神様転生〜再び神様になったので、チートを駆使して悪役令嬢を溺愛します〜

音城 宙

第1話 プロローグ

燃えるように熱い。

心が擦り切れるほど叫んでいる。

ドキドキと胸が高鳴る。

奪いたい。彼女は僕の唯一だ。

傷つけるなど許さない。

知らないはずなのに、開けてはいけないはずなのに。

僕は、この感情の名前を再びつけるために。


ー覚醒したー





第一話 プロローグ

「まって下さいよう、緋水様!」

知らない女の人の声でぱっちりと目が覚める。

雨宮財閥の一人息子である僕に媚を売ったり、誘惑してくる人間は多い。声の主もその一人かと認識した僕はいつものように追い返そうとして、気づく。

、、、僕は、だれ?あなたも誰?

いや、そもそも此処ってどこだ?なぜか暖かくて懐かしい、海みたいな、、、。

顔を動かしてあたりを確認すると、どこまでも白い空間が視界に映る。

最近こっそり読んだラノベの、神様と出会う場所にすごく似てるなあ、と、不思議と僕は落ち着いて考えていた。こういうことは一度や二度じゃない。とりあえず知らない人に話しかけられても誘拐犯の可能性が高いから気をつけろって言われてるし、この状況や足音一つしないこの女性のことからみるにすでに誘拐されている気がする。

誰に言われ続けていたのかはもう思い出せないけれど、、、。

女性の声は幻聴だったと思い込もう。

キコエテナイ、キコエナイ。

「思い込もうとか言っている時点で聞こえてるじゃないですかぁ!?

しかも誘拐犯扱い!いつも私を踏んでパシっていた緋水様はどこへいってしまわれたのですかー!?」

、、、、、、はい?

DO・GE・ZA。それは土下座とも言われる、我が国において最上級の謝意や感謝を表す行動である。それはときに相手を戸惑わせ、自分を被害者にして罪を被せることもできる究極の心の極意である。

、、、ふざけた説明みたいなのをしてしまったけれど、それぐらい僕は混乱している。

いきなり土下座をされた。なぜかは知らない。知りたくない。こんなことされたら頭を久しぶりに踏みつけたく、、、んん?久しぶりに?

なんかこの女性のせいで、頭がグラグラする。何かが、元々僕にあった何かが溢れてきそうな、、、。

<皆、誘拐された先でなぜか知らない女性に目の前で「なんでいつもみたいに踏まないの!?」とか言われている、この状況は一体何なの?僕の頭がおかしくなった?>

しかしこんなときでも状況整理は必須である。絶えず僕を襲う頭痛に顔をしかめながら、脳内に語りかけた。瞬間、この世で一番綺麗な金色が舞う。大切な何かが失われていく光景が、フラッシュバックする。なんなんだ、今のは、、、!?

「、、、ッ!」今はそんなことより彼らと話さなないと、、、。

僕の身体には三人の同居人がいる。生まれたときから一緒の皆は、それぞれ個性があり、必要な情報を僕に集めて届けてくれる頼もしい味方だ。はるか昔の時から共に人生を過ごしている友人の気がする彼らに僕が皆に助けをもとめていると、同居人の一人である脳その1が感想を告げた。

<ヒスイ、ヤバいぜこいつ。ーーー真性のドMだ。逃げるしかない!!あとヒスイ、いつも言ってるが俺は脳その1じゃなくてグルコースっていう素敵な名前がーーー>

<僕こそいつも言ってるけれどその名前絶対イジメだと思う。いやある意味褒めてるかもだけど。そしてその案には賛成だ。よし、逃げよう。準備も終わったし。>

「ちょっ、これ解いてーーー!こんな縛り方じゃ痛くもな、、、あ、意外と痛くて嬉しい!!」

<変態だな>

「ああ、変態だね」

あいも変わらず白い床に、懐に仕舞っていたロープでがんじがらめにしてやる。

これも僕が生まれつき使えた力で、どんな物でもいくらでも取り出しができる。

大抵の人間はここで痛みのせいで気絶するのだが、、、この女性は喜んでいた。

しかも、いきなり、叫びだした。

「もうッ!あなたは雨宮財閥の嫡男で、前世はこの世界の創造神で、私達神位権をもつ部下五人と一緒に世界と彼女を見守ってきたじゃない!彼女を一番愛していたのはあんたでしょうがいいかげん目ェさませーーーーい!!!」

変人の称号もあげるしかないかなぁ、と、思った。

でも、すぐにそんなことは考えられなくなる。女性が叫んだ内容と、忘れていたことを、女性が、輪廻を司る元部下ーーー女神アリスフィリアが脳にながしこんできたから。

、、、なんで忘れていたんだろう。

ーーーーーー「ひすい?」

「グッ!?」

<お、おい!?大丈夫か!>

頭に記憶の映像が流れ込んできてる、、、!?

アリスフィリアはドジでこんな繊細なことできるはずが、、、!?

「おいこらー」

女神は無視してさらなる頭痛と混雑する脳で、なんとか脳その一に返事を返そうとする。けれど。

「だ、だいじょうぶ、、、」

ーーーこの子を忘れていたなんて、、、!

そして、僕は本当のことを、思い出した。

「違うよ。ヒスイっていうのは魔煌語で緋水っていうんだよ」

「ひ、緋水、、、?」

ーーー見覚えのある子だなと思った。会ったこともないはずだった。

ーーーでも、可愛い。綺麗な金色の髪が艶々キラキラしてる。

ーーーああ、そうだ。

エミリアは昔から可愛らしかった。宝石のような青い瞳をよく見たくて顔を近づけたら、頬を真っ赤にして照れてしまって。シロツメクサの花冠を上手に作れて、僕の姿をを見つけたら真っ先に僕のところへ走ってきて。道中、僕のことが誰にも見つからないように、メイドさんに見守られていることに気づかず、壁際をかに歩きで真面目な顔でゆっくり歩いていた。ふふ、あのときのエミリアはとても愛らしかったなぁ。

「うん。よく言えました。それが僕の真名だよ!、、、エミリア。」

「う?なあに?」

ーーーでも。悲しい。悔しい。

ーーー心臓を掴まれているみたいに、苦しい。

あの時、嫌な予感がした時点でその場に残ればよかった。

でも、過去は、変えられない。

「僕のことは絶対秘密にして。誰にも話してはいけないよ。、、、でも」

「もし。、、、もし、どうしても助けてほしいときは僕の名を呼んで。お願い。」

ーーーダメだよ。今ここを離れたら、、、!

「おねがい?、、、わかった!私とヒスイの秘密なのね!」

「ん、えらいね。僕の唯一。、、、愛しい子。」

「ゆいいつ?」

「うん。、、、僕は君だけの。君は僕だけのものだから」

「きゃっ」

ーーーえ?

「いやー、まさか緋水様がエミリアちゃんを愛し子に定めていたなんてね!部下の私でも気づきませんでしたよう」

ーーーうるさいなあ。誰を愛し子に定めようと勝手でしょ、アリスフィリア?

エミリアはとても可愛いんだから。それに思い出を見ている時に入ってこないでよ。

しかもなにさ、「きゃっ」って?

「やっと全てを思い出しましたか。このポンコツ上司ー。」

ーーーうん。思いだしたよ、、、、すべてを。

「でもぅ、エミリアちゃんは彼女は現在見た目年齢は緋水様と近くなっていますし、緋水様にぴったりですがーーー」

ーーーなに?最高神である僕の愛し子はエミリアだって神託を下したよね?

まだ問題があるの?

「ですですー。本当に人間は救えないですよねー。エミリアちゃん、緋水様の愛し子のフレイア子爵令嬢を階段から突き落とし、未遂だが殺そうとしたため、緋水様に反逆の意志を示したとかで教皇の息子と婚約者の第一王子に衆人環視の中婚約破棄されてますよ。子爵令嬢が嵌めたせいで」

「は、、、?」

その時、緋水の身体から殺気が溢れ出した。濃厚で、死の匂いに満ちた純粋な殺気。

魔力を持たない常人は、少し触れただけで寿命が十年は削られるだろう。

「過去にロリコンに誘拐されたときも先を越されて助けられなかったですもんねー。エミリアちゃんが可愛そうだなーーーグエッ」

「なんでそれを早く言わない!!?」

「ま、まって下さいよう!そんなに揺すられたら昼食吐いちゃう、、、」

そんな殺気に冷や汗をかきながら、アリスフィリアは揺さぶってくる緋水に恨みのこもった眼差しをむけている。

「吐かないで飲み込んで!そして部下を全員集めて!!今すぐに王子の所に殴り込みに行くから早く!あと僕の頼んでおいた家柄も地位も全てがエミリアにふさわしい立場を取っといてあるんだよね!!!?あと場所は!?」

「他の部下にはすでに連絡して待機してもらってますー。エミリアちゃんにふさわしい立場は、3百年前に密かに存在させておいた影の公爵家当主ですよー。そして、なんと場所は緋水様が創った世界位第四位のアルテミアのガーネリアン王国王城ホールですー」

矢継ぎ早にされる質問に、ため息をはいてアリスフィリアはこう答えた。

「問題なし」と。

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