第十話「おばさんの初恋」

おばさんが小学5年生の頃、おばさんはおつかいの帰りに久々に海の方を歩いて帰った。すると、排球の球を片手に砂浜で練習をしている少年がいた。

その少年は一つ年上の六年生で、ボールには「じゅんすけ」とかすれた文字で書いてあった。その一生懸命に練習し、汗をかく姿におばさんは惹かれた。

おばさんは翌日も海の方へ足を運んだ。すると、昨日の少年が練習をしていた。

おばさんは、急いで家に帰っておにぎりを握り、少年の元へと、戻った。

おばさんは勇気を振り絞って少年に

「いつも、練習していますね?何をしているんですか?」

と、声をかけた。少年は

「排球の練習だよ。まぁ、まだこの島では誰も知らないと思うけど。」

そう答えて、練習を続けた。

おばさんは、

「あの、私の握ったおにぎり、食べてくれませか?」

と、言った。少年は

「いいの?それならお腹空いたし、貰っちゃおっかな?」

と、言って、おばさんの握ったおにぎりを頬張った。

少年は

「君はなんて名前なの?」

と、おばさんに聞いた。

「幸(さち)です。五年生です。」

そう、おばさんは答えると、

「俺は、順介。六年だ。一個先輩だな!」

と、笑顔で答えた。

それから少年は、買った本に排球の事が載っていて興味を持ったこと。将来、島を出て排球で活躍したいこと等を語った。

そして、日が落ちてくると

「もう、遅いから幸ちゃんは帰った方が良いよ!今日はありがとう!」

と、言って、

「こちらこそ!」

と、言ってその日は解散した。

それからというもの、毎日おばさんはおにぎりを握り、少年の練習を応援した。風が強い日も雨の日も少年は練習をした。

そんな日々から三年が経過し、おばさんが中学二年生になったある日のことだった。

おばさんの父が、おばさんを呼んだ。

そこには、おばさんの母と、知らないん男性がいた。そしておばさんの父はとあることを言ったのだった。

「幸の許婚相手を紹介しよう。」

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