14.○○○○の部屋再び

「それじゃあ、始めましょうか……」



 どこか思いつめた表情で、こちらに迫ってくるモナにジャンヌは慌てて悲鳴を上げる。



「ちょっと待ってください!! モナ、本気ですか!!」

「ええ、だって、ちゃんと話し合わないとわかりあえないでしょ!! 絶対逃がさないんだから!!」

「そんな……確かに女の子同士というのも興味深々ですが、初めてはあの方が良いんです!!」

「は……? 女の子同士……? 初めて……?」


 

 ジャンヌが情けない悲鳴を上げるとモナも間の抜けた声をあげて……その顔が真っ赤に染まる。



「何を考えているのよ!! 私たちはこれから本音で話し合うのよ!! なんでエッチなことをする気満々なの?」

「え? だって、『せ〇〇〇しないと出られない部屋』なんですよ。せ〇〇〇しないで何をするんです?」



 きょとんとした顔のジャンヌはモナが大きくため息をつく。その顔が少し赤いのは気のせいではないだろう。



「説明が悪かったわね……あくまで原理を応用しただけよ。ここの部屋から出る条件は一つ『本音で話し合う』よ。ちなみに嘘をつけば軽い電撃が走るわ。あなたもさっき私とそういうことをするのに興味深々っていったときに電撃が流れたでしょう?」

「え?」

「……」



 きょとんするジャンヌの顔を見て、モナは冷や汗を流す。恐るべき事実に気づいてしまったのだ。



 え? 待って、この子百合もいけるの……? そういえばアリシアとかと水浴びをしている時もやたら私の体を洗いたがっていたけど……



 本題に入る前にジャンヌの性癖の一つを知ってしまい思わず逃げ出したくなる。



「ああ、違うんです。私の育った聖女学校は女の子しかいなかったので、そういう話が流れてくることもあったんですよ。別に私が興味あるわけじゃ……きゃぁぁ!!」

「……」



 電撃を浴びて可愛らしい悲鳴を上げるジャンヌ。それを見て、モナはかつてのパーティーメンバーの本心を知ろうとしてちょっと後悔し始める。

 あれ? 世の中には知らない方がいいこともあるんじゃ……と。



 パァン!! と乾いた音が響く。



 モナは一瞬でも日和ってしまった自分のほほを叩いたのである。そうだ、今日の自分はジャンヌのすべてを知るためにおぜん立てをしてもらったのだ。



「なんでもいいわ。ちゃんと話し合いましょう」

「……わかりました。私のすべてをさらけ出しましょう」



 モナの決意を知ったジャンヌもうなづくのだった。



 だけど……ジャンヌのすべてって、自分で聞いといてちょっとこわくなってきたわね……



 モナがちょっぴり後悔しているのはここだけの話である。

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