6.ジャンヌとモナ
どうやらモナを助けるために駆け寄った時に幻影のマスクが外れてしまいジャンヌの正体がばれてしまったようだ。
結界に受け止められて怪訝な顔をしているモナの視線にジャンヌはどうしようかパニックになっている。
「ジャンヌ……その恰好は?」
モナの言葉ももっともである。久々に再会した友人が真っ黒でちょっと露出の高い恰好をしているのだ。いや、元の恰好も結構エッチだったな。露出度はあまり変わらないし……。
「あなたもしかして……」
「その……これはですね……」
「その恰好は『勇者に幼馴染の聖女を寝取られパーティーから追放された俺は、リッチになって魔王軍に入って復讐をする』の最新刊の表紙のカレンの恰好じゃないの!! あなた……巡礼の旅に出ていたって聞いたけど、こんなところにいたのね!!」
「巡礼の旅だと……」
こいつはデスリッチ共にずっと働いていたはずだが……怪訝に思ってサティさんに視線を送ると、こっそりと耳打ちをしてくれる。
「ホーリークロスさんが王家にそう説明をしていたようです。教会の暴走を公にするわけにはいきませんからね……」
「なるほど……」
俺が納得している間にも色々と二人の会話は進んでく。テンションが高いモナにジャンヌが押されているのが見える。
「この格好は……その……ちょっと気分転換と思いまして……」
「そうなのね。あなた、昔からこの本で好きだったものね」
「はい、そうなんで……え、ちょっと待ってください!! 私がこれを読んでいたことをモナはきづいていたんですか?」
「そりゃあ気づくわよ。だって、あなた時々食事の後にお祈りに行ってきますとか言って、自室にひきこもって気持ち笑い声をあげながら読んでたじゃないの」
「うわぁぁぁぁ、なんだか無茶苦茶死にたいです!!」
性癖を完全に隠していたはずなのにばれていたことにジャンヌが頭を抱えているとモナが死体蹴りをする。このロリっこ容赦ないな。
「だけど……今は楽しそうで何よりよ。教会に戻るとき寂しそうな顔をしていたし、手紙を送ってもなんか社交辞令的な文章しかかえってこなかったから……」
「モナ……ありがとうございます。手紙は監視されていたのでうかつなことは書けなかったんです」
あれ……なんか俺たちが余計なことをしなくてもなんかいい感じにまとまりそうじゃない。二人は放っておいて、このまま俺とサティさんでデートにいってもいいんじゃないだろうか?
そんなことを思っていた時だった。
「わかるわよ、あなたは今回作者サイン会に来たのよね? そんな格好までしているくらいなんですもの。大好きな作者さんにあってみたいのよね? 私もコスプレするから一緒にサイン会に行きましょう!!」
「え……」
「私はそうね……カレンよりも貧乳魔王ティーサちゃんが似合うと思うからそっちでいくわ。そうとわかったらさっさと衣装をつくるわよ!! 行きましょう!!」
「え……いや、わたしはですね……」
何やら勝手に思い込んで暴走したモナにジャンヌは連れていかれてしまった。いや、その作者デスリッチだし、もはや二人を認知しているんだけど……
「ねえ、アルトさん……」
「はい、なんでしょうか?」
「私は例の本を読んだことはないんですが、貧乳魔王ティーサちゃんというのはどんなキャラなのでしょうか?」
目が一切わらっていないサティさんにそんなことを聞かれて言葉に詰まるのだった。
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更新再開します。
また話が変わりますが『)外れスキル「世界図書館」による異世界の知識と始める『産業革命』~ファイアーアロー?うるせえ、こっちはライフルだ!!~』
の二巻が三月十五日に発売されます。
よろしくお願いしますー
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