地底の王国
我らは地底の民。
そこに新たな社会を作って住んでいる。
ここでは毎日、働きづめ。
ちゃんと休憩は取れるものの、こんなに重い物ばかりだと草臥れそうだ。
「なあ、あとどのくらいだ?」
「えっと、着くころには夜だね」
「え~もう休もうぜ」
「駄目だよ。仕事はちゃんとやらなきゃ」
「お前、真面目だな。皆、お前みたいだともっと作業効率が上がるんだけどな……」
彼が優雅に休憩している者たちを睨んで言う。
「ああいう、どうしようもない奴らもいるのに、なんで俺たちばっかり働かされなきゃならないんだ?」
「それは……」
僕は何も言えなかった。明確な理由が見つからなかったからだ。
「俺、女王様に訴えてくる!」
「止めなよ……どうせ、取り合ってくれないよ」
「じゃあ、お前は、満足なのかよ。この腐った社会に!」
「そういうことじゃなくて……うわぁ!」
突然の揺れ。下の方ではなく、上の方からだ。
『緊急警報、地上の探索部隊が何者かに襲われました!』
「おいおい、大変なことになってるぞ」
「助けに行かなきゃ!」
気持ちが逸り、僕は何も考えずに走り出す。
「待てって」
「でも!」
「俺たちみたいなのが行ったところで、何の役にも立ちやしない。諦めろ」
「いや、そんなわけない!僕は行く!」
「おい!ああ……もう、仕方ねぇ」
何だかんだ文句を言いながらも、彼は付いてきてくれた。やっぱりいい奴だ。
「やっぱり、地上に向かうにつれて、どんどん揺れが強くなってるな」
「一体、何者なんだ……?」
細い細い出入口への最短ルートを急いで進みながら考える。
「あ、地上に出るぞ!」
強烈な光に目が眩みながらも、状況を確認する。
周囲の仲間たちは潰されて、中身をぶちまけて死んでいた。
「惨い……なんて残虐な奴だ」
「うっ……」
少し吐き気を催したが、堪える。
敵は僕たちを捕食するわけでもなく、ただただ殺すのを楽しんでいるように見える。
「来るぞ!」
体の芯まで砕かれるような衝撃。強さも大きさも段違いだ。
「一旦、戻って伝えるぞ!」
「うん、あっ……」
一度帰って報告しようとしたが、もう遅かった。
既に出入口は奴の手によって塞がれている。
「ぐっ……とにかく逃げるぞ!」
一心不乱に逃げても、まだ攻撃は止まない。
「もう駄目……」
「おい、しっかりしろ!」
そこに待っていましたとばかりに落とされる。
「危ない!」
鈍い音がした。僕は悟らないように目を逸らし、敵の方を向いた。
「よくも、やったなぁぁぁ‼」
どっちにしても死ぬと分かっていた。
だから、僕はせめて友と同じ場所に居たいと思った。
僕らは弱い。だが、覚えていろ。女王様がいる限り、僕たちは永遠に不滅だ。
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