11.ティーサ
「なんか久々に来たな、魔王城」
「この前以来ですもんね……ご苦労様です、ファフニール。感謝します」
魔王城についた俺とサティさんはワイバーンから飛び降りる。当然ながらサティさんの温もりが離れてしまうのだが、何とも名残惜しい。
それにしても……パッドがないというのにすごい破壊力だったな……と思いワイバーンの頭を撫でているサティさんの方を見つめていると、たまたま振り向いた彼女と目があう。
「その……デートみたいで楽しかったですね」
恥ずかしそうにもじもじとしているサティさんを見て、俺は急所を突かれた気分を味わった。なにこの人可愛すぎる。
そりゃあ、俺は巨乳が大好きだけどさ……サティさんの虚乳はそこをはるかに上回る破壊力だった。くっそこれが恋の力なのか……
「もう、何か言ってくださいよ、恥ずかしいじゃないですか!!」
「サティさんが可愛すぎる……結婚してくれ……」
「え……あのその……はい……不束者ですがよろしくお願いします」
やっべえ、ついプロポーズをしてしまった。そして、オッケーをされてしまった。え? まじで!! この後どうすればいいのかわからず俺達が顔を真っ赤にしながら見つめあっていると、ワイバーンが唾を吐き捨てて、飛び立って行った。気のせいだろうか? リア充爆発しろみたいな目で俺達をみていた気がする。
そういや、あのドラゴン離婚しているんだよな……正直すまなかった……
でも、これで二人っきりになってしまった。今なんかむちゃくちゃ不思議な雰囲気なんだだな、こういう時ってどうすればいいんだ。てか、サティさんのあの返事はどこまで本気なんだ?
「サティさん……」
「はい、なんでしょうか?」
俺が問いただそうと、サティさんを見つめると、彼女もまた熱い視線で見つめ返してくる。やばい、むっちゃドキドキしてきた。これじゃあ、デスリッチの事を笑えないんだけど、
「そろそろラブコメの時間は終わりでいいでしょうか?」
「うおおおおおおお!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
いつの間にか近くにいたエルダースライムが俺達の間にぬっと顔を出してきた。しかも今回は本体の方だ。
「その……エルダー……どこから見てました?」
「そうですね……サティがその場の勢いで言ったようなゴミみたいなプロポーズをされて顔を真っ赤にして、ワイバーンが呆れてとびだっていったところでしょうか?」
「ほとんどじゃないですか!! なら、声をかけてくださいよ!!」
「私なりに空気を読んだつもりなのですが……大体わざわざ遠回りをして、空のデートをしていたのを叱らないだけでも感謝して欲しいですね。デスリッチたちはとっくについてますよ」
「エルダー――!! 私が謝りますから許してください。アルトさんもにやにやしないでください」
エルダースライムの言葉にサティさんがむちゃくちゃ慌てて口を塞ぎ、こちらを涙目で見つめてくる。それってようするに俺と一緒にいるためにワイバーンに命じたって事なのか……
サティさん天使すぎるな……いや、魔王だけど。
「それでは本題に入りましょうか……せっかく聖女が魔王城に来たのです、魔物と人の共存に一役買っていただこうと思いまして……ここを案内して私たちが共存をしているのをその身に感じようと思っているのです」
「確かに、アリシアも魔物に対して結構友好的になってきたし、モナは……よくわからないけど、ジャンヌも和解派になってくれれば人間と魔物の共存の交渉もしやすくなるな」
もう一人の勇者パーティーの人間がどういう反応をするかはわからないが、過半数が共存を考えているならば、サティさんの夢に相当近付くはずである。
それにジャンヌも現実はともかく噂だけなら人望はあるようだしな……いつもは本性を隠しているんだろうなぁ……
「それでですね……その……デスリッチだけでは不安でして、アルトさんにも付き合って欲しいのです」
「ああ、確かに……でも、俺は魔王城のことあんまり詳しく知りませんよ」
俺は珍しく難しい顔をするエルダースライムに同意する。確かにあいつは胸に触ると「おっぱいしかしゃべれなくなるしな……それでは案内どころではない。
「アルトさん、それに関してはご安心を、もう一人案内につけますから」
「むー」
そんな事を話しているとサティさんが無茶苦茶不満そうに頬を膨らましている。可愛いな、おい。
「サティさんどうしました?」
「ああ、気にしないでください、アルトさんとデートしたかったなぁって拗ねているだけですから……あなたは十分空のデートを楽しんだでしょう? それとアルトさん、期待をしていてください。あなた好みの女性を連れてきますよ」
「ちょっと待ってください。それはいったいどういう……」
「いいから行きますよ、サティにはやってもらう事が色々とあるのですから」
そう言うとエルダースライムはサティさんを触手で捕えてさっさと行ってしまった。その姿がちょっとエッチだなって思ったのはここだけの話ある。
しかし、俺好みの子って誰だろうか……いや、俺にはサティさんがいるんだ。どんなに巨乳な女の子がきても誘惑はされないぞ。そう、心の誓う。
「うふふ、初デートですね、オベロン様。もっとくっついてもいいですか?」
『我、魔王軍をクビになったから、命令を聞く義理は無いのだが……だから、胸をおしつけようとするんじゃない……いや、押し付けて欲しいんだが正気を失いたくない」
あのあと俺は、デスリッチたちと合流をしていた。てか、こいつらいちゃいちゃしててうぜえんだけど……。マジでこの空気で一緒に歩くのかよ、死にてええ!! さっきのワイバーンの気持ちがわかってしまった。
てか、もう一人ってどんな人だろう。俺好みといってもサティさん以上の人はいないんだけど……
「お待たせいたしました……その……案内を任されたティーサです。よろしくお願いします」
「は?」
そう言って入ってきたのは、青い髪の美少女だった。男性と見間違るかのようにスレンダーな胸に、可愛らしい顔……てか、サティさんじゃん。髪の毛の色を青く染めてパッドを外したサティさんじゃん。鑑定スキルを使って確認してもサティさんじゃん。大事な事だから三回言いました。
え? これどうなってんの?
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