第17話 俺は雰囲気でこのゲームをやっている




咲宮さんは興味津々で俺のスマホをのぞく。






距離が近いのでドキドキするが

あくまで社会人として冷静に、平静を装いながら質問に答える。


く、ボロが出そうだ。

そもそも俺は咲宮さんみたいに考えながらプレイをしていない。

俺はただ、雰囲気でこのゲームをやっている。




「わっしーのプレイキャラは、『メイリ―お嬢様』なんだね」




横の龍宮寺が、ぼそりとつぶやく。


迷宮メイズの冒険者はランダムに選ばれる。

現在実装されているのは10名くらいだったか・・・

3ヵ月に一回ぐらい新キャラも実装されている。


キャラごとにステータスが異なり、固有スキルなんかもある。

何より、個別にキャラごとにストーリーがある。



最初ダウンロードした時このキャラが当たった。

アプリを消して再ダウンロードすれば、欲しいキャラが出るまで粘れる。


もっと欲しいキャラも居たものの、

ダウンロード時間が面倒だったので

そのままプレイする事にした、今では結構愛着が湧いている。




「私は、『踊り子マール』だよ」




(ッ・・・・俺の欲しかったキャラ・・・)




「ホント、エッッッッだよね、くるくる回ると胸が たゆん として、エッッッッだよね!」




(やめて、同意を求めないで)






$$$







咲宮さんの使用キャラは『盗賊シフ』だった。

罠抜けスキルを固有でもっている地味に優秀キャラだ。

あるネット記事では、結構ガチ勢に推されてたっけ・・・




「流石、咲宮さん」

仕事のできる効率的ガチ勢思考だな・・・





「たまたま・・・当たっただけです・・・」


咲宮さんは、目線を合わせず、歯切れ悪く答える。

なんだろう、後ろめたい事でもあるんだろうか





「ふーん、シフ君か・・・シフってちょっと・・・わっしーに雰囲気似てるよね!」





「え、そうか?」

俺はあんな根暗じゃないぞ



「ひ」



龍宮寺は短い悲鳴をあげて

俺の方にすり寄ってくる。


「今、とーかさんが、凄い形相で私の事をにらんでた!」


俺が咲宮さんの方をみると

彼女はぷいのそっぽを向き「別に」と言って話をはぐらかした。




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