4.意外な再会
「だーれだ?」
「アリシアだな。本当に魔王城に来ているんだな……ってモナもいるのか」
目隠しから解放され振り向くと嬉しそうなアリシアと、相変わらずぷにぷにほっぺのモナが立っていた。そういえば、エルダースライムが勇者も招待しているって言ってたな。
「えへへ、流石アルト兄、すぐに私ってわかってくれたね、嬉しいな」
「そりゃあ、幼馴染だからな」
別に胸の感触でアリシアとわかったわけではない。あれである。幼馴染の絆みたいな……いや、マジだって!!
「久しぶりね、アルト。元気そうで何よりだわ。それにしてもこの街はすごいわね……」
サティさんと仲良くなったアリシアはともかく、王都にいたモナは人と魔物が共存していると言うのがいまいち想像つかなかったのだろう。
街を普通に歩いている人間と魔物をめずらしそうに眺めている。
「せっかくだし、飯でも行くか? 近況報告もしたいし」
「うん、私はお肉が良いな!! ここは珍しいお肉が食べれるって聞いたよ!!」
「私は変な物じゃなければいいけど……」
「ああ、ちょうどいい店があるんだ」
話し相手が出来た事を喜びながら、俺はジャンヌと一緒に言った店に二人を誘った。
「すごい、火トカゲのから揚げに、サメの卵、トリュフもあるわ!! 珍味祭りじゃない!! 王都でも中々食べれないわよ!!」
「アルト兄、この水美味しいしなんか気分が良くなるよ。なんかポカポカするぅー」
「モナ!! それは高いからあんまり注文するなって!! アリシア、それはアルコール度数が高い酒だ。酒はあんまり強くないんだから無茶するな!!」
「はは、お前さん達、人間のわりに中々いい食べっぷりだな。四天王選抜試験の見学にきたのか? これはサービスだ。食べてくれ」
俺は珍しいものを見て暴走そうするモナと、酔っぱらいかけているアリシアに頭を抱える。この二人とジャンヌを相手にちゃんとパーティーとしてまとめるってホーリークロスすごいな……
「それで……二人は四天王選抜試験に来たんだろ? よく王様が許したな。魔王たちを警戒してたんだろ?」
「私たちの説得の力よ!! って言いたいけどね。実はね……先にホーリークロスがここに潜入していたのよ。それで罠ではないって連絡が来たから私達も魔王城を訪れたことを許されたの。せっかくだし、紹介しようと思ったんだけど連絡がつかないのよ……それに、ここには長寿種族が多すぎるわ……今ごろ女性をナンパしているかもしれないわね」
「いくらホーリークロスでもそれはないんじゃないかな? ああでも、残念だなぁ……ジャンヌもいれば全員揃うのに……ジャンヌはね、すっごいいい子なんだよ。優しくて礼儀正しいんだ。あ、でも……私の方が胸は大きいからね。アルト兄のタイプではないかも!!」
アリシアは慌てたように自分の胸をアピールするかのように押し付けてきた。アルトには効果は抜群だ。
ちなみにホーリークロスはすでにダークエルフをナンパしているし、ジャンヌとは会うどころか恋バナまでしたんだよな……そして、あの後デスリッチとどこかに行ったらしい。
ホーリークロスの事は二人に伝えてもいいかもしれないが、ジャンヌの事は話してもいいものだろうか? アリシアとかぶちぎれて、純潔派の教会に聖剣を持って襲撃しそうだからなぁ……
「それで……アルト兄がここにいるって事はやっぱり四天王選抜試験に出るって事?」
「ああ、俺もたまには男を見せないといけないからな」
「ふーん、サティさんにいい所を見せたいんだね……でも、アルト兄じゃ私達にも勝てないよ、それでも出るの?」
「わかってる……それでも決めたんだ」
アリシアは複雑な顔をして俺に問う。まあ、そうだよな……俺がサティさんのために、四天王選抜試験に出る事はばれるよな……
正直アリシアやモナと戦ったら俺なんてボコボコにされるだろう。だけど……俺はやると決めたのだ。決意に満ちた俺の顔を見てアリシアがしかたないなぁとばかりに笑う。
「じゃあ、私たちが稽古をつけてあげるよ!! 体の動きだけでも最適化すれば少しは戦えるようになると思うよ」
「いいのか……?」
「うん……アルト兄がいたら全力で手伝うって決めてたんだ……そのかわりサティさんと結ばれても私にも構ってよね」
「アリシアの言う通りだったわね。詳しくは聞かないけど、あの受付嬢のために出場するんでしょう? あなたのハーレムのために、特訓に付き合ってあげるわ!! 私はあなたの鑑定スキルを強化する方法をおしえてあげるわ!!」
勇者と人類トップクラスの魔術師による特訓である。お金を払ってでも教えを乞いたい人間はいるだろう。正直ありがたい。
「二人ともありがとう!!」
「うふふ、オベロン様考案のアンダーテイカー家秘伝の訓練方法よ。楽しみにしなさい」
やべえ、モナの一言で一気に不安になったんだけど。
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この小説の二巻が本日発売です。
よろしくお願いいたします。
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