第3話 穏やかな時間



 故郷を放り出す事になった点について思う所はあるが、私は元々旅人だったため、土地に対する情は薄い。


 旅の中継地点としてネビュラに寄った際、愚王に気に入られてそのまま王宮に入ってしまったため、国民とのふれあいもほとんどなかった。


 だから、いまいち本気で彼等を助けようという気になれなかったのかもしれない。


 自分の身を、命を危険にさらしてまで守れるかというと、首を縦には触れないだろう。







 そんな中。

 レンブランタに保護されていた私は、その国の王子と急接近する事になった。


 他の者と旅の話をしていたら、興味をそそられてしまったのだとか。


 子度の頃、病弱だったその王子は、外の世界に出る機会があまりなかった。


 その影響があって、好奇心を満たしてくれるだろう私に目をつけたのだろう。


 話してみると、意外と馬があったので、そのまま親しくさせてもらっている。


 一日の会話量は愚王以上。


 一緒に笑いあうなんて、愚王とはした事がなかった。


 穏やかな時間は私の心を少しだけ温めてくれた。


 そんな風に誰かと交流を持つ事がすくなかったので、戸惑う事もある。


 だが、嫌な気持ちにはならなかった。


 しかし、愚王のいる国は、いよいよ混迷を極めているらしい。


 多くの国民達が苦しんでいるのだとか。


 以前は何も感じなかったのに、私は今さらながらに罪悪感を感じるようになった。


 だから、愚王討伐をかかげはじめたレンブランタの王にある提案をしたのだ。


 私が手紙を出して、挑発して、相手の思考を誘導すると。


 王は了承してくれた。


 

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