18.VSウィンディーネ
「ウィンディーネ!! なぜここに!!」
『ひぃぃぃ、また洗脳されるぅぅぅ』
いきなり聞こえてきた声に振り向くとそこには不敵な笑みを浮かべているウィンディーネが立っていた。てか、デスリッチはびびりすぎだろ……一応こいつも元とは言え四天王だったというのに……
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名前:ウィンディーネ
職業:四天王兼ハコネィの支配者
戦闘能力:99999
スキル:洗脳、水魔法、特殊な効果があるお湯を出すことができる、教祖のカリスマ
信仰度:99999
備考:四天王の中でもっとも魔王を慕う精霊。魔物ではないが魔王軍の仲間になり、四天王まで上り詰めた。部屋には手作りで作ったサティのぬいぐるみがあり、抱き枕として使用している。サティにもらったものを大切なもの入れに保存している。サティの……以下略)
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うおおおおおお、ようやく、鑑定できたが、サティさんの事ばかりで頭がパンクしそうだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。何なのこの人!! こわいんだけどぉぉぉぉぉぉ!!
「どう? 私がサティ様をいかに想っているかわかってくれたかしら?」
そう言うと彼女は自慢げに自分の胸に手をあててこちらにほほ笑む。くっそ、こいつわざと自分のプロテクトを外して、俺に鑑定させたな……
俺が冷や汗を流しているとアリシアが庇うように俺の前に出て聖剣を構える。
「それで……君はなんのために、サティさんの下着を盗んだのかな? 場合によっては精霊とはいえ、私の聖剣が黙ってはいないよ」
「その剣……聖剣エクスカリバーですわね……という事は、あなたが勇者ですの。ただの乳のでかい女と思っていましたが、まさかこんなところで重要人物と出会えるとは……どのみちここの事を知られたからには女神教の信者になってもらおうと思っていましたが、予想外の収穫ですわね。あなたを洗脳すれば魔王様の望む世界に一歩近づきますわ!!」
「ふざけんな!! サティさんは人間との共存を望んでいるんだぞ!!」
「ええ、ですから、殺しはしませんわ!! 私達の同志になってもらうだけですもの。私達の仲間になれば、さまざまなご利益がありますわよ。女神教に入ったら、仲たがいをしていた貧乳の奥さんと仲良くなれた。宝くじが当たった、パッドな彼女ができたなど信者の魔物や精霊からたくさんの声が届いていますわ。それに……人類最強の勇者を無力化すればあなた方人間は魔物と共存せざるを得ないでしょう? そうすれば魔王様の望んだ世界に近付きますわ」
くっそ、言っている事は胡散臭い宗教なのに、最後の一言でいかにやばいなっていうのがわかるな!!
しかも、こいつ鑑定してもサティさんの事ばかりで自分の弱みがなんもないんだが!!
「じゃあ、君は敵だね、殺さないけど怪我は覚悟してね。エクスカリバー!!」
『いかん、そいつに聖剣は通じんぞ』
アリシアの一振りによってまばゆい光が刃となってウィンディーネに襲い掛かりそのまますさまじい爆発をおこす。デスリッチは何を言っているんだ? と思ったが、その答えはすぐにわかる。
土煙から出てきたのは無傷なままのウィンディーネだった。
「そんな……なんで……」
「今回の勇者は本当におバカさんですわね。その聖剣は魔物だけを倒す退魔の聖剣。精霊である私に通じませんわ。水牢よ!!」
その一言共に、『豊乳の湯』の温泉が俺達を包み込む。まるで、温泉でできた牢屋である。てかマジで硫黄臭いんだけど。俺やデスリッチの胸もでかくなるのだろうか? デスリッチとか骨しかないぞ。
「アリシア魔法でぶち破ってやれ!!」
「それが……魔法も使えないんだよ、アルト兄」
え? マジ……? なんで魔法が……
「当たり前でしょう。あなた達人間は精霊の力を借りて魔法を使っているんですわよ。ここハコネィの精霊はすべて私の配下にあります。魔法なんて使えるはずがないでしょう?」
『くそ、聖剣も使えず、魔法もつかえない勇者なんてただの胸のでかい負けヒロインではないか!!』
「うう……何もいいかえせな……まって、私はまだ負けヒロインじゃないよ!!」
いまいち緊張感のないやり取りをしているアリシアとデスリッチだが、これって予想以上にピンチじゃないか? まじで打つ手がないんだが!! 俺はなんとか打開策を考えようと時間を稼ぐために会話を続ける。
「ウィンディーネ、お前はサティさんの下着を使ってどうするつもりなんだ?」
「ふふふ、冥土の土産に教えてあげますわ。このセリフ実際に言うとちょっと感動しますわね……」
そう言うとウィンディーネは得意げに笑う。確かにすっげえ気持ちわかるわ。俺も言ってみたいもん。まあ、負けフラグのセリフなんだが……
「ハコネィでの接客によって得た精霊への信仰力は願いを叶える力になるんですの。ただ、何もしなければ方向性のないただの力となり、世界中に漂っているのですわ。そして、何らかの方法でその方向性を示せば大きな力になるんですの。それがあなたがたが言う魔法ですわね。だけど、もっと多くの信仰力を一か所に集め、よりしっかりとした願いを込めればその願いを叶える力となるんですの。例えば……死者を蘇生したり、強大な力を手に入れたり……AカップをBカップにする特殊な効果を持つブラを作ったりね!!」
『愚かな……そんな事をすれば世界に漂う信仰力が消費され、魔法の威力のレベルが下がるぞ』
「それってそんなにやばいことなのか?」
『当たり前だろうが、例えるならばメ〇ゾーマをうったのにメ〇ミくらいの破壊力しか出せなくなるんじゃぞ!』
「いや、なんだよ、そのメ〇ゾーマって!! 聞いたことないんだが!?」
古代呪文か何かだろうか? でもなんか名前かっこいいな。魔法を使えないからわからないが、無茶苦茶強いやつが「今のはメ〇ゾーマではない、メ〇だ」とか言いそうである。
「なんてことを……君は何を考えているのさ!! 私達人類を滅ぼすつもりなの?」
アリシアが信じられないという風に叫ぶ。あれ? もしかしてこれってすごいやばいのか? そして、必死な俺達をあざ笑うかのようにウィンディーネは言う。
「何か問題があるのかしら? 人類の戦力は下がり、サティ様のバストは大きくなる。私達魔王軍には利点しかないもの」
「待ってよ、あなた達精霊は中立なんじゃ……魔物が強い力を持ちすぎないように先代勇者にも精霊が力を貸してくれたって言うよ」
「その精霊はその精霊、私は私ですわ。そして、私は魔王軍四天王が一人『堕ちた精霊ウィンディーネ』そう……魔王様の魅力に堕とされた精霊であり、魔王軍の幹部ですもの。ではあなた方への説得をはじめますわね」
『パッド!パッド!スライムパッド!』
牢の中でリズミカルな言葉が響き渡り頭がおかしくなりそうになる。どうすればいいんだ? 聖剣も魔法も通じない相手に勝てる気が……いや、まだもう一つ力があるじゃないか、俺はアリシアの胸元にぴったりとついたペンダントを見る。
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