第3話 とあるお爺さんの様子
「今年ももうこんな季節か.....」
1人寂しそうに爺さんが呟きながらやってきた。毎年ここに来て、いつも同じ願いを書いていく爺さんだ。
「もうお前もお婆さんになる歳だな。孫も小学生になりおった。」
今年も慈愛に満ちた様子で、1人寂しく短冊を見つめている。
この爺さん、いつからここにきているのだったろうか。たしかあれはーーー。
「今年はなんて書こうかしらねぇ。」
朗らかな女性が隣の男性に話しかけている。お揃いの指輪をしているから、おそらく夫婦なのだろう。
「こんなもの、適当に書けばいいじゃないか。」
「でも1年に一度の行事なのだから大事にしたいじゃない。」
急かす夫に対して、おっとりしながらも自分の意見は伝えるあたり、長年の付き合いを感じる。
「年に一度とは言え、毎年やるだろう。どうせ来年も来るんだ。なんだっていいじゃないか。」
「そうねぇ。あの子たちも大きくなって、2人だけの生活ですからねぇ。」
「ふふふ。じゃあこう書きましょう。」
幸せそうに老夫婦は帰っていった。
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『来年もあなたと一緒にいられますように』
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