第22話 取引先の横暴




課で現在進めている仕事は、俺の予想通り全く終わる気配を見せず





いよいよ、ヤバい雰囲気が漂ってきた。

取引先に「納期間に合わない」という連絡を入れても


「絶対に間に合わせろ」という回答の一点張りらしい。


こんな平行線では、どうする事もできない。




数日後の定時後の夜




ついに事態が動く。

取引先の偉い人が、ついにウチの事務所に怒鳴り込んできたのだ。





「納期遅延だと・・・受け入れられるわけがない!、契約違反だ、どう責任を取るつもりだ!!」






取引先のかっぷくのいいおじさんに怒鳴られて

平謝りするウチの課長

周りの俺たちも頭を下げて嵐が過ぎるのを待つ。



「だいたいだ、君の会社の社員はレベルが低すぎるんじゃないか、こんな雑多な仕事も納期通り満足にこなせないなんて理解に苦しむ」




「こっちは、そんな『社会的奴隷ども』に、仕事とお金を与える『慈善事業』をしているというのに期待に応えてもらわないと、困るんだよねぇ?」




この言いぐさ・・・

ろくに手も動かさず、

上前をピンハネしているだけの存在が偉そうに



「おらっ聞いてんのか!」



ついに机を蹴り飛ばして大声を出す始末。

流石にもうこの時点で警察に突き出していいんじゃないかな?

と頭をかすめるが、


当の課長は「すいません、すいません」

とずっと頭を地面にこすりつけるがごとく、へこらへこらしている。





「ちょっと、さっきからやり過ぎではないですか?」





見るに見かねて

口を挟んできたのは

咲宮さんだった。


(すぐに帰るように言っていたのに・・・)




「なんだ、この女は」




男は、ぎろりと睨みつけるが、

舐めるような視線で、咲宮さんを見て表情を変える。




「ほほう、君、中々上玉だねぇ、今晩、俺の相手をしてくれるなら、納期の件、少し考えてもいいが」




その言葉に俺の中の何かがぷつんと切れる。

俺は、咲宮さんを守るように男と咲宮さんの間に立つ。


(いいかげんにしろ、これ以上は我慢の限界だ)



もう会社を首になってもいい覚悟で

口を開きかけた瞬間、後ろから声を掛けられる。





「おーい、わっしー君はいるかね?」





その声に振り向くと

美空社長とその秘書らしき男が居て



「すまないが、瀕死になってしまった、TAPしてくれないかな?」



彼女はニコニコしながらこっちに手を振っていた。




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