第10話



重大なミスを犯してしまった夏樹は家に帰るとすぐさま氷緒に電話した。


『もしもし夏樹? どうしたの……?』

「氷緒……! 僕のことなんで好きになったのか教えて……!」

『黙秘権を行使するのはあり?』

「もちろんなしだよ」

『うぅ……でも夏樹は教えてくれたんだもんね……

それにしてもこんなに恥ずかしかったんだ……。』


自分がこの状況から逃げることはできないと悟った氷緒はとうとう諦めて語り始めた。


『1回しか言わないからね……

私も6月の終わりくらいから夏樹のこと好きなんだなって自覚し始めた。実は今まで好きな人ができたことなくて告白されても全部振ってたんだ。でもいつの間にか気づいたら夏樹のこと考えてたり、明確にきっかけがあって好きになったんじゃないんだけど……こんな感じでもいい?』

「……ありがとう……。」

『そっちが照れたら私余計恥ずかしいんだけど!?』

「ごめんってば……あ、話変わるんだけどさ今度の日曜日お買い物デート行かない?」

『いく! あ、そろそろごはんできるみたいだから切るね。バイバイ!』

「うん! じゃあまた詳細は連絡するよ! バイバイ」


こうして2人の通話は終了した。





✳︎✳︎✳︎





side氷緒


はわわわわ……服はどうしよう……髪型夏樹はどれがいいんだろう……

それにしてもデートかぁ。へへへ……楽しみだなぁ。


もしかしたらデートの最後に陰でこっそりキ、キスされたり……

「きゃあ〜〜〜〜!」

「うるさい氷緒!」

お母さんが何か言っているけどそんなことはどうでもいい。今は日曜日に待っている夏樹とのお買い物デートに完全に浮き足立っていた。だって楽しみだもん……付き合ってからデートらしいデートはこれが初めてなんだよ? しかもちゃんと夏樹も『お買い物デート』って言ってくれたし! はぁ……好きな人と2人で遊びに行くのってこんなに楽しみなんだ……。


「よし! 早速当日のシュミレーション&服装、髪型選びに入ろう!」


この後シュミレーションをして1人悶え叫んで何回もお母さんに怒られたことはまた別のお話。




side夏樹


「よっしゃああああああ!」

「近所迷惑! 静かにしなさい!」

お母さんが下の階から怒っているがそんなことは関係ない。僕はついに氷緒と休日にお買い物デートに行くことになったのだ。もう完全に僕は浮き足立っている。なんなら浮いているかもしれない。


こんなに日曜日が楽しみなのは生まれて初めてかもしれない。

早速デートプランを考えた僕は集合時間や待ち合わせ場所など軽く氷緒と打ち合わせしてから幸せな気分で熟睡した。

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