第二話「島流しに遭いました。」
俺の見間違いではないだろうか。俺の許嫁だろう人はランドセルをしょっているのですが。しかも、黄色い通学帽を被っているのだが……
俺はきっと騙されたのだろう。こんな上手い話はない。俺は島流しに遇った。そう確信した。しかし、その考えは簡単にも打ち砕かれたのであった。
「紹介するわね!!これから貴方の許嫁になる娘よ」
はい。終わりました。
俺はこれから一生ヤバイやつとして見られるんだ。うん。
「じゃ、ジュエリーちゃん挨拶して」
ん?ジュエリー?キラキラネーム過ぎないか?最近の若者は……
「宝石(ジュエリー)です。6しゃいです。よろしくです」
うん。可愛い。ではなくて、確かに年下希望はした。童顔希望もした。それは認めるけど限度はあるやろ。精々中学一年生までじゃないか?本当、あのばあちゃんは仕事はできるのに考え方がぶっ飛んでるからなぁ……俺はそんな葛藤を繰り返していた中
「お兄さんはなんねんせー?」
いけねぇ。俺といったことがこれから一生お世話になる?人に自己紹介もしていなかった。
「俺は高校2年生で、島田栄作!」
「えいしゃく?」
「え・い・さ・く」
「おぉ!!えいしゃく!!」
「……それでいいよ」
何だろうか。本当にこれで大丈夫なのだろうか。俺は心配でしょうがなかった。
確かに可愛いとは思う。髪は肩にかかる位で、肌の色は健康的な小麦色。目は二重でパッチリしていて、口はアヒル口。
素敵なほどにタイプである。しかし、相手は小学生。ましては、1年生だぞ。
つまり俺は17歳だから、10歳差。
うん。ヤバイな。確実に。
これは、どうしたもんかねぇ……
俺の葛藤は止まらなかった。そんな時、おばさんは
「まぁ、そんな気難しく考えないで、今を楽しみなさいな。この娘、良い娘だから。きっと、貴方も納得してくれるって」
「良い娘なのはわかるんですけど……なんというか若すぎるというか。」
「愛に年齢は関係ないさ」
うん。今、出会ったばかりで愛も糞も無いんだけどね……そう、心の中で愚痴っていると。
「わたちはいいお嫁さんになれない?」
え?俺は何、こんな小さな子供にこんな心配をさせてるんだ。糞野郎じゃないか。
てか、この娘もよく、俺が葛藤してることがわかったな。小さい子供って案外見てるっていうけど本当なんだな。そう、俺は確信した。
「そんなわけないさ。安心して。君を幸せにしてあげるからね」
いや、何こんな小さい子供に恥ずかしいこと言っとるねん。
そう、自分で言ったくせに恥ずかしがっていると
「ありがとう!よろしくね」
この娘……ありがとうが言えるんだ。
俺はこの言葉で、先程までの恥ずかしさが吹っ飛んだ。
俺はありがとうなんて、言葉を殆ど言われない孤独な生活をしてきた。いざ、女の子にこう言われると心が揺れ動くものだ。その言葉に年齢など関係ない。
この時、俺は決心した。
先程言った、あの恥ずかしい言葉を事実にしてやると。
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