第12話 お買い物その6

さてと、髪留めのコーナーに来てみたものの、色々あるんもんだ。輪ゴムみたいな奴に、ピンの奴、それにシュシュっていうんだっけ大きい割に軽そうな奴と色々あった。

たしか、ふう先は加工しやすいからゴムの方がいいって言ってたっけ。でもな~、ゴムの奴って基本的に全部同じような感じで面白みがない。

ピンの奴は硬そうだから加工には向いてなさそう。やめておいたほうがよさそうだ。

となるとシュシュか。

うん。種類が多すぎる。

俺のイメージではこれって、大事な式の時に大人が付けてる白い奴ってイメージだったがどうやら、それだけではないらしい。

まず、たくさんの色がある。それも一つの色だけじゃなく、二つでのしま模様の奴とか。とにかく多い。そして、形も様々だ。普通の丸い奴に加えて、蝶結びみたいなのがある奴とか、中が凹んでて両サイドが膨れてる奴とかとにかく多い。

一通り見るだけでもマジで大変だ。そう思いながらもぶらついていると一つ俺の目に留まったものがあった。形は恐らく最も一般的であろう円形で上はうねうねさせている奴だ。俺が気に入ったのはその色だ。カラーだ。外に黒と白のラインがそれぞれ一列ずつ引かれており、中央はアクアマリン色?という緑に少しよった水色となっているものだった。これは鈴佳にというよりも由香に似合いそうだと思った。せっかくだし、これも買うことにする。

となるともう一方は、シュシュじゃない方が良い。

理由はなんとなくだ。

そうなるとやはりゴムの髪留めということになる。先程は似たようなものしかないと思い避けたが仕方ないだろう。そう思い次はゴムのが多い方に行った。

ここでもやはり、自分の無知に気付かされる。想定していたよりもたくさんの種類がある。

やっぱり基調は黒いゴムだが、そこに星やらハートやらが付いているものもあった。正直、おしゃれかどうかは俺には判断できないが俺としては結構こういうのいいと思うので、この系統でいこうと思う。

星のマークのこれなんてアイツに似合うと思う。ダイヤのマークは残念だが微妙になりそうな気がする。なんか、互いに足を引っ張り合いそう。そう考えると星マークのものになる。由香を待たせたら悪いしこれにしよう。

そう思い、レジに向かっていると花マークがついている髪留めを見かけた。それも橘だ。せっかくだし買っておくか。

そう思ったがやめておこう。苗字が橘だから、橘の髪留めをプレゼントってなんか単純だし、名前だけで決めるなんて失礼だろう。

だから、俺は一度は手に取ったその髪留めはもう一度、元の場所に戻して再びレジに向かった。

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