第34話 温泉地の夜に



料理は豪華だった。




この温泉地の近くは海も近くて海鮮物も豊富、もちろん、山の幸や野菜も新鮮な味がする。何より味付けが絶妙で・・・


またこの宿に泊まりたいと思う程の美味だった・・・が、




ガガガ・・・ガガガがが




鷲尾は、緊張のあまり、料理の味がよくわからなくなっていた。


チラリと咲宮さんの方を見る。

バッチリ目が合う。

お互い目を逸らす。


心臓がばくばくと鳴って今にも飛び出しそうだ。



この圧倒的緊張感・・・



『迷宮』の最難関ポイントを抜ける時と似ている。

緊張感を感じる時、それは準備不足であるが故、なので、だいたいが、失敗という結末になる・・・



だが・・・



俺は学んだ。

たとえ、発動率の低いスキルであっても、逆に威力は高いという事を、


ならば、今のこの失敗率が高いイベントこそ、逆に挑戦する価値があるッ!




$$$




食事が終わり、

部屋に布団が敷かれる。



二つの布団はぴったりくっついている。(宿の女将さんに他意はないと思うけれども



咲宮さん自身もまた今の状況に冷静で居られなかった。


連日の疲れで判断力が鈍っていたとはいえ、なんて大胆な事を・・・鷲尾さん引いてないだろうか・・・うう



薄暗い部屋の窓から星が見える。部屋は少し肌寒い・・・星に見惚れていると、後ろから、何かがもたれかかってくるのを感じる。



「!?・・・鷲尾さん?」



咲宮さんの心音は、さらに早くなり、部屋中に聞こえてる様な気分になってくる。顔が熱い。


(鷲尾さんの体温・・・)



今日は、あまりに突発的な出来事だったけど、それでも・・・



「鷲尾さ・・・」



咲宮さんが振り向くと

鷲尾は、もたれかかりながら、熟睡していた。



(・・・・・ええ)




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