7月28日(1話目)


私が通っている学校には、七不思議が八つある。

だから七つ知っても大丈夫、というのが先輩の主張だった。

「だって七不思議って、全部知ったら死ぬんでしょ?」

「死ぬの?」

「死ぬんじゃないですか?だって全部知ったら不幸になるんですよね?」

不幸と死は同じものではない、先輩はそう言った。

「八つあるなら八つ知らなきゃいいだけだよ」

そんな風にいうものだから、それなら、と、私の知っている七不思議を一つ話すことにした。

聞き終えた後、先輩は目を輝かせて言った。

「その話知らない。これで七話目だ」

私は焦った。これで先輩の身に何かあったら、私のせいになるのではないだろうか。

しかし、先輩はそんな私の心配を全く気にせず、私にも七不思議を話してあげると言い出した。

私は怖い話が苦手だし、知りたくないと思ったから、適当にはぐらかして家に帰った。

先輩は「じゃあまた明日」と手を振ったけど、私はそれも適当に流してしまった。


翌日、先輩は私に会いに来なかった。次の日も、その次の日も。

そのまた次の日、流石に何か変だと感じて、職員室に寄ったついでに先輩の担任の先生に聞いてみることにした。軽い感じで、風邪か何かですか?そう聞いてみると、先生は変な顔をして私を見た。

「誰、それ」

冗談を言っているような感じではなかった。

なんとなく、もう先輩には会えないんだな、と思った。

「なんでもないです」とだけ言って職員室を出て、その日は早退した。

あの日から十年以上経った今でも、先輩には会えていない。

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