第4話

放課後。

家に帰る道すがら琉羽に会い、そのまま彼は、当たり前のように私の家に上がり込んだ。


「…琉羽さん…?」

「どうしたの?」

「今日はお母さん仕事だよ。」

「そうみたいだね。」


ニコニコと上機嫌な琉羽の後ろに思いっきり振られているしっぽが見える。


「ほんとに琉羽は私のお母さん好きだね。」

「それ土曜も言ってたけど、おれおばさんのこと好きって言ったことある?」

「覚えてないの!?」


首を傾げている琉羽にわざとらしくため息をこぼして説明する。


「私たちが5歳くらいの時に、琉羽が琉羽のままに"琉羽は陽菜ちゃんが好きね"って言われた時にお母さんの方が好きって言ったじゃない。」

「おれ、美紀さんのこと好きなんて言ったっけ。」

「ほら、たまにお母さんのこと名前で呼ぶし。お母さんにはお父さんがいるしやめた方がいいよ。あの日のことは私お父さんに黙ってるし。誰だって間違うことはあるよ。」

「間違い?」


『あの日』というのがピンと来ていないのか"いつのこと?"と呟いている。

もうあれはちょうど2年前くらいか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る