第8話 満員電車で女子高生に痴漢される



電車の中で近寄ってはいけないモノ




それは女の人である。

万が一セクハラ冤罪で訴えられたら、

裁判沙汰になり、疑惑であっても、職場からの一発退場である。



今日の朝の電車は、この時間にしては、珍しく混んでいた。



周りは男の人ばかりだ、よし、周囲の安全確認よし

心の中で安全呼称をおこない。

そのまま、吊革につままってぼんやり過ごす。




そのままつい、眠りそうになる。




ん・・・




何かが俺の体をまさぐっているような感覚を覚える。

ん・・・

これはもしかして痴漢・・・


俺は男だぞ

いや、男性だって痴漢される可能性があると

ネットの書き込みで見た事がある、そんなまさか・・・



目を開けると



目の前に居たのは女子高生だ。

『星城高校』の制服・・・


昨日、俺の事をちらちら見てきた女子だ。



どうする?声出した方がいいのか・・・きゃーって声出すのか、馬鹿な・・・




「おい」




俺が声を出すと





「!」




彼女は俺に気づいてはっとして手を挙げる。

片手に持っているのは・・・スマホ?







$$$








「いや、痴漢じゃないですッ」




必死に否定する彼女


「あなたのスマホを探してただけ」



「なんで俺のスマホなんか?」





「なんでってそりゃ・・・私も迷宮メイズのプレイヤーだから・・・TAPで蘇生して欲しくて」





「・・・」

「?」



「それはいいが・・・どうして俺がそのソシャゲプレイしてるって知ってるんだ?」




「それはもう、毎朝、あなたが電車の中でプレイしているの、横から覗いてたからですよ」


(人のスマホの画面、横から覗くなよ)





俺はため息をつきつつ、

内ポケットからスマホを取り出すと

餌をもらう子犬のように同時にスマホをかざす彼女



「~~~んんん、やったー、これでプレイ続行できる~」





「おおっとそろそろ降りなくちゃ、私、龍宮寺楓っていいます、ではまた」



そう言って、彼女は慌ただし気に去って行った。





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