第16話 種族と硬貨
「今日の午前は勉強をしましょう」
「うえ…」
今日は父さんが朝から狩りをするため、朝は勉強、そして昼から魔法の特訓、最後に夜は両親の経験話をしてくれるらしい。
「まず、おさらいだけど、人間の種族は何種類でどの種族が居るかわかる?」
「4種類で人族と獣人族と小人族と森人族」
「正解ね」
人間と呼ばれる意思疎通が取れるステータスを授かる種族はその4種族居ると教わった。ただ、呼ぶ時は族を抜かして人や獣人と言ったり、ドワーフやエルフとも言う。
「それじゃあ、その種族が人の国にどのくらいの割合でいるかも覚える?」
「確か…人間が5割で獣人とドワーフが2割、エルフが1割だっけ?」
「合ってるわね」
人間の国なのでもちろん人間が1番多いが、それでも他の種族達もそれなりの数が居るそうだ。ちなみに、これが獣人の国に行くと、獣人と人間の割合がひっくり返ったりする。
「それでその種族達の物理職と魔法職のステータス割合もわかる?」
「人間とドワーフが半分ずつで、獣人の6、7割が物理職で逆にエルフは8割魔法職だっけ?」
「よく覚えてるわね」
獣人とエルフは授かる職業に偏りがあるため、少ない方の職業はその種族の中ではむしろ当たりとされているらしい。
ちなみに、男女ごとでの物理職と魔法職の割合だと、男が6:4、女が4:6で男は物理職の方が少し多く、女は魔法職の方が少し多いらしい。
「でもね、まだ教えてなかったけどもう1種族居るとされてるのよ」
「え!?…ん?居るとされてる?」
まだ教わっていないもう1種族居るということにまず驚いたが、その後すぐに居るとされているという言葉が気になった。
「世間一般に現れることがないからあくまで噂よ。もしかすると、ヌルのように隠蔽なんかを使って紛れてるかもしれないけど」
「あ、その手もあるのか」
見た目にそこまで違いがなければ、俺がやったようにステータスを偽装すれば種族を誤魔化すこともできるかもしれない。
「その種族の名前は魔人族よ」
「魔人族…」
「その噂程度でしか伝わっていない本当に居るかどうかも分からない魔人族をヌルに話したのには理由があるわ。その理由は魔人族は物理職と魔法職の両方を持っているという話があるわ」
「え!?」
なんと、魔人族のステータスは物理職と魔法職の2つを持っていると言われているらしい。
「だからヌルは魔人族と間違われることがあるかもしれないから話したわ。あまり覚えておく必要は無いけど、もしもの時のために頭の片隅に入れておいてね」
「わかった」
母さんの言われなくても、衝撃的過ぎて忘れることはできないだろう。もし、魔人族が居るのだとしたらいつか会ってみたいものだ。
「じゃあ、次はお金のおさらいね。これは何?」
母さんは種族の話を終わりにして、次の勉強に移って実際にお金を取りだしてそう言う。
「これは銅貨だよね。よくこれで串焼き買ってるからこれはわかるよ」
母さんが出した銅の硬貨で月に一度やってくる屋台で串焼きを買っているからよく知っている。
ちょうどこれ1枚で串焼き1本買える。
「それが分かるなら大丈夫そうだね」
母さんはそう言うと、また別の種類の硬貨を取り出して並べ始めた。
「順番に種類は言えるかしら?」
「鉄貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨」
順番に並べられた硬貨は左から順番にそうなっていた。
「うん。これは右の硬貨になる度に価値が10倍になっていくのよ」
「なるほど…」
逆に言うと、左にいくと、1/10となるため、鉄貨10枚で串焼きが買える値段になるらしい。
ちなみに、どの屋台などの店でも最低でも銅貨1枚の値段で販売するので、鉄貨を使う場面は全くと言っていいほどないらしい。
「えっと…だから…金貨だと串焼きが1万本食べれるの!?」
「ま、まあ…そうなるわね」
母さんは俺の言葉に苦笑いをしながらそう答える。まさか、金貨を串焼きで換算するとは…と呟いている。
「私は持っていないけど、金貨のさらに右側に大金貨、その更に次に黒貨っていうのもあるわ。冒険者として活躍すれば手にする機会があるかもしれないわね」
なんと、金貨以降も同じように大金貨、黒貨と続くらしい。母さんも持っていないそんな大金をもしかすると、俺が手に入れる事が出来るかもしれないのか!ますます冒険者になるのが楽しみになった。
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