第4話 夢じゃない証拠




「その発言、ハラスメントに当たります」




入社直後、咲宮燈華の第一声であった。

その後に続く、男女雇用機会均等法の解説とわいせつ罪の判例を

ニッコリ笑いながら淀みなく話す彼女


美人新人にデレデレしていた課長はその発言に乾いた笑いで応対するしかなく、


今現在は上下の違いをわからされた子犬の様に大人しくなってしまった。


その噂はその日の内に社内に広まり

彼女を狙っていた男性社員たちはすっかり怖気づいてしまったようで・・・



この俺、鷲尾壮太は、彼女に声を掛ける気なんてはじめっから無い。

そんな噂を聞いた日には「やべー奴」と判断して

極力近づかないように立ちまわっていた。





$$$






午後の仕事は・・・




思ったよりもトラブルが起こらず、すんなり終わり

1時間残業ぐらいで退社する。


ぼんやり景色を眺めながら、電車で45分くらいの最寄り駅で降りて

コンビニで夕食を買って帰宅する。



シャワーを浴びて夕食を食べた後、『迷宮』のアプリを立ち上げる。

注意深く二度見する。





(蘇生されてる・・・あれは・・・夢じゃなかったのか?)




一日でプレーできるうちのあと2ターン

せっかくだから、進めよう。

ルーレットを回す。



よし、いいアイテムが手に入った。

『栄養剤』はバットステータスのひとつをランダムで解消するアイテムだ。


ここしばらく、

不幸マスを踏みまくって【疲労困憊】【頭痛】【不眠症】【毒状態】【空腹】

のバットステータスが5個も付いていたからな・・・


ひとつ解消できるだけでもありがたい・・・


俺は即座にアイテムを使って、ゲームの主人公を労ってあげる事にした。



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