第19話 攻略焦り
「悪いね、咲宮さん、変な事に付き合わせちゃって」
改札口で龍宮寺を見送りながら
俺は咲宮さんに話しかける。
「いいえ、そんな事ありません、色々勉強になりました」
ニッコリ笑う咲宮さんは
とても美人だ。
その笑顔が本心からなのか単なる社交辞令なのかは俺にはわからなかった。
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星城高校バスケ部
かつて俺が在籍していた部活である。
龍宮寺もバスケ部だったのは意外だったな。
10年ほど前は、全国大会に行くほど強かったが、
今では見る影もないお遊び部活になっていると聞いた。
まぁ、都立の部活なんてその年ごとに全く違うと言っても過言じゃないし
後輩を叩きなおさなきゃとかかつての栄光がなんて言う気はさらさら無い。
後日、
再び会った龍宮寺の機嫌はとても良さそうだった。
迷宮ではスキル編成を変えて、1階層を突破し、もうすぐ2階層攻略も目の前らしい。
あと、勉強も咲宮さんに少し見てもらった所
テストの成績がぐんと上昇したそうだ。
「あ~、やっぱり、頭のいい人に教えてもらうと、天才になった心地がする~」
龍宮寺はご満悦だ。
咲宮さんの方もスキル連鎖の話を参考にして無事4階層を突破し、俺と同じ5階層まで来たと聞いた。
当の俺は、まだ、5階層でウロウロしている。
(・・・まずい・・・)
別に競っている訳ではないが
内心少し焦りも生まれる。
俺も『俺よりも上の階層を攻略している人』に何か教われば変わるんだろうか?
などという考えがぼんやり頭の中を巡っていた。
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