05-04-阿吽の呼吸ごっこ

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《レベルアップ》

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藤間透

LV3/5(↑1) ☆転生数0 EXP1/21

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▼──HP12/12(↑1)

基本HP11×1.1=12.1

▼──SP15/15(↑1)

基本SP11×1.1=12.1

【SPLV2】×1.2

【技力LV1】×1.1

▼──MP13/13(↑1)

基本MP11×1.1=12.1

【MPLV1】×1.1

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足柄山沁子

LV3/5(↑1) ☆転生数0 EXP1/21

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▼──HP9/9(↑1)

基本HP7.7×1.1=8.4

【HPLV1】×1.1

▼──SP21/21(↑2)

基本SP16.5×1.1=18.1

【SPLV2】×1.2

▼──MP9/9(↑1)

基本MP8.8×1.1=9.6

【MPLV1】×1.1

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灯里伶奈

LV4/5(↑1) ☆転生数0 EXP10/28

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▼──HP10/10(↑1)

基本HP8.4×1.1=9.3

【HPLV1】×1.1

▼──SP7/7(↑0)

基本SP7.2×1.1=7.9

▼──MP39/39(↑4)

基本MP20.5×1.1=22.6

黄昏の賢者トワイライト・フォースLV1】×1.2

【MPLV2】×1.2

【魔力LV2】×1.2

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コボたろう(マイナーコボルト)

LV3/5(↑1) ☆転生数0 EXP2/9

スキルスロット数2→3(↑1)

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▼──HP18/18(↑2)

基本HP16.5×1.1=18.1

▼──SP12/12(↑1)

基本SP11×1.1=12.1

▼──MP2/2(↑0)

基本MP2.2×1.1=2.4

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 20カッパー、コボルトの槍2本、エペ草2枚、そしてライフハーブを持ったままステータスモノリスに触れ、俺たちは無事レベルアップを果たした。


「はわぁ……灯里さんMPすっごいですねぇ……」

「あはは……私、これしか取り柄ないから」


 灯里のステータスを初めて見たけど、最大MP39ってすごいよな。【黄昏の賢者トワイライト・フォース】ってユニークスキル、LV1でMPが1.2倍になるのか。それも相まって半端なくMPが多い。めちゃくちゃ羨ましい。

 これだけあれば、召喚も呪いも使い放題だ。県内有数の進学校、そのクラストップの成績だっていうのも関係してんのかな。


「いつもぶっ放してる火矢とかって消費MPいくつなんだ?」

「6だよ。いまはこの杖があるから5だけど。治癒はMP7とSP2かな」


「うお、結構……っていうか思ったより全然消費大きいのな。ガンガン撃ってるから3とか4だと思ってたわ」

「うん。でも、モンスターが居ないところで休憩させてもらってるから大丈夫だよ」


 マジかよ。消費MP6って俺の場合、魔法二回でヘロヘロじゃねえか。最大MPが増えるとある程度自然回復力も上昇するってリディアが言ってたけど、灯里からすれば6とか5のMPなんてすぐ回復しちまうのか?


 しかしまあ俺はともかく、今回のレベルアップでコボたろうのHPが2上昇したのはありがたいな。たった2? 馬鹿言え、16から18の2はでかいだろ。


 ……と、そんななか、部屋のドアがノックされた。


《コボたろうが【槍LV1】【戦闘LV1】【攻撃LV1】をセット》


 コボたろうが警戒の構えをとり、扉へ槍を構える。さっそくみっつのスキルをセットしているところは可愛いが、少し警戒しすぎなんだよなあ……。



「邪魔するよ」


 唐紅のポニーテールが遠慮なく部屋に入ってくる。この安宿、とまり木の翡翠亭の女将、エリーゼだ。

 コボたろうは構えた槍を【コボルトボックスLV1】に仕舞い、警戒を解く。


 ……ちなみに俺をかばうように前に出たコボたろうを見ても、女将は切れ長の眼をちらりと流しただけで、なんの動揺もない。コボたろうが召喚モンスターだからだろうか。


 いや、なんだろう。

 たぶんこの女将、相当強い。

 べつに筋肉がもりもりなわけではなく、多少若く見える奥さんって感じだ。ちょっとヤンキーぽいというか、元レディースみたいな雰囲気はあるけど。

 でも、たとえコボたろうが奇をてらって槍を繰り出しても、吹き飛ぶのはコボたろうのほうだと切れ長の眼が言っている……そんな気がする。


「なんかさ、宿の前に革袋を担いだ女の子がふたりいるんだけどさ。──知り合い?」


 窓に近づこうとする俺たちをコボたろうが手で制し、外を覗き込んだ。


「がう……がう」


 振り返って二度吠えるコボたろう。


 くっ……! 誰と誰だ、と名前を口にしているのだろうが、いかんせんコボたろうと俺では言語の壁みたいなものがある。

 しかしコボたろうは教えてくれている。女子ふたりの名前を。

 召喚士として、理解してやりたい。


 俺の周りに居る女性なんて、アッシマーと灯里を除けば、リディアとココナくらいしかいない。 


 しかしリディアは革袋を持たない。なんなら武器すら持たない。街中まちなかでは自分のアイテムボックスに仕舞っているから。それ以前にリディアはもうここの住人だし、ココナなんて女将の娘だ。女将が俺たちのほうへやってくることはない。


「……もしかして、高木と鈴原じゃねえの?」

「がうがうっ♪」


 コボたろうの顔がほころんで、俺に正解だと教えてくれる。よっしゃあああああぁぁああっ!


「そのおふたりしかありえないですよぅ」


 俺のガッツポーズにアッシマーが悪意のない声で水を差した。くそっ、べつに阿吽あうんの呼吸ごっこしたっていいだろ。


「えっ……どうしたのかな」

「灯里、行ってやれよ。どう考えてもお前に用事だろ」


 灯里は俺に頷いて、ぱたぱたと部屋を出ていった。


 窓からこっそり眼下に目をやる。

 やがて宿の入り口から灯里が姿を現すと、昼前の喧騒のなか、鈴原はぺこぺこと、高木は両手をあわせて、おそらくはごめんなさいのポーズを灯里に送っていた。

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