第7話

数十分後、琉羽が様子を見に来たけれど合わせる顔なんてあるわけもなく、食事はパスすることにした。

今頃琉羽は母様と楽しい夜を過ごしているんだろう。

娘を放っておいて他人の子供と楽しくディナーできる母の気持ちは微塵も分からないけれど、琉羽には嬉しいことだろうし私は何も見てないふりをしておこう。


♪〜


ふて寝でもしてやろうと布団を被った瞬間に着信音が鳴る。


「どうした〜文音〜。」

『どうしたじゃないよ。SNS見てたんだけど、あれなんなの!?』


何故かご立腹な様子の親友様をとりあえず宥める。


「見てないけど何かあったの?」


高校生なりにSNSはやっているけど見るばっかりで投稿をすることはほぼないので、私の事ではないだろう。


『折山、なんか女の人とご飯食べてるみたいだけど!』

「あー。それ私のお母さんだよ。」


なんとはなしに伝えると、音割れするレベルの"はぁ!?!?"という声が聞こえて、思わず携帯から耳を離す。


『────じゃないの!?』

「なんて?」

『折山って陽菜のこと好きなんじゃないの!?』

「それがそんなことないのよ。」

『じゃあなんであんなにベタベタしてんのよ。』

「私が琉羽の好きな人に似てるからだよ。」


それしか理由は見当たらない。


『好きな人ってまさか陽菜ママじゃないでしょうね!?』


これを言ったら文音の怒りが最高潮になりそうで苦笑いする。


『何も言わないってことはそうなんだね!?でも陽菜は折山が好きなんでしょ?』

「うん。」

『なんなのこの地獄は…。』

「あはは。そんなの昔からだから慣れちゃったよ。」


私の言葉に文音はまた怒りを滾らせてしまい、"このままじゃ折山殴りに行きそうだから明日全部説明して!"と電話を切られてしまった。

自分のために怒ってくれる友達が私にはいるんだなぁ。

落ちていた気分が少しだけ回復するのを感じて、私はそのまま眠りについた。

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