エリアード (短文詩作)

春嵐

エリアード

「エリアードは?」


 いない。


「疲れてるんだろうよ」


「いや、そうか、まあ、そうだな」


 疲れているだろうけど、結局のところ違う理由のはず。


「ここで解散?」


「まあ、やることはやったしな」


「じゃあコンビニ行ってくるかな」


 コンビニを理由に、その場を離れる。

 エリアード。ひとりで泣くときは、路地裏。どこだろう。位置情報も切られている。

 なんとなく路地裏をぐるぐる回っていく。


「お」


 いた。しゃがんでうずくまっている。

 泣いてた。

 とりあえず後ろに陣取る。声をかけることはできない。

 人一倍がんばって、そしてひとりで泣く。それがエリアード。しかたのないことなので、まあ、眺める程度しか、できることがない。

 泣いている。路地裏。光は差してくる。彼女の静かな泣き声だけが、聞こえる。それだけの時間。

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エリアード (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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