隣の芝生も......
般若出張の為、私達奥方は女子会を開く。といってもシェアホームのリビングで。
旦那様達は子守中。カイだけおばあちゃんちです。
「いやぁ毎日大変だよね。綾」
「私が?」
「このシェアホーム来てから、見渡す限りでは一番ややこしいわっ般若が」
「理想の旦那さんは誰かな〜」
「みのりのとこは鉄板だね。理想の旦那NO.1」
「たしかに。休憩時間に帰ってきて子守変わったり凄くない?みのりをランチ連れてったりさ。家族愛つよし!うらやまちー」と、あこがいう。
「あこの旦那さんたけしさんさ、なかなかいい旦那さんだよね?」
「はーっ。なんで?」
「こないだも、子供達の寝顔見てこれがあるから頑張るんだって。普段から優しそうだし」
と、かずぴの言葉に、あこのいつもの強気が消えた.....。
「ふ 私が悪いんだわ」
「どうした、あこ.....」
「私さ、性分かな。子供産んだら強くなっちゃって。たけしがしてくれる事も全部当たり前になって。感謝どころかさ、あれしろ これしろ 私は大変なんだよアピールばっかしてきた。
気付いたらさ、たけしは冷たーくなった。もう。この溝は埋まんないな。
今度は冷たいたけしに腹立ってさ。だから、子供成人したら別れるってお互い承知し合った。」
「え?!!!」
黙って聞いていた私は、だからあの時のたけしさんの冷たい顔は、まるで私のようだった。と理解した。
子供が成人するまでって、15年はある。
「それまでずっと一緒に暮らせるの?または気持ちが変わるかもって?」
私は不躾な質問をした。
「んー。気持ちは変わらない気がする。小学校までかな同居は....」
現実的な選択をしているあこ夫婦。うちはとても非現実的な選択をしているのかも。選択したのはまだ私ひとりだけどね。
シリアスムードな私達は、すっかり旦那様ではない人達が来るかもしれないのを忘れていました。悟さんと兄です。
「あれ?なんでレディだけ?」
兄がすっとんきょな顔でたちんぼです。その後には悟さん。
「今日は女子会。旦那様達は各家で子供たちといるよ。うちのあの人は出張だって」
「そっか。綾、じゃゆっくりして。俺らはアトリエ行くわ」
と、兄は悟さんと屋上へ消えた。
私達は早めに切り上げた。
「次はやっぱりうちの店だね。落ち着かないよね~」
私はアトリエへ向かう。あのコンビがどうなったかチェックしに。兄はいったい何処で寝るつもりやら。
「お兄ちゃん.....」
え?!お酒を飲みアトリエのソファで爆睡の兄.....。
カイはおばあちゃんちに泊まりだし。兄は家の寝室片方使えると思ったら.....まさかの。
さすがに兄は私達にも運べないわ。
とりあえず毛布を持ってきてかける。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
......起きないのでした。
悟さんと下に降りた。
「マンション帰るよ。あっその前にカギ。鍵とりあえず簡易なのつけるよ。寝室に。あ。うるさいかな音」
とりあえずは家に入った悟さん。
寝室ドアを見てまた今度だね。と部品と道具を置いた。
「あれ?カイは?」
「おばあちゃんとこ」
「あ そうか」
どうしましょ。この微妙な流れ.....。
1階のリビングで立ち去るに立ち去らない悟さんに私はビールを出しました。
「なかなかいい感じの部屋になったね」
「うん。うちは極端に物少ないから。完成時と変わり映えしないかも。」
「たしかに、生活感ないな.....」
「じゃいくね。おやすみ」
......去りゆく背中をみるとあまりに寂しくて、悟さんに後ろから抱きついた。あ.....生殺し.....。
悟さんはこちらを向き私を強く抱きしめた。
「はぁやっぱりたまらないよ。綾に触れたい、もっと触れたい。綾の理性みたいなの全部かき乱して壊したい.....」
私にまだ理性があることを、悟さんはわかっていた。
「どうしよう。理性がなくなったら.....」
「その時は全部俺に任せて、委ねて.....俺が全部もらう。綾もカイも.....」
今の言葉、もう白雪姫の小人ではありません。
「綾 どうしても裁きたいのか?そんなことしなくてもただ....」
悟さんはそこまで言って言葉をのみ込んだ。
そうね。ただポイッと粗大ゴミみたく捨てられたらいいのに。私はなぜ裁くことに固執するのか。
悟さんの胸の中に私はまだいた。
「今キスしたら、俺止まれるかな.....」
さぁわからない。でもこの場所はさすかにまずいん.....
もうすでに私の唇は猛烈に奪われていた.....あなたなら他でいくらだって相手は作れるはず。わさわざ生殺しに合わなくても......。
あまりにも激しいキスの嵐に私はリビングのソファに座り込んだというより、押され倒れた。
それでもキスは続く......私の髪を後ろに梳かすようにしながら髪に指を絡ませ頭をもって。そう私がまたキスをかわさないように。
彼の唇はまた私の首まで這う。思わず私は自分の手で自分の口を押さえた。理性を保つのに必死なわたしが悶えるのを見逃さないかのように、時々私を見ながら、首から胸元に行きたいのを我慢してまた戻ってきては......
呼吸が荒くなる私をじっと見る悟さんは興奮状態.....。
――――カチャ.....二階のドアが開いたような音。
私達は瞬時にはなれ、乱れた髪、服を整えた。
とぼとぼと、階段を降りてきた兄だった。
「俺寝てたわ。綾〜兄ちゃんどこで寝たらいいー?あいつのベッドは嫌だからな〜」
「じゃソファね」
「はいよ〜」といってさっきまで私が乱れかけてしまったソファに寝る兄。
危機一髪.....兄のおかげか兄のせいか。
悟さんは、何も言わず私の頭をぽんぼんとして帰った。
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