちなみに、スキルレベル5で名人、スキルレベル7で達人、スキルレベル9で超人とも言われるらしい。また、スキルレベル10になった者は歴史上存在しないとされているそうだ。


「まあ、ヌルが何をしようとここを去るまでの4年ちょっとでそこまでスキルレベルを上げることはできないけどな」


スキルレベルを上げるのはレベルを上げていくほど難しく、時間がかかるらしい。だから、冒険者になるまでの4年と少しで2レベルも上げれればかなり凄い方らしい。だからこそ、ステータスを授かる時のスキルレベルは大事になるそうだ。


「スキルによって成長速度って変わるの?」


「それはもちろん職業毎に変わるぞ」


スキルレベルの上がる速度はその職業によって変わるそうだ。

例えば、剣聖と剣士だと、剣聖の方が圧倒的に剣術系のスキルレベルは上がりやすい。

また、戦士という様々な武器の扱えるような職業と剣に特化した剣士では、剣士の方が剣術系のスキルレベルは上がりやすいらしい。

さらに、特訓次第では剣士などが槍術などの他の武器を扱うスキルを取得できるそうだが、スキルレベルの上がる速度は剣の方が早く、他の武器では遅いらしい。だからわざわざかなりの努力をしてまで職業とは関係ない武器を扱うスキルを取得することはほとんどないそうだ。



「あれ?てことは俺の不遇魔法剣士って…」


「かなり上がりにくいと思うぞ。だから体術のレベルが5ヶ月程度で上がったのには驚いたぞ。まあ、その分次のレベルになるまでが長いかもしれないけどな!」


俺の職業は武器だけではなく、魔法まで扱える。つまり、スキルの範囲はどの職業よりも広いから特化していないということでスキルレベルが上がるのは遅いのかもしれない。


「でも、ヌルなら前代未聞のスキルレベル10を達成してくれると俺は思っていぞ」


「っ!」


授かった時からレベル4というアドバンテージを上手く使えればレベル10も夢では無いらしい。



「まあ、それは置いておいて、ヌルが11歳になったら次は身体強化を使っていくぞ」


「おお!ついに!」


ついに、後一月ちょっとから身体強化を使っていくそうだ。


「ああ、体術もレベル2になったし、もう身体の動かし方も分かっているからな。ただ、少しずつ使っていくからな。使う時にも言うが、いきなり全力で使うなよ」


「わかったよ」


身体強化は強くもあるそうだが、強くかけ過ぎると身体に負担がかかってむしろ逆効果らしい。


「なら、身体強化になれたら私も知らない身体属性強化も使ってみましょうか」


「ほんと!?」


日が暮れ始めてから少し父さんと話し過ぎていたようで母さんが家からやってきた。そして、少し前から俺達の会話が聞いていたようでそう言う。


「多分、身体属性強化は身体強化を闘力じゃなくて、魔力でやった感じだから身体強化に慣れたら大丈夫だと思うわ」


「よしっ!」


11歳になったら身体強化、そして、身体強化に慣れたら身体属性強化を行うことになった。その2つを使えば、まだ使っていないスキルは無属性魔法と付与魔法のみになるな。


「そんなことよりもご飯ができていますよ」


「ああ、ヌル帰るぞ」


「うん!」


そして、俺達は家に帰ってご飯を食べた。

それからは11歳になるのは今か今かと待ちながら特訓に取り組んだ。そして、ついにその時はやってくる。

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