7.アルトの作戦

不気味な笑顔を浮かべるサティさんを落ち着けた俺はモナたちの件をどうしようかと考える。なんか勝手に仲良くなっていたが、ジャンヌが魔王軍になったことはまだ知らないのだ。



「問題はどうジャンヌの立場を納得させるかですよね、サティさん何かいい案はありますか?」

「そうですね……おそらくですがモナさんもジャンヌさんがデスリッチの部下になったと知ったら反発すると思うんですよね……」

 


 酒場での出来事からそれなりに仲良くはなっていると思うが、流石にジャンヌが仲間になったと知ったら、洗脳したとか神様からNTRしたのね!! とか言い出しそうである。



「あ、まった……モナは……デスリッチの事はともかく、オベロンの事は尊敬しているんだよな……」

「そうですね……だいぶ思い込みは強いですが、その分はオベロンへの感情はゆるぎないものだと思います」

「なるほど……」



 俺はサティさんとの会話をしながら考えをまとめる。一つちょうどよい作戦を思いついたがそれにはデスリッチの協力は必要になる。

 あいつ無駄にプライドが高いからな……どう、説得すべきか……



「アルトさん? どうしました?」



 俺の視線を感じてサティさんが可愛らしく首をかしげる。ここには幸いにもデスリッチ(生贄)に激怒している魔王様がいる。

 なんとかなりそうだな!!



「サティさん、一緒にデスリッチと話しに行きましょう」

「え、別に構いませんが……今の私はちょっと何をしてしまうかわかりませんよ」


 何それ怖い……まあ、相手はデスリッチだからいいか……


 そうして俺たちはデスリッチの宿に再度行くのだった。




 翌日になって、サイン会の会場に俺たちは来ると、人や魔物が行列を作っていた。皆楽しそうに会話をしているのことからデスリッチの本は俺の想像以上に人気があるようだ。

 そして、俺たちは昨日デスリッチを説得して係員として待機させてもらっていた。



「なんだあれ? コスプレじゃん」

「すげえ、あのカレンちゃんコスの胸、本物だよ。あのおっぱいで聖女は無理だろ」

「ティーサちゃんコスの子も可愛い。でも、挿絵よりもちょっと胸が大きいな……」



 そんな声が聞こえてくる。そう、ジャンヌとモナがやってきたのだ。てか、モブ共よけいなこといってんじゃねーよ。サティさんが殺意の波動に目覚めちゃうだろ……

 などと思いながら様子を見ていると、二人がローブを着て返送しているデスリッチの前で止まった。



「あのサインを……」 

『ジャンヌ様!! なぜあなた様がこんなところにいらっしゃるのですか!!』

「「え!?」」


 いきなり頭を下げるデスリッチに困惑しているモナとジャンヌを見て計画がうまくいったことを確信するのだった。





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