第4話
「よ、真実。生きて勇人たか」
車で十数分。
新横浜近くの駅前でオレたちは弘を拾った。白いロングTシャツに流行の黒のステテコと同系色のキャップ。さすが横浜生まれ横浜育ち、とてもおしゃれだ。
足元には中型のキャリーバッグまで置いてある。軽々それを持ち上げて後部座席の後ろに積み込むと、颯爽と車の中に入る。
「げ。なんだよそんなにおしゃれして」
勇人が大げさに首をつぼめていった。
「おしゃれって、これぐらい普通だろ」
弘はさらっとワイヤレスイヤホンをとりながら言う。
そういうところがまた様になるから困る。
オレと勇人はお互いに顔を見合わせた。
どちらもTシャツにひざ丈の短パン。おしゃれの欠片もない。
「いいか、出発するぞ」
オジさんが確認をとってから、車は緩やかに走り出した。
シムラ島までは横浜から車で2時間。
それなりにかかる。
車の中では陽気な邦楽が鳴り響く。
天気も良い、青空の下を車がかけていく。
窓の外からは夏の風が常に入り込み、みな上機嫌だ。
「よい夏だ…」
ぽそりとつぶやく。
「ばーか、これから良い夏にするんだよ」
勇人がにかっと笑って、コンビニで買った炭酸を開ける。
しゅわっと泡のはじける音。
楽しい楽しい夏休みの始まりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます