第8話 目覚めた後
「どこだ?ここは・・・」
大和の目が覚めると、そこは見知らぬ病室だった。
「俺は・・・どうなったんだ?死んだのか?・・・いや、違うか。めちゃくちゃ身体が痛てぇ・・・」
激痛に顔を
その時、ベッド脇に誰かがいるのに気がついた。
しっかりと見ると、それは如月だった。
如月は、ベッド脇に突っ伏して寝ていた。
「如月?なんでこんな所に・・・そうだ・・・確か、わけわかんねぇ奴らに如月が襲われてて・・・助けたんだった!」
「・・・んっ・・・ん・・・はっ!?大和?身体は大丈夫!?」
「っ!?ばっ!?近けぇ!?」
大和の独り言が大きかったせいか、如月は撥ね起きた。
詰め寄って来る如月にタジタジな大和。
「良いから答えなさい!身体は大丈夫なの!?」
「あ、ああ。大丈夫・・・かはわかんねぇけど、生きては、いる。」
「・・・良かった・・・」
ホッとしている如月に、おずおずと大和が続ける。
「あの・・・如月さん?ちょっと・・・距離が近い気が・・・それに、大和って・・・」
「っ!?」
ボッと火がついた様に顔を赤くし、離れる如月。
数瞬間を置き、その後ビシッと大和に指を突きつけた。
「良い!?私があれだけ逃げろって言ったのに、あなたは逃げなかった!だから、きつく言わないと駄目だと思ったの!!『くん』呼びじゃ弱いからこれから呼び捨てにするから!!」
大和は困惑した。
それと呼び捨てに何の関係があるのか、わからなかったからだ。
「いや・・・その・・・別にそれは良いんだが・・・」
「良いなら良いでしょ!?細かいのは男らしく無いわよ!!」
「ぐっ・・・わかったよ。呼び捨てでも、君呼びでも、名前でも、好きに呼べ。」
「えっ!?・・・じゃあ、
「・・・好きに呼べ。」
「そ、そう。じゃあ、これからは健流って呼ぶわね!」
「ああ、分かった。それで、如月、ここは一体どこ・・・」
「待ちなさい!」
「はい?」
「なんで、私が名前呼びなのに、あなたが名字呼びなのよ!!」
「えっ・・・そう言われても・・・俺、女子を下の名前で呼んだことなんてねぇから・・・」
「ホントッ!?」
「だから近けぇって!!」
また詰め寄って来る如月。
その表情は、何故か嬉しそうだ。
如月の近さに仰け反る大和。
そんな大和を見て、しまった!と言う顔をして、身体を離す如月。
「あ・・・コホン!じゃ、じゃあ、私の事は下の名前で呼びなさい!」
「・・・あ〜・・・下の名前なんだっけ?」
「・・・なんですって?」
大和を睨みつける如月。
その眼力に大和は息を飲む。
「い、いや、ほらっ俺って女子を名前呼びするつもりなんて、これっぽっちも無かったからさ!だから意識して無くて、覚えて無かったんだよ!うん!」
大和が覚えて無いのは、実は、自己紹介の時に適当に聞いていたからだった。
しかし、今それを言えば命に関わると、本能的に理解し、誤魔化したのだった。
「・・・そう。なら仕方がない・・・わね。良い?もう忘れちゃ駄目よ?私の名前は
「・・・わかったよ・・・姫乃。」
「っ!!」
またしても真っ赤になる姫乃。
大和は首を傾げる。
「お前こそ身体は大丈夫なのか?顔真っ赤だけど、熱でもあるんじゃねぇの?刺されてたっぽいし・・・ってそうだ!大丈夫なのか?」
そんな心配そうな健流を見て、姫乃は落ち着き、ニコリと笑う。
「大丈夫よ。熱も無いし、刺された所はもう塞がってるわ。」
「塞がってる?そんなわけ・・・」
「その・・・た、健流!聞いて?今どのような状態なのか、何があったのか、何が起こっているのか、その全てを説明してあげる。と、言っても、それは別の人がするんだけどね。」
ちょっと照れながら名前を呼ぶ姫乃に、ドキッとする健流。
「わ、わかった。じゃあ、その説明の人を呼んで来て・・・」
「それには及ばないよ。」
「「!?」」
突然の第三者の声に驚く健流と姫乃。
声がした方向を見ると、そこには金髪ロングの小学生位の子供と、黒いスーツを来たショートカットの群青色の髪の女性がいた。
「いや〜・・・まさかあの我らが誇るアルテミスが、こんな青春真っ只中みたいな会話をしているとはね。驚いて声がかけられなかったよ!」
「(こいつ・・・いつから聞いてたんだ?てゆーか、いつからいた?)」
「もう!長!からかわないで下さい!そんなんじゃありません!!」
「(長?この小学生が?)」
そこで、大和は、もう一度金髪の少女を見る。
とても顔立ちが良く、赤い瞳が綺麗ではあるが、どこから見ても、大和には小学生にしか見えない。
「やあ、はじめまして、大和健流くん。ようこそ異能組織『エデン』へ。」
その少女の言葉に健流は固まった。
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