第9話 「神の使命」の物語

 「今の日本」の他にアナザーストーリーがいくらでもある。

「今の日本」から脱却し、「今の地球世界」という物語もある。

「これからの日本」という物語もある。

 新しい街づくり、SDGs、子ども保育教育成長支援、DX、カーボンゼロ、グローバルネットワーキング、新興国の支援、交流、、、。世界に羽ばたくアスリートや未来モンスターを育み、応援するというのもある。


 「物語創作」という物語もある。

日本が衰退を始めたと言われながらも、いまだに世界をリードしている分野がある。一つは自動車産業、もう一つは漫画世界だ。

漫画世界は江戸時代の浮世絵を出発点とした、デフォルメと単純化と文字入れを特徴とした二次元大衆美術表現だ。かつてエコールドパリとして集まった世界中の芸術家に日本の浮世絵は激しいインパクトを与えた。そしてその後のアール・ヌーヴォーの下敷きにもなった。

 大衆に親近感を与え、共感を与えることができる高度な様式美の二次元表現は、やがて漫画や劇画、アニメとなり、今日まで着実に世界で発展し、支持され、普及し、単なるコミックではないポジションを占めている。

 世界のあちこちで名も無い市井の人が、日本には行ったこともなくても日本アニメを教材に勉強したり、それをきっかけにして独学したりして学んだ滑らかな日本語を話したりする。パリがコロナ禍を脱却し、規制緩和による大型劇場再開記念の映写会を開催するに当たり、その作品に日本の長編アニメ「鬼滅の刃」を選んだりしている。それらの背景には、漫画文化の普遍的価値があるのだろうと思う。

 つまり日本流の物語表現が世界中に評価され、浸透しているのである。その漫画世界の表現も、これからの情報とディジタル技術の革命的進化に対しては今後様々に発展していくことになるだろう。

「超越自然」が「自分という意識」であり、その行為がひたすら物語創りだとするならば、その物語創りそのものに職業的に関われる人たちは大変ハッピーなことだ。

 漫画は画像表現、文字、効果、文章を総合し、最近は実写と言われる映画やドラマの下敷きになることも多くなったし、音楽のイメージビジュアルとしても頻繁に採用される時代になってきた。

 物語創作において、これまで個別に発展してきた様々なジャンルは、今後その垣根が取り払われ、融合したり、分裂したり、新しい姿に変わったりしていくことになるかもしれない。なぜならそれはエネルギー体の基本的特徴なのだ。宇宙の素粒子には4つの力が働いていると言われている。人間はそれを理解し、活用し人工太陽すら創る能力を持っている。物語創作でもそれは可能かもしれないと思う。そこには爆発的なエネルギーの解放が伴う。

 かつて「芸術は爆発だ!」と言った芸術家がいた。多分それは本当だ。

 既に世界では、大勢の観客が取り囲むステージの上で、激しい音楽を背景に、巨大な3次元絵画を実演パフォーマンスで描くコンテストまで行われているらしい。そこで日本人の若い女性が優勝したという報道がなされていた。その女性は長年売れないアイドルだったらしい。象徴的な出来事だ。

漫画世界もやがて超越漫画世界に発展していくのだろう。

 

 これから急速にブレークすると思われるのは「自分物語」の創作だ。

これだけディジタルツールとSNSなどの利用システムや創作サイトが発達すると、誰もが自分の物語を創れるようになる。作品としても、行為行動としても、それを創るリアルの自分としても、その全部の物語の創作が可能だ。それを軸に様々な「集団物語」の発生も考えられる。もちろんそれは国境をアッサリ超えて「地球世界物語」の一部を為したりするかもしれない。

 表現手段は活字、文章、絵、画像、音声、動画、音楽などに限らない。

行動、生き方、存在の在りようも大きな表現手段になる。

 廃れた地方の観光地で街の再生の為にSDGs活動を一生懸命普及させる活動をしたり、ペン回し大会で世界大会に出たり、公園や街頭で大道芸人をやるのも自分物語だ。

 アスリートの世界を自分の為に楽しむ人が増えてるのもいい表現行動だ。

オリンピックなどで世界の頂点を目指すことは、フィジカルなハンディを持つ日本人にとってはかなり過酷な試練と言われ続けてきた。島国国民の内向的な性格も禍することが多かった。かつては重圧に押しつぶされて実力が発揮出来ない日本人アスリートの悲劇的な光景を見ることが珍しくなかった。しかし現代の若い世代はあっさりとそれを乗り越えているように思える。志すアスリートの好きな道を極めるという自分の物語が初めからしっかり出来ていて、結果的に過酷な試練を自分の為に「楽しむ」と表現することが出来ている。日本の為とか家族や会社や国民の期待に応える為というような自分のものではない物語に左右されないしっかりした個人が 確立している様子が伺える。頂点を極めて泣くうれし涙も、頂点が極められなくて流す悔し涙も爽やかに感じる。 

 社会的虐待を受けている今の子供たちに、学童保育で一生懸命寄り沿って応援している名も無い保育職員たちもみんな自分物語を創っている。保身とパフォーマンスばかりの政治家や官僚、医療業界幹部、無責任な煽り報道に終始しているマスコミなど相手にせず、黙々と自分の信念で新型コロナ患者を引き受けてる街の開業医もいる。


 新しい「物語」の可能性は無限大だ。


 神は人間に100年の命と「超越自然」というスーパーパワーを与えられた。

ただのプルプルエネルギーの霞なのに、そのユラユラした姿を通して無限の物語を紡ぐことが出来るのだ。

 それはもしかしたら神が与えた使命(Mission)なのかもしれない。なぜならそれは正と負で紡ぐ愉しくも一方でシンドイ仕事でもあるからだ。しかし、シンドイから逃げる、やめるというのでは「犬のクソ」になってしまう。

 人間は毎日鼓動と呼吸を繰り返して生きている。とりあえずそれだけでも生きていける。

その上で無限の物語を紡ぐことが出来るのだ。

ならば紡いでみよう。

使命に向かって歩いて行こう。

Step by Step


人間は人間を愉しんでの人間だ。

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