第14話 お買い物ファイナル
また、やっちまった。
これアイツ以外にやったらセクハラ案件だぞ。
セクハラなのか?気付いてなかったし、それにもし見られても実害はないんだからいいんじゃないか。そう思わなくもないが、気持ち的によろしくないのは想像に難くない。
反省だな。
で、それはそれとしてこの後、ふう先の家に行かなければならない。だから、由香が戻ってくるまでにその道を確認しておかないとならない。
そう思い。ふう先から送られていたGoogleマップの案内をみてみる。
だが、あろうことにそのリンク先にあったのは北海道のよく分からない場所だった。ふう先、やってくれたな。そう思い
『おい、全く関係ないところじゃねぇか』
と送った。
今回は送ったのとほぼ同時に
『あっ、やっと気づいた笑』
と返事がきた。そして、次に
『だから言ったでしょ。頑張って見つけてねって』
とも送られてきた。
おいおい分かるわけがない。そう思ったが一応、その家の周辺の写真を詳しくみてみた。
すると、なにやら公園のようなものがみえた。
これは……
エグラークス公園。俺が昔、よく行っていた公園だ。
意外だ。ふう先はこんなところから通っていたのか。
エグラークス公園は2個隣りの市にある公園だ。ここからだと30分ぐらいかかる。
たしかに許容範囲ではあるのだが、なにか特色があるわけでもないこの高校にわざわざ来るなんて……
でも、それは俺が詮索すべき事じゃないし変に首を突っ込むのは今はするべきじゃないだろう。
大体、場所は分かった。となれば、行動あるのみ。とはいえ、突然家に入ってこられたら流石に迷惑になるだろうから、連絡は事前にしておかないと。
『大体、場所は分かった。今から向かう』
予想通りというべきか、すぐに返信が返ってきた。
『おっ、早いね』
『分かった。待ってる』
ふう先からの了解も得られた。
次に、電車の時刻を調べる。10分後か。ここから駅までは500m程だ。まあ、悪くない時間だ。
「よし、行くか」
そう思い、歩を進めようとした瞬間。
「ちょっと、待ちなさい」
そう言われ、肩を掴まれた。
なんだ?状況がのみこめない。
だが、考えるのは時間の無駄だろう。
「すいません。失礼します」
てきとうに一言、返して立ち去ろうする。
すると
「こらこら」
今度は耳を引っ張られた。
痛いと思い。その方向に振り返るとそこに、越崎由香がいた。
「あっ、忘れてた」
そうだ、コイツと一緒に買い物してたんだ。ふう先とのLINEをしている内にうっかり忘れていた。
「はあ。やっぱり」
やっぱりってなんだよ。なんで俺の評価そんなに低いん……そりゃ、そうか。今までの自分の行動を省みたらそんな事は言えない。
「悪かった、越崎。他の事に集中したら忘れてた」
今回は、ホントに反省している。
怒っているだろうか、そう思い越崎の顔をみる。
すると、彼女は少し目を大きく開けて驚いた顔をしていた。
「おい。どうしたんだ」
「ううん。別に。ただ、呼び方が前に戻ってるんだと思っただけ」
ああ、そのことか。
「もう契約は切れた。無事に買い物は終わった。だから、元に戻しただけだ」
「契約って……そのまま由香って呼んでくれてもいいのに」
俺としても呼び方はどっちでもいいんだが。
「じゃあ名前で呼んだ方がいいのか?」
「別に私はどっちでもいいけど」
煮え切らない奴だ。
「ならこうしよう俺がジャンケンで勝ったら、苗字でお前が勝ったら名前で呼ぶ」
「えっ、めんどくさ」
っ!なんなんだコイツは
「越崎由香これから俺はお前をこう呼ぶことにする」
電車に乗らないといけないので適当に結論付けてこの場を後にすることにした
「じゃあな」
「ちょっと、待って」
声をかけられるが電車に乗り遅れると面倒なので走って逃げることにした。
鈴の音が鳴る前に さらぎれい @Reito1029
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