第三話「人生が終わる瞬間」
「折角なら夕食の時間になるまで、この島を見てきたらどうだい?」
そう、おばさんは提案をした。
「あぁ、良いですねぇ。この自然豊かな島、是非とも見てみたかったんですよ。」
ここは俺の住んでいた都心よりずっと南にある島だ。きっと植物や生き物も違うだろう。しかし、それよりも海がキレイだ。
俺は冒険好きなので、ワクワクしていた。しかし、おばさんは妙な提案をした。
「宝石(ジュエリー)に案内してもらおうかしら」
うん。ヤバイな。回りからどんな目で見られるか……
俺は楽しみから一瞬にして緊張に変わった。
「いいよー!」
宝石ちゃんは、快くOKしてくれた。これを嫌ですというのも気が引けたので
「ありがとう。」
そう、俺には言うという選択肢しかなかった。
いよいよ、出掛けるときが来た。宝石ちゃんは先程までしょっていたランドセル等を置いて麦わら帽子をかぶっていた。
案内するのが凄く楽しみそうな感じてある。
俺はそんな宝石ちゃんを悲しませる事は出来ないなぁと思った。
外へ出ると強い日差しに湿度のあまりない涼しい風が吹いてきた。
これから、何が起こるのだろう。そう、期待と不安の感情で道溢れた。
少し歩いていると宝石ちゃんと同じくらいの女の子の姿が見えた。それはそうと、今まで人が全然見えなかったな。人口は知らないが多分、少ないのであろう。そう思っているうちに、その女の子とすれ違いそうになった。
「ジュエリーちゃん、お兄ちゃんいたっけ?」
あ、質問されました。頼む、お兄ちゃんと言ってくれ
「ちがうよ!おむこさんだよ」
はい。俺の人生詰みました。今後、この島でロリコンの変態だと語り継がれていくんだ。そう、確信したが
「おむこさんってなに?」
あ、この娘は婿を知らないのか!!流石に宝石ちゃんもこれを説明するのは出来ないだろうと勝利を確信していたのもつかの間
「んー……私が大きくなったらけっこん?する人」
あの、おばさんめ……めっちゃ丁寧に説明してやがる。そうおばさんを恨んだ。
そんなおばさんを恨んでる暇もなく
「けっこん!!??」
やっぱりその反応、流石に小学生でも、結婚は知っているよな……と、落ち込んでいると
「けっこんって何?」
あ、これ以上は宝石ちゃんも説明出来ないだろうが念のためと
「あのさあこれ以上は……」
ん?なんて言えば傷付けないで済むのか?なんて考えてるうちに
「おっきくなったらパパになるひと!」
あ、詰んだ。
そう、思っていたが
「へぇ!お兄ちゃん格好良いね!」
え?そんなこと人生で一度も言われたこと無いんだけど...
「ありがとう!!」
その言葉以外思い浮かばなかった。
「良いパパになって宝石ちゃんを幸せにしてあげてね♪」
と言って、俺らのもとを去った。
こいつ……結婚の意味、さては知ってるな。
まぁ、とりあえず、変態だとは思われていないらしい。死んでも変態とは言われたくないからな。そう、心に問いかけながら俺と宝石ちゃんは海へと向かうのだった。
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