第十一話「おばさんの失恋」
突然の父の言葉におばさんは唖然とした。
なんと、おばさんの目の前には許婚の相手がいたのだ。
「どうして?こんなこと聞いてないわ!」
そう言うと
「そうだよ。だってサプライズだもん。」
と、父が答えた。
「そんな……」
おばさんは涙ぐんだ声で言った。
「許婚も良いものよ……?」
と、母、今の宝石(ジュエリー)ちゃんの祖母であるウミさんが言った。
その言葉を聞き、おばさんは腹が立ったらしく、おばさんは家を飛び出した。
おばさんはいつもの海へと向かうと、いつも通り変わらず順介が練習していた。
「お、どうした?さえない顔して?」
そう、順介はおばさんに尋ねた。
「私……許婚相手がいたらしくて……」
そう、おばさんは述べた。すると、
「そうか……あそこの家は代々許婚だからなぁ……」
おばさんの家庭は島ではわりと凄い家庭らしく、夫は常に優れていると思われる人を許婚として受け入れてきた家庭なのだ。
順介はおばさんが好きだったことを察したのか、
「俺、半年後には……島を出るんだ」
と言った。
「え?」
おばさんは思わず驚いてしまった。
何故かというと、一応島民はこの島の高校に進学するからだ。
「なんで……」
そういうと、順介は
「排球の強い高校にいって、全国に出たいんだ……」
そう言った。おばさんはその夢を押し退けてまで順介と結ばれることを望む気はせず、
「いってらっしゃい」
そう、言うことしか出来なかった。
そして、その日はその場を後にした。
おばさんは家に帰ると父母にこっぴどく怒られた。この経験を通して、おばさんは宝石ちゃんに恋心が芽生える前に、許婚相手を好きになってもらうようにしようと思ったのだ。どうしても、許婚の呪縛を解くことは祖母であるウミが許すことは無く、申し訳無いがこの形をとることになったのだ。そして、宝石(ジュエリー)の名前は代々受け継がれている海関連の名前とおばさんがこっそり、順介の「じゅ」を混ぜたと言うらしい。
その事件から半年後、順介は言葉通り島を出ていった。そしてその二年後、おばさんは父に紹介された相手と結婚した。その後、順介は島に帰ることは無かったという。そのため、先程はもしかして帰ってきたのかもしれないとおばさんは驚いたのだ。おばさんは、そんな思出話をした後、おばさんは夕食の仕度を急いで済ませ、家を後にした。
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