その後の話 sideA
ピー。
けたたましい音が鳴り響く。それは気づくと三重奏を奏でていた。
「ご臨終です」
医師の言葉に身体中から力が抜ける。床に座り込んだ。
「できる限りの手は尽くしましたが…」
私は首を振る。
「最期まで手を尽くしてくださって、ありがとうございました」
震える声で、相手に届いているかもわからないが、頭を下げた。横たわる3人は皆痩せ細ってあちこちに痛々しい傷がある。しかし皆穏やかな顔だ。やはりあの女に親権を渡さなければよかった…。今更後悔しても遅い。3人は戻ってこない。不倫した奴に親権を渡すなんて間違っている。そんなの、私もわかっていた。きっと子供が酷い扱いをされるのも、どことなくわかっていた。けれど、止められなかった。男1人で3人を育てるなんて、考えると余計何も言えなかった。
「本当に、すまなかった…」
病院にはすすり泣き謝罪する男の声が冷たく響いていた。
父さん。俺たちはあなたに感謝してる。真っ先に異変に気付いて通報してくれたのも父さんだった。もっとたくさん話したかった。じゃあな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます