番外編「送別会をしよう」

「……送別会?」

 あたしは突然の事に、思わず眉間に皺を寄せていた。そして、そういう事がよくないだろうこともよく知っている。

 それでも、あたしは表情を曇らせずにはいられなかった。

 送別会……に限った話ではないが、○○会と銘打たれた集まりは苦手な方だ。

 友達と楽しくわいわい談笑する、なんてあたしには無理難題だ。

「……ええと、一体誰の?」

「ああ、九条のな」

 しかし、あにきの口から出てきたのは、あたしも知っている人の名前だった。

 というか、その人がどこか外国へ行ってしまう事は既に知っている。そして、その人のためにそうした流れになるだろう事も何となく予想はできていた。

「……確か、イギリスだっけ?」

「ああ、すげーよな。イギリスだぜ?」

 イギリスの何がすごいのかはよくわからなかった。

 あたしのイギリスに関する知識なんてけい〇んの映画の舞台になったのか、その程度だ。特別、イギリスに深い思い入れ何てない。

 それはあにきも同じはずなのだが。

「イギリスって確か英語だよな? 九条、英語話せたんだな」

「……あたり前じゃん。相手はあの九条さんなんだから」

 あたしは頭の中に、件の人物の顔を思い浮かべ、返答する。

 明るい色の髪に自信たっぷりの表情。教養も豊かで、何より実家がお金持ち。

 本人は隠したがってるみたいだけど、オタク文化にも明るくて……と言うか実際、本人がオタク気質なのだけど。

 なぜ隠したがるのかわからなかった。五年とか十年前とかならいざ知らず、今の世の中オタクだからと馬鹿にしてくる連中なんてそうそういないのに。

 けど、まあ相手はお金持ちの家の一人娘なのだから、何かあたしにはわからない事情があるのかも。

 なんて事を考えつつ、さてどうしようかと思案する。

 あにきからこういう話が出たという事は、送別会にはあたしも参加しろという事なのだろう。

 たぶん、学校の人だったりクラスメイトだったりしたら、即断っていただろう。あのいけ好かない生徒会長のための集まりなら、こちらから願い下げだ。

 でも、九条さんか……なら、まあ。

「……行く」

「おお、そうか」

 若干、あにきの表情が綻んだ。ええと、なぜ?

 あたしは嬉しそうにしているあにきを気味悪く思う。妹が自分の友達の送別会に出席する、なんてそう喜ぶ事じゃないだろうに。

 意味がわからない。

 あたしはあにきから視線を外し、自分の部屋へと戻る。

「……日取りが決まったら教えて」

 そう言い残し、あにきの返事は待たなかった。

 それでも、あにきはなぜか嬉しそうだったのが妙に腹立たしかった。

 

 

                ◆

 

 

「……なぜこんな事に?」

 あたしはじとっとあにきを睨み付けた。けど、あにきにはどこ吹く風だったらしく、こちらには見向きもしない。

「なぜってお前、送別会なんだからそれなりのプレゼントとかいるだろ」

「プレゼントって……九条さんに?」

 言っちゃ悪いけど、お金持ち相手にあたしたちみたいな平民がプレゼントとかしてもいいものだろうか?

 何だったら、何でも手に入る立場の人に。

「何言ってんだよ、お前。こういうのは気持ちだ」

 とんとん、とあにきが拳で自分の胸を叩いていた。

 なぜそれほど自信たっぷりに断言できるんだろう? あたしにはわからない。

 まあいいや。九条さんならたぶん喜んでくれるだろうから。

「でも、だからってなんであたしまで……」

 今日はソシャゲのイベントが三つとフレンドさんとゲーム内で会う約束をしていたんだけど。

 そう抗議したところで意味はない。最近は少しやるようになったとはいえ、あにきはもともとそれほどゲームに親しんできた人種ではないのだから。

 あたしは抗議の声を上げ、再びあにきを睨んだ。今度はあたしの訴えが届いたらしく、あにきがあたしを振り返る。

「お前、最近運動不足だろうが。たまには外に出ろよ」

「運動はしてる。外には……出てないけど」

「だろ」

 なぜかちょっと得意げに胸を張るあにき。その急所を思い切り蹴飛ばしてやりたい。

 あたしはよほど冷たい視線をあにきの股間に注いでいたからだろうか。あにきはそこを庇うようにして青ざめた顔になる。

「な、何をする気だ」

「……別に」

「……そうか」

 少しの間睨み合うあたしたち。……はあ、仕方がない。

「それで、どこへ行くの?」

「ああ、それなんだけど……」

 あにきはスマホを見て、それからきょろきょろとあたりを見回す。

 さっきからこの調子だ。一体誰を待っているのだろう?

 ……ま、大体予想は付くけど。

「お、来たな」

「ごめん、遅くなっちゃったね」

 あにきが待っていたのは、あたしより二年ほど年上の高校生。あにきの通う学校では有数の美少女として名前が通っている有名人らしい。

 そしてあにきの彼女。……世の中、不思議な事があるものだ。

「桜木さん? なんで……ああ」

 ここに? と訊ねようとして、自分の中で合点がいった。

「あにき一人だと何を選んでいいかわからないからか」

「……うっせーよ。……まあ当たってるけど」

「ふふふ」

 あにきが恥ずかしそうにそっぽを向く。今更何を恥ずかしがってるのか。

 というか、このプレゼントを渡そうという企画自体が桜木さんの発案の可能性もある。

 あたしはちらりと桜木さんを見やった。

 桜木玲。あにきの恋人で、この人もまたオタクだ。

 ゲームの類いをこよなく愛する、いわゆるゲーオタ。でも、学業との両立もちゃんとできているすごい人。

 こんなすごい人が近くいるんじゃ、あたしなんてミジンコと一緒に思えてしまう。

「どうしたの?」

 桜木さんがあたしの顔を覗き込んでくる。心の底から心配そうに。

 ああ、やっぱりこの人はすごい人だなぁ。あたしなんかじゃ全然敵わない。

「……何でもないですよ」

 あたしはゆっくりと首を振り、できる限りの愛想笑いを浮かべた。

「そう? ならいいけど」

 桜木さんはあたしから視線を外し、あにきを振り返る。

 何だか、全部見透かされてる気がするな。あたしの事も、全部。

 あたしに友達がいない事も、さっきの愛想笑いも。

 それはただの想像だったけど、うすら寒い想像だった。ぶるりと思わず身震いする。

「どうしたんだ? はやく行くぞ」

「……わかってる」

 あたしは小走りに、二人の後を追うのだった。

 

 

                  ◆

 

 

「ええと、本当にここに入るのか?」

「うん。……とはいえ、私も入るのは初めてなんだけど」

「だったらなぜ連れて来たんだ?」

「友達がおすすめだって言うから」

 桜木さんは照れたように笑って頬を掻いた。

 まあ、あにきの言いたい事はわかる。そこはあたしたちの地元から二駅も離れたショッピングモールだったからだ。

 休日だからか、人がすごく多い。それはもう、眩暈を覚えるほど。

 桜木さんはオタクであると同時に学業も優秀で人当りもよく、友達も多いと聞いた事があった。だからまあ、ここをすすめたという友達はきっと、オタク系の人じゃあないと思う。

 大型ショッピングモールの中には、たくさんのお店が入っていた。

 いわゆる、複合型施設って言う奴だろうか? あたしにはよくわからなかった。

「ま、とりあえず入ってみようぜ」

「……うん」

 桜木さんたちを追い駆ける形で、そのショッピングモールに足を踏み入れる。

 右を向いても左を向いても人人人……目が回りそうだ。

「そ、それで……どこに行くの?」

 あたしは桜木さんの服の袖を掴んだ。……自分で言うのもなんだけど、迷子になる自信があったからだ。

 もともとこんな場所には来ないから、余計だ。ゲームショップとかなら行くんだけど。

「ええと……ちょっと待ってね。こっちに案内図が」

「ああ、あれか」

 桜木さんとあにきが案内図の前に移動する。ので、あたしも引きずられるようにしてそちらへと向かった。

「えーと……どこに行くんだ?」

「そうだね。ここなんてどう?」

「え? ここは……」

 あにきの表情が曇った。気持ちはわかるけど。

 桜木さんが指さしたのは、地元の特産品を扱った店舗だった。

 それも、それほど値段はしない。学生が行ったとしても、財布に優しい店だ。……たぶん。

 つまりそれは、あまり高級品を扱っていないという事であり……。

「もっと高い物の方が……いいのでは?」

「それこそ、何か別の……九条さんだったら珍しい掘り出し物のゲームとかの方が喜ぶと思いますけど」

「まあ聞いて」

 桜木さんはまあまあとあたしたちをなだめるようにする。

「九条さんはお金持ち。これはいい?」

「ああ……だからこそ、できるだけ高い物の方が……」

「私たちにそんなものが用意できると本当に思う?」

「いやあ……それは思ないけど」

「だったら、庶民の品物で勝負しなきゃ」

 桜木さんはにっこりと笑って、そう言った。

 あにきは何だかまだ納得していない様子だったけど、あたしには桜木さんの言いたい事がよくわかった。

 金持ちは高級品よりも庶民的な物を喜ぶ傾向がある。それは決定事項だ。

 なぜなら金持ちにとって高級品なんて日用品と同じレベルだからだ。金持ちにとってはもはや高級品ですらない。ただの表網品なのだ。

 なんて事を言うと嫌われてしまうだろうか。いや、桜木さんならわかってくれるとは思うけど……でも。

 桜木さんはあたしがリアルで唯一と言っていいくらい尊敬している人だから。ちょっと苦手な部分はあるけど。

「それに、九条さんだったら何でも喜んでくれるよ」

「ああ……そうだな」

「…………」

 それはどうだろう?

 あたしは二人に悟られないよう気を使いながら頭の中を疑問符で埋めていた。

 二人が言うような事が本当にあるか? だって漫画やらラノベやらじゃないんだから。

「……確かに桜木さんの言う事には一理あると思うけど」

「んあ? 何か言ったか?」

「何も言ってない」

 あにきがくるりと振り返る。聞かれたかな? とちょっとだけどきっとした。

「それで、何を買うの?」

 あたしは自分でもちょっとわかるくらい狼狽えてしまっていた。

 けれど、あたしのそんな露骨な話題転換に気が付いた様子もなく、あにきと桜木さんは揃ってモールの天井を見上げた。

「そうだなぁ……全然考えてねぇんだよな」

「何がいいかな?」

 二人とも考えてなかったらしい。何をやってるんだか。

 あにきはともかく、桜木さんは意外とそういうドジっ子な部分あるよね。萌え。

「そうすっか。確かに何も考えてなかったな」

「そうだねぇ……ゲームとか?」

「確かに喜んではくれるだろうけど、何か違う気がする」

「だよね」

 てへぺろっと舌を出す桜木さん。あたしがやったら確実に怪談なんだけど、桜木さんがやると絵になるから不思議だ。同じ人類なのに。

「……こういう時は何か実用性のあるものがいいって聞いた事ある」

「ほう……おまえからそういう意見が出るとはな。どこで聞いたんだ?」

 あにきがちょっとだけわくわくした様子で聞いてくる。普段のあたしの引きこもり具合を知っているだけに、友達から聞いたとかそういうのを期待しているのだろう。けど残念。

「ネット」

「ああ、ああ……そうか」

 見るからにがっくりと肩を落とすあにき。ええ……どうして?

 訳が分からずに困惑するあたし。何だか悪い事したみたいになっちゃうからやめて!

「せっかく教えてもらったんだから、その線で見て回ろうよ」

 桜木さんが両手を合わせ、提案する。正直助かった。

 下手をしたら、このままお説教タイムが始まるところだった。

「実用的な物かぁ……だったらまずはお洋服?」

「服……とはいえ、あいつの着ている服って上等なものばかりだからなぁ」

「そうだねぇ。それに『もったいなくて着れませんわ!』とか言いそうだし」

「ああ、それはあるな」

 ここにはいない人の反応を想像して笑い合うあにきと桜木さん。

 そこには、あたしにはないリア充オーラが漂っていた。同じオタクなのに。

「んー、じゃあどうすっかな。……マグカップとかいいんじゃね?」

「おっいいね」

「へー、あにきの癖にセンスあると思う」

「おまえは一言余計だ」

 あにきがじとっとあたしを睨んでくる。まあだから何だって話だけど。

「じゃあとりあえずはその方向で」

 方向性は決まったようだ。目的の店に向かって歩いて行く二人の後を追って、あたしも行く。

 方向音痴には自信がある。ちょっとでも離れたら迷子になってしまうから絶対にはぐれないようにしないと。

 あたしは小走りにあにきの後を追った。入って行くのは、雑貨店のようだ。

「へぇー、中はこんなふうになってるんだなぁ」

「健斗ってもしかしてきたことない?」

「まあな。普段はこんなとこ来ねぇから」

「ふーん……ま、私もこのお店自体は初めてだけど」

 ああ、会話の端々からリア充オーラが漏れている。あたしには眩しい。

 あたしは二人を調子できず、目を逸らした。

「……あたし、ちょっとあっち見てる」

「え? でもマグカップはこっち……」

「他にも何かいい物があるかもしれないし」

 待てよ、と言ってくるあにきを無視して、あたしは別のコーナーへと向かった。

 同じ店の中にいるんだから、早々迷子にならないだろう。さすがにあたしもそこまで運のない女だと自分で思ってもいない。

 あたしがやって来たのはぬいぐるみのコーナーだった。

 テディベアと言うのだろうか。こういうのにはあまり詳しくないけど、くまを模したぬいぐるみは可愛い……んだろうか? ちょっとあたしにはわからない。

 どれもこれも同じに見えてしまって、ちょっと気持ち悪かった。これを贈られて喜ぶ人の気が知れない。

「……これはないな」

 あたしはくるりと踵を返した。別れて早々だけど、あにきたちの下へと戻ろう。

 そう、思っていたのだけれど。

「あれ? もしかして、石宮さん?」

「……ん?」

 誰かに呼ばれたような気がして、振り返る。が、知り合いらしき人物の姿は見当たらない。

「……気のせい?」

 まあいいや。さっさと戻ろう。

 と、思ったところで。

「石宮さん」

 また声が聞こえた。……誰? 本当に気のせい?

 不思議に……というよりは気味が悪くなってきた。

 きょろきょろとあたりを見回してみる。が、やはり知り合いらしい顔はない。

 いや、そもそもあたしに知り合いなんていないのだけど。

 などと思っていると、目の前に唐突に人影が現れた。え? 何?

「やっぱり石宮さんだ。どうして無視するの?」

「…………」

 普通の人間は忍術なんて使えるはずがないからあたしが認識していなかっただけなのだろう。

 何にせよ、目の前に現れたのは見知らぬ女。たぶんあたしと同い年くらいか。

「……ええと、どちら様?」

「あはは、ご挨拶ぅ!」

 パシンッと自分の額を叩くその人物。自分で自分を痛めつけるような人は知らない。

 いや、だからそもそも知り合い自体がいないのだけど。

「わたしだよぉ、同じクラスなんだけどなぁ」

「……ごめん、あたしあんまり周り見てなくて」

「あはは、まあそうだよねぇ。石宮さんは」

 ポンポンと気安く肩を叩いてくる女。いやだから誰なんだよおまえ。

「そんな事より意外だなぁー。石宮さんってこういうところ来るんだ」

「えっと……ほとんど来ない。今日は知り合いに贈り物をするために来たんだけど」

「へー、石宮さん知り合いいたんだぁ!」

 心底びっくり! とでも言いたげに声を張るそいつ。事実だけど大声で言う事か?

 まあいいや。さっさとこの場を離れよう。

「そんなわけだから、あたしは……」

「じゃあわたしが一緒に探してあげる」

「……は?」

 踵を返し、この場から逃げ去ろうとした瞬間、再び肩を掴まれる。それも、力強く。

 こいつ、かなり力がある。運動部か?

「大丈夫大丈夫。わたし、そういうの得意だから」

「ええと……ごめん、ちょっと意味がわからない」

 あたしはさよならといったつもりだったのだけど、伝わらなかったらしい。

 それどころかそいつは目をきらきらさせていた。

「それで、石宮さんもわたしに対してお礼として何か買って」

「……どうしてあたしが」

「いいじゃん。別に高い物を要求しようってわけじゃあないんだから」

 ぐっと親指を立ててサムズアップしてくる。何がいいんだかわけがわからない。

 ほんと、さっさと離れよう。こいつといるとろくな事がなさそうだ。

「あたしは……一人の方が好きだから」

「またまたぁ。誰かにプレゼントを贈るなんて、石宮さんがそんな事をするなんて想像もつかないよ」

 にやりと笑みを浮かべ、声量を落としてくる。顔を近付けて、まるでこれでは内緒話をするみたいだ。

「もしかして……男?」

「……本気で言ってる?」

「まさかぁ! 石宮さんがそんな事でわざわざ贈り物をするなんて思えないもの」

 わかったような事を言う。第一、まだあたしにはそういう相手はできた事がないのだから、わからないじゃないか。まあ今後できるかどうか未知数だけど。

「それより、いつまでここにいるつもり?」

「ええー! いいじゃん。せっかくなんだから」

 一体何がせっかくだというのだろう? あたしは思わず困惑顔になった。

「意味が分からないんだけど。どうしてあんたと二人で買い物をしないといけないの?」

「ガーン! 石宮さんってそういう事平気で言っちゃう人?」

 その通りだ。あたしはこういう事を平気で言っちゃう人。だから友達もできないし、欲しいと思った事もない。

 ……まあ最近は割といいなと思う事も増えたけど。

 それをこいつの前で言ったら、たぶん光の速さで馬鹿にされるだろうから言わないけど。

「じゃあこいつなんてどう? 割と可愛い顔していると思うんだ」

「どうって言われても……あたしはそういうのよくわからないし」

「だったなおの事、手伝ってあげるって言ってるんだよ。石宮さんのセンスじゃ絶対に無理だから」

 何だろう……こいつと会話をしているといらいらするなぁ。言動のせいかな?

 ここは、さっさと消えた方が身のためだ。

 あたしはくるりと再度踵を返した。止めようとしてくるのは予想済みだ。

 ひらりとそいつの手をかわし、ちらりと背後を振り返る。

 よしよし、あいつにとって予想外の行動だったらしく、唖然としているな。

「何無視してくれちゃってんの!」

「きゃっ」

 ガバッと、背中から襲いかかってこられた。何をするんだ、こいつは!

 あたしはじたばたと手足を動かしたが、いかんせんあたしの膂力じゃこいつを引きはがすなんて不可能。すぐに疲れて抵抗を止めた。

「……何が目的?」

「目的だなんて人聞きの悪い事を言わないで。わたしはただ、石宮さんとお友達になりたいだけ」

「あたしは別に友達なんて募集してないけど」

「わたしがしてるの。石宮さんと友達になりたい」

「だからあたしは……」

「それじゃあ、レッツゴー!」

 他人の話を聞きもしないで、そいつはあたしの手を引いて雑貨屋さんを出てしまった。

 待て待て、どこへ行くつもりだ?

 あたしは引きずられるままに、エスカレーターに乗っていた。という事は二階?

 あまりあにきたちと離れるのはよくないんだけどなぁ。

 無事に解放してもらえるだろうか。そんな不安がそこはかとなくあたしの胸中を襲う。

「わかったから、手を放して」

「んー? 別にいいじゃん。このままでも」

「だめに決まってんだろ! 誰かに見られたらどうすんの」

「見られたって平気だよ」

「平気じゃねぇよ!」

 あたしは思わず大声を出していた。まわりの人間どもがこちらを振り返る。

 何だろう? と思っているのだろうか? あたしも思っている。

 何なんだ、こいつは。どうしてこうも来易く話しかけてきて、しかも拉致してくるんだ?

 エスカレーターから降りて、手を放してもらえないままどこかの洋服店に連れ込まれた。何だ?

 聞いた事のないお店だ。何となく有名なブランドだったのはわかるけど。

「ちょっと見ていこうよ」

「あたし、服を見に来たわけじゃないんだけどなぁ」

 ぶつぶつと文句を言いながら、引きずられるままに洋服店に連れ込まれる。どうしようもなく、不愉快だった。

「ええっとねぇ……何がいいかな?」

 きょろきょろと店内を見て回るそいつの姿は見るからに楽し気で、あたしなんかと一緒にいて何が楽しいんだろうと不思議になる。そしてあたしは楽しくない。@

「これなんていいんじゃない?」

 と、そいつが手に取ったのは白地に淡いピンクを彩った見るからに可愛らしい服だった。

「……高校生が着るには、どうだろう?」

 あたしはそれを着ている九条さんを想像してみた。

 うーん、別に似合わないわけじゃないんだけど、なんかコレジャナイ感があるというか。

「高校生? プレゼントの相手って高校生なの?」

「……はあ」

 余計な事を言ってしまった。けどまあいいか。

 あたしひとりじゃ何も決められないだろうし、あにきたちとはぐれてしまったし。

「そう。相手は高校生。あたしの兄の友達で、まああたしともそれなりに仲良くしてくれてる」

「えー、何それちょっと嫉妬する!」

 意味わかんねぇよ。なんでおまえが嫉妬?

「そんな事より、それ直したら? 買わないし」

「そう? 可愛いと思ったんだけど。まあいいや。その人って何系?」

「何……系?」

 唐突にそんな事言われても。何系だろう?

「色々あるでしょ? かっこいい系とか。今ので可愛い系ではないのはわかったけど」

「何系……かっこいい系かな? たぶん」

「ふーん? じゃあこっちは?」

 今度は皮製のライダースーツっぽいのを出してきた。何でもあるな、この店。

「あー、いや……似合うとは思うけど」

 それを着てサングラスをかけた九条さんの姿は容易に想像できた。そしてかなりかっこいい。

「ふーん。まあどっちもわたしは好きだし、喜んでもらえると思うけど」

「それはあたしも思う。でも……」

 相手はあの九条さんだ。そうは問屋が卸さない。

 それに、プレゼントとは自分が何を贈りたいかで決めるのではないと前にネットで見た。

 重要なのは、相手が何を求めているかだ。

「……もしあたしがその人だったらと考える」

「……その人だったら?」

「そう。あたしがその人だったら、きっと何でも喜ぶ」

「だったらいいじゃん?」

「だめ。……だからこそ、最大限に喜んでもらえる物じゃないと」

「ふーん? そんなもの?」

 そいつは見た感じリア充のくせにそのあたりわかってないなぁ。

「……何か失礼な事を考えているな?」

「果たして何の事かわからないけど」

 それにしても、何を買ったらいいんだろう? 

 どんな物をプレゼントしたら喜んでくれるのか、わからない。

「んーと、じゃあこっちは?」

 そう言って、今度はフリフリ多めの服を選んできた。

「たぶん……似合うとは思う。でも違う」

「そっかぁ」

 そいつは残念とでも言いたそうに持っていた服を戻した。

 何が不満だと言うんだ、この女。

「んー? これはちょっと派手かな?」

 そう言って、再び持って来たのは得体の知れない民族衣装だった。

 ほんと、何なの、この店……?

 あたしははぁと溜息を吐いていた。

「どうしたそんなものがこんなところに?」

「このお店、何でもあるんだよ。わたしのお気に入りなんだ」

「お気に入り……? よく来るんだ」

「まあね。週に一度は必ず来るよ」

「週一で……それはそれは」

 ご苦労な事だ。あたしなら絶対に来ない。

 きっと、こんな事がなかったら一生縁がなかっただろう。

「それにしても、すごいなぁ、この店」

「でしょう? 自慢だよ」

「……あっそ」

 なんであんたが自慢しているんだ?

 なんて疑問に思ったが、言わない事にした。言ったところで意味がない。

「それで、どう? これ」

「どうって……」

 いやあ、これはないだろう。

 だって民族衣装だよ? 赤と白を基調とした布地に黄色のラインが入ってる。

 そこへ更に黒とオレンジの縞々が入ってるんだから、普段着としては無理。

 つまりプレゼントとしては下の下と言わざるを得ないんじゃないだろうか。

「ん? ……ちょっと待って」

 案外、こういうのが喜ばれたりしないだろうか?

 普通だったら絶対に買う事がない服。あたしだったら、まあ珍しいなと思うだろう。

「……まあプレゼントだしね。気に入らなかったら着なきゃいいんだから」

 あたしはその民族衣装を受け取り、しげしげと眺めた。

 表裏両方を見て、布の様子を確認して。

 悪くはない……と思う。良し悪しなんてわからないけど。

「……これでいいかな」

「え? いいの? あっちの方が……」

「いいの。珍しい物とか好きな人だし」

「そうなんだ」

「そう」

 なんて言っては見たけど、本当のところはわからない。

 思えば、あたしはそれほど九条さんと親しいわけではない気がする。

 あにきがいなかったら、知り合う事もなかったわけだし。

 きっと本当だったら今頃は自室でゲーム三昧だったんだろうなぁ。

「そう思うと、ちょっと不思議」

「ん? どうしたの? 何だかにやにやしちゃって」

「……何でもない。そして消えて」

「ガーン! そりゃあないっすよ! せっかく一緒に買い物してるのに」

 ずいぶんと大袈裟だな。こういう反応する奴は絶対口にした通りに思ってない。

「だってあたしの予定は終わったし」

「約束は! わたしとの約束は!」

「やく……そく?」

 かくんと首を傾けてみせる。すると、そいつはわざとらしく泣き出した。

「びえーん! 石宮さんがいじめるー!」

「ちょっ……ええ!」

 こんな人の多いところで何を大声を出しているだこの馬鹿は!

 あたしは慌ててあたりを見回した。当然、他の客や店員がこちらを見ている。

 ああもう、ちくしょう!

「わかった、わかったから。もうちょっと付き合うから泣かないで」

「ほんと! やったぁ!」

 わかってはいたが泣いているふりだった。そしてむかつく。

「それじゃあお会計を済ませよう。そしてどこへ行こうかな?」

 るんたったー、と先に行ってしまう。もう、この服戻して逃げようか。

 などと考えていたが、止めにした。まあせっかく選んでもらったしね。

 それに、ここからまた選び直さなくてはならない。そんな時間なかった。

「それで……ええと」

 何時までならOKなんだろう? さすがにあにきたちと一緒じゃないと帰れない。

 あたしは一人で電車にも乗れないんだぞ?

「とはいえ、そんなに長々と遊んではいられないんだけど」

「わかってるって。……まあ大体一時間くらい?」

 長い……なんて長いんだ。けどまあそれくらいならいい、か?

 個人的には嫌だった。でも、このままうだうだ言われるのはそれはそれで嫌だ。

 さてどうしたものかと考えた時、ならあたしはこいつと一時間いる事を選択する。

 一時間堪えればいいのだから、そちらの方がいいような気がするからだ。

「……それで、一体何をするの?」

「当然、遊ぶに決まってるじゃん!」

 ニッと微笑んでくる。ああもう、嫌な予感しかない。

「遊ぶって一体どうやって……?」

「まあまあ、ここはわたしに任せて」

 トンと胸を叩く。任せてと言うからには何かあるんだろう。

 あたしは別に望んじゃいないけど。

「それにしても、何であたしを?」

 あたしはくるりと背を向けたそいつに付いて行きながら、訊ねた。

 学校じゃああたしはかなり悪目立ちする方だというのは以前に学んだ。

 そんな奴とは普通一緒にいたくないものなんじゃないだろうか?

「なんでって……面白いから」

「おも……あたしが?」

「そそ」

 こくこくと何度も頷いてくる。面白い……意味がわからない。

 自分で言うのも何だけど、あたしは面白みに欠ける人間だと自分では思っている。

 そんなあたしを捕まえて面白いからって……ほんと、意味がわからない。

「さあ、着いた」

 意気揚々と歩いた割に、だいぶ近い所に目的地はあったようだ。

 もっと時間をかけてくれればいいのに。

「……ここは?」

「わたしのお気に入り」

 あたしの目の前にあるのは、いかにもリア充が利用しそうな店だった。

 何というか……カップル御用達な感じがめっちゃある。

 その圧倒的きらきらオーラを受けて帰りたくならない引き籠りが果たしているのか?

「さあ、入りましょう」

「ここはあたしたちが二人で入って問題ない場所なの?」

「大丈夫だから。まあ普通は男女のカップルで来るところだけど」

「え? ……じゃあだめじゃないの?」

「大丈夫大丈夫。友達と来ても楽しいところだから。わたし三回目」

 ニシシと白い歯を見せて笑うそいつ。

 友達、という聞き慣れない単語に、あたしは思わず顔を背けた。

 誰が友達だ誰が。

 かっと体が熱くなる。何なんだこいつは。

「……それよりはやく終わらせて」

「はいはい」

 はぁと溜息が漏れる。なぜあたしはここにいるんだろう?

「じゃあ早速」

 再びガッシとあたしの手を取って引きずっていく。

 別に逃げようなんて思わない。ただ、このまま流されるままになってしまうのか?

 まあ一時間は付き合うと約束したのだから、今はいいか。

「……で? 最初は何を?」

「これだよこれ」

 と言って示されたのは、何だかよくわからない機会だった。

「何これ?」

「ええ、知らない!」

「知らない。……筐体みたいだけど」

「きょ……? ええと、これはねぇ」

 言いながら、機械の中に入って行く。入れたのか。

「ほら、こっち」

 ちょいちょいと手招きしてくる。入れって事?

 おそるおそる、中に入る。当然というかあたり前というか、襲われる事はなかった。

 そして何となく不思議な気分になる空間だった。何だろう?

「これはねぇ、こうするんだよ」

 ちゃりんとお金を入れ、何やら操作をし出した。わけのわからない事をし出すな。

 あたしは溜息を吐いて、事の成り行きを見守る。

「はいピースピース!」

 そいつはあたしの肩に手を回して、ニコッと笑っていた。

 何がおかしいんだ? ピースと言われたけど、何でピース?

 困惑している内に、ピカッと光った。不意の事に、思わず目を瞑ってしまう。

「……何が?」

「もう、だめだなぁ。もしかしてこういうお店初めて?」

「へ? ああ……まあ初めてだけど」

 だってこんなリア充御用達の店なんて絶対に来ないし。

「そうなんだ。じゃあもう一回」

「え? またぁ?」

「後三回はあるから」

「ええ……」

 なんでそんなにあるんだ。というか何があるんだ?

 なんて事を思っていると、続けざまに三回光った。その度にあたしは変な顔をする事に。

「あはははは! 石宮さんすごい顔!」

「はいはい……それで、次は何を……?」

 そろそろ一時間経っただろうかと店の時計を見やる。まだ五分ほどしか経過していない。

 ああ、長いなぁ、一時間。

「次はねぇ……こっち」

 また手を引かれ、引きずられていく。今度はどこへ……?

「じゃーん!」

「……何がじゃーん?」

 今度連れて行かれたのは得体の知れない機械のある場所だった。

 さっきと違って妙な感じだなぁ……何だろこの矢印?

 あたしは足下にある矢印を見て不思議に思った。上下左右斜めに伸びている。

「これでどうするんだよ?」

「えー? 知らないのー?」

「あ?」

 かなりむかつく顔してくるな、この女。

 あたしは思いっ切り殴り飛ばしてやりたくなったところをぐっと我慢した。

 うむ、自制が利いているな。

「これはねぇ、こうするんだよ」

 言いながら、何やら機械を操作していく。今度もまた、あたしには扱えない代物だ。

「ねえ、ちょっと訊いてもいい?」

「……何?」

「石宮さんってさ、学校じゃあかなり変わり者だよね」

「あんたに言われたくないんだけど」

「えー? わたしは変わり者じゃないよ」

 何がおかしいのか、あははと笑っている。

 別段面白い事を言ったつもりはないのだけど。

「何と言うか、他人を寄せ付けないオーラを纏っているというか」

「そんなつもりはないけど……」

「嘘だぁ! 絶対に誰かと一緒に痛くないと思ってるよ」

 わかってるのなら、今すぐあたしを解放してくれ。

「でも、そんな石宮さんがプレゼントを渡す相手ってどんな人?」

「……何、藪から棒に」

「いやぁ、ちょっと気になっちゃって」

 機械の操作が終わって、そいつはこちらを振り返った。

 にこにこと楽しそうにしている。対してあたしはどんな顔をしているだろう?

「今日最初に会った時も言ったけど、石宮さんが誰かに贈り物なんて似合わないよ」

「ほっとけ」

「まあまあ。そんな石宮さんがプレゼントを渡そうとしている相手ってどんな人?」

「さっきも言ったじゃん。……いつも自信たっぷりで、かっこいい人」

「それだけじゃないでしょ?」

「それだけじゃない?」

 そうそう、と何度も首を縦に振ってくる。

「どんな人?」

「どんなって……」

 あたしは手招きされるままにそいつの下へと向かった。

 示された通り、真横に並ぶ。有名な太鼓のゲームだ。

 流れてくるアイコンをリズムよく叩いて、スコアを競う奴。

「何だろ……たぶんその人は、何でもできるんだよ。頭もいい」

「ふむふむ」

「そしてどんな事に対しても一生懸命で、妥協を知らない」

「ほうほう」

「だからこそ、あたしとは違う世界の人だってわかる」

「へえ……」

「旅立っても普通に今まで通りにやっていける。だって……」

 だって九条さんは、頑張る事があたり前の人だから。

 そこまで言おうとして、あたしはハッとした。

 ゲームのスコア、めっちゃ悪い。ほぼゼロに等しいくらいに。

 余計な話をさせられたからだ。やられた。

「へへ、わたしの勝ちだね」

「……もう一回やろう」

「お? いいねえ、やろうか」

 こいつと一緒にいたいと思ったわけではないが、負けっ放しではいられない。

 あたしは再びバチを手を取って、身構える。

 今度は余計な話はしない。ただゲームに集中する。

 ドドドンと太鼓を叩きながら、ぼんやりとさっきの事を考えていた。

 九条さんってどんな人? あたしは九条さんをどう思っている?

 かっこいい。それでいて可愛い。完璧な人間になりたくて、でもなれなくて。

 桜木さんと比べると、たぶんあたしに近い存在。目標にするならああいう人。

 でも、あたしにとっての九条さんは目標とかそういう存在ではない。

 ではどういう存在? と訊かれると困る。友達? 姉のような? それとも別の存在?

 何なのだろう? あたしにとって九条さんとはどういう人なのだろう?

 ぐるぐると頭の中でそんな考えが回り出す。

 ゲームに集中しろ。さもなくばまた負けてしまう。

「おお、またわたしの勝ちだね!」

 嬉しそうにあたしにピースサインを向けてくる。

 たぶん普通のあたしだったら、腹立たしさから声を荒げていただろう。

 でも、今のあたしはちょっと変だ。

 どうにも集中できない。もやもやする。

「……さて、そろそろ戻ろっか?」

「もういいの?」

「うん。石宮さんも戻りたがってたしね」

「別に戻り違っていたわけじゃ……」

 時計を見ると、まだ三十分くらいしか経っていなかった。

「いいの。楽しかったし、また遊ぶ機会はきっとあるから」

「……そう」

 ばいばい、と手を振ってくる。振り返そうかと迷ったけど、止めた。

 あたしはそのまま、来た道を戻った。

 エスカレーターを降り、例の雑貨屋さんへ。

 きっと、あにきたちはもういない。帰っちゃったか、あたしを探してるか。

 どちらにせよ、迷惑に思ったに違いない。急にいなくなったのだから。

「……携帯、持ってないもんなぁ」

 今時携帯すらもっていない女子中学生なんて、きっとあたしくらいだ。

 あにきはスマホ。桜木さんもスマホ。九条さんももちろんスマホ。

 別に疎外感なんて感じてない。これまでだって一人だし、これからも一人。

 何も変わらないはずだった。なのに……。

「おい、どこ行ってたんだよ」

 コツンと頭を叩かれた。顔を上げるとあにきがいる。

「……別に、どこでもいいでしょ」

 雑貨屋さんから少し離れた場所。とはいえ、すぐ目の前に件の店舗は存在する。

「いやいや、急にいなくなるなよ。心配するだろうが」

「心配……?」

「ああ、なんだよ悪いか?」

「……いいや。それは悪い事をしたなって」

「反省しろ」

 あにきがスマホを取り出した。どこかへと連絡をするようだ。

 まあとはいえ、相手は桜木さん以外にあり得ないか。

 きっと、あたしの事を探していたのだろう。見付かったと連絡しているようだ。

「……ったく。おまえ、それにしたのか?」

「そう。……何だか喜びそうなのがあったから」

「そうか。なら、九条も喜ぶな」

「喜ぶ……かな?」

「当たり前だろ。友達からのプレゼントを喜ばない奴がどこにいるんだ?」

「友達……?」

 誰が、と訊こうとして黙った。

 訊くまでもない事だと思ったから。

 それに、何だかゲームのイベントシーンみたいで気恥ずかしい。

「んじゃ、帰るか」

「……うん」

 桜木さんと合流して、ショッピングモールを出る。

 送別会は一週間後。何となくうきうきしてしまう自分がいた。

 せっかく選んだんだし、喜んでくれるといいなぁ。

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