仲間に魔力を奪われ、パーティーを追放され全てのステータスがFランクに落ちた元勇者だが世界最強の「魔力効率化」術式があるので自分を拾ってくれたFランクパーティーと共に成り上がる
第4話 アレン(主人公)がブチギレるまでの話
第4話 アレン(主人公)がブチギレるまでの話
孤児院に着くと怪我を負った子供達はいたが幸い命を落とした子はいないようだった。
しかし
「おばぁちゃん!!」
俺以外のイル、ビエーブ、リップ、シオンが駆け寄るその人はこの孤児院の院長(名前はアイル)をしている人だ。
魔物達から子供達を庇い1人瀕死の重症を負っていた。
「どうして急にこんなことになったの!?この村の周辺にはおばぁちゃんが結界をはっていたじゃない?」
イルは孤児院のある村の村長に尋ねる。
「そうなんだが、それが昨日の晩破られたんみたいなんだ。それでゴブリンの群れが村を」
「ゴブリンがあれを破ったということですか?」
ビエーブが口を開く
「そんなまさか、おばぁちゃんの結界をゴブリン何かが破れるわけない。」
「ではゴブリンではないもっと強い魔物が破ったということですね!」
シオンがそんな結論を口にする。
いや、見るからにアイルさんは魔法熟練者だ。そんな人が作った結界を破れるほどの魔物がこの地域に出るとは思えない。
だとすると…
「村長!何か助ける方法は無いの!?」
「いや………医者にも来てもらったんだがアイルさんはもう…」
「そんな…嫌だ!おばぁちゃん!」
シオンが悲痛な叫びをあげ泣きじゃくる。
リップとイルとビエーブは拳を握りしめ涙をこらえている。
「アレン。何かおばぁちゃんを助ける方法はない?」
イルが俺に問い掛ける。
その表情は俺を信頼してくれている様だった。
「ある。だけどこれほどの重症ならかなり時間がかかる」
魔力効率化でかなりのレベルの治癒魔法を使えるがここまで重症だと、やることは最早死者蘇生だ。
全盛期の俺でも人の生死を扱う魔法はそう簡単にはいかない。
その時だった。
「村長!大変です!」
村の男が息を切らしてやってきた。
「なんだどうしたんだ?」
村長が尋ねる。
「ゴブリンの群れがまた村に向かって来ています!」
「なんだと!?警護を依頼していCランクの冒険者パーティーは?」
「それがまだ到着していなくて…」
「なんてことだ…何度も依頼してやっと引き受けてくれたと言うのに」
「私達に任せて!」
イルが、いやロゼッタが名乗りを上げた。
「君達が?でも流石にゴブリンと言えど群れだ。君達では」
「大丈夫!ゴブリンなら倒したことあるし、それにCランクの冒険者も後で来るんでしょ?だったらそれまで持ちこたえればいいだけよ!」
「イル分かってるかも知れないが、俺はアイルさんの治療を優先するからそっちに手を貸せないぞ。」
俺はイルに忠告する。
「わかってるわ。私達だけでだってやってやるわよ!」
気になる点はあるが、兎に角アイルさんは一刻を争う状態だ。
今は信じて4人に任せよう。
「分かった。俺も早くそっちに行けるよう最善を尽くす!」
そう言って俺たちは別々に行動することとなった。
しかしそれが思いもよらぬ方向から危機を呼ぶことになった。
「これであとちょっとね!!」
ロゼッタの4人は各々が連携し、なんとか村人達が避難する場所にゴブリンが進行するのを食い止めていた。
それはゴブリンの中でもかなり弱い種族のローグゴブリンだったからというのもある。
Cランク冒険者なんか来るまでもなく私達でもやれるじゃない!
イルがそんなことを考えていると
「あ?何か全然村荒れて無いんだけど。」
「これどうするのよ?」
そう言って村にやってきたのは男2人と女1人の3人組パーティーだった。
「応援ありがとう!あなた達がCランク冒険者ね。あと少しで殲滅出そうだから手を貸してくれる?」
イルがそう言うと。
「お前ら何してくれてんの?」
意外な返答が返ってきた。
「あーあコレじゃ仕込んだ意味が無いじゃん!」
彼らはそう言うと武器を抜き一瞬で残りのゴブリン達を殲滅させた。
何とか持ちこたえた。
私は魔力も体力も使い果たしてその場に倒れ込んでしまった。
私達が全力を出して何とか抑えていた群れをCランク冒険者は一瞬で殲滅してしまった。
達成感と共に自分達の弱さを実感する。
「いやぁ!助かりました!正直かなりキツかったんで助かりました!もう動けませんよぉ!!」
シオンがそう言いながらCランク冒険者の女性メンバーに握手を求めると
「ウザっ」
彼女はそう言ってドンッとシオン突き飛ばした。
戦いで消耗していたシオンは痛みで立ち上がれない。
「何するのよ!?」
「それはこっちのセリフだよ。クソ野郎ども」
リーダーっぽい男が話し始めた。
「昨日折角この村の結界を破ってゴブリンに襲わせたってのによ。」
「今なんて…」
「だから昨日の晩この村の結界破ってゴブリン襲わせたの!」
女が答える。
「何でそんなことを」
「何でってそんなの1度襲われて苦しんだ村を助けた方が村人たちも必死になって言うことを聞かせやすいし、高い依頼料をとりやすいだろ?」
「それにまとめて雑魚狩りもできるしレベルアップにも繋がるってこと。」
女が得意げにそう付け加える。
「だが蓋を開けてみたら村人全然死んでないし。だからもう1回襲わせたんだけど、今度は何か邪魔入るし。」
そんな事のために私達が育った孤児院を、私達の大切な人をあんな目に
許せない……
「しゃーないなもう1回襲わせるか。」
そういうとリーダーらしき男が角笛の様なものを取りだしそれを吹いた。
「ゲスが!!」
イルは飛び出し男が吹くのを止めようと飛び掛る。
しかしもう1人いた屈強な男がイルの拳を軽々と受け止めブンっと投げられる。
イルは全身を強く打ち意識が飛びそうになる。
「つーかお前ら弱すぎね?ローグゴブリンにそんなボロボロになって。まさかお前らが噂に聞いたロゼッタとかいう最弱パーティー?」
「きゃはっ!初めて見た!ホントにこんなに弱いんだぁー」
くそ、くそ、くそ!
こんなヤツら万全の状態だったら……いやそれでも勝てないだろう。
こんなゲスにも勝てない程私達は弱い………
「あ?何だよその反抗的な目は、ムカつくな。よし決めた!ゴブリンが村を荒らすまでまた何処かで暇つぶしするつもりだったけど、その前にお前に俺の靴でも舐めてもらうかな。」
「誰がそんなことするもんですか!」
「あなた達のような外道に屈するわけないでしょう!」
ビエーブとイルが抵抗する。
「そうか?じゃあこれならどうだ?」
リーダーらしき男が屈強な男の方に合図すると、その男は力を使い果たして倒れ込んでいたリップを掴む。
「何を?リップを放しなさい!」
飛び掛りたいが体が動かない。
「こうするんだよ」
屈強な男は大きく振りかぶるとリップをここから30メートルはあるだろう村の入口の方へ投げた。
物凄い勢いでリップは飛んでいきイルとは比べ物にならないほど強く地面に打ち付けられる。
リップの体は小石のようにゴロゴロと転がり転がった跡には血がベッタリと着いている。
リップの口から血が吹き出る。
「このクソ野郎がーーー!!!」
「許さない!」
「お前らぁぁぁぁ!!」
イル、ビエーブ、シオン3人の怒りは頂点に達する。
「ハハハハハ!そんなこと言っていいのか?このままだと村に着いたゴブリンに1番最初に襲われるのはあのガキだぞ。」
3人はハッとする。
そうだこのままだとリップが真っ先にゴブリンに襲われる。
助けに行こうするが3人とも体が動かない。
「どうした?行かないのか?そうか動けないんだよな。どうする、今ここで俺の靴を舐めれば助けてやらんことも無いぞ。」
「くそ!くそ!」
イルは地べたに這いつくばりながら拳を地面に打ち付ける。
「待ってイル直ぐに私の治癒魔法で」
ビエーブが残りの魔力を使って魔法を唱えようとすると
「そんなことさせるわけないじゃーん!」
女がビエーブを蹴り飛ばす。
ビエーブは頭を強く打ち気を失ってしまった。
「アハハハハ!どうした?やるなら早くしないと…ほら見てみろよ。」
リーダーらしき男が村の入口を指さすとなんともう見えるくらいゴブリンの群れが近づいていた。
しかもさっきのようなローグゴブリンではなくそれよりも2回りも大きいゴブリンばかりだ。その上その中にはオーガも混じっていた。
「おっと、さっきよりも魔力を込めて角笛を吹いたから強いの来たな。」
やるしかない。
イルは覚悟を決める。
今こいつに屈してリップが救われるなら私は何だってしてやる!
私はロゼッタのリーダーなんだから!!
やっと出来た私の家族なんだ!!
その時だった。
「そんなことする必要は無い。」
私達の間を凄まじい風が通り抜けた。
いや、違う。
そうだ私達に出来たもう1人の家族だ。
アレンはものすごいスピードでリップの元まで辿り着く。
「なんだ?」
「ねぇあのガキの所に誰かいるよ!」
「ん?誰だあいつ」
Cランク冒険者達は彼の方を見る。
「あんた達はねぇ…」
イルが口を開く。
「なんだあいつ誰なんだ?」
リーダーらしき男はイラついた様子で尋ねる。
「あんた達は選択を間違えたのよ。」
「はぁ?何言ってんだお前?あいつは誰だって聞いてんだよ。」
「アイツってのは俺の事か………」
アレンはいつ間にかリーダーらしき男の背後に立っていた。
その手には傷だらけのリップを抱えている。
「俺の家族に何をした?」
{あとがき}
次回は20時くらいに投稿予定です。
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