第3話 その続き

「鈴佳が、二重人格!?

小学の時、同じ学校だったけど、そんな感じしなかったし、そんな噂も聞いたことなかったが」

「噂に関しては零斗が知らなかっただけじゃないの?

どうせ、クラスの端っこで、ずっといた系でしょ」

「ちげえよ、普通に休み時間になったら、みんなでドッチとかサッカーとかしてたわ。友達も人並みにはいた。多分。

あと、悪いけどこれは真剣な話だから、ふざけるのはやめてくれ」

「ごめん」

「気にしてねぇよ」

「こんなの聞いていいのか分からないけど、零斗って橘さんの事、好きなの?」

「いや。どうやら、そうじゃないらしい。さっき確認できた」

「確認って……零斗やっぱり変わってるね」

「余計なお世話だ」

「橘さんの事は私も調べてみるよ」

「それは俺がやる。危険な事があったら俺のせいになるかも知れん。それより、越崎は鈴佳と仲良くしてやってくれ」

「理由が最悪だけど、ホントは私の事を心配してくれてるんでしょ。ありがと」

「……」

「黙っちゃって。照れてるの?零斗、カワイー」

返す言葉がないし、恥ずかしいので頭を埋めて寝たふりをした。

「あれ、零斗。寝たふり?よくないよ。

わぁー、わぁー」

その後も何か、言ってたが最終的には

「もういい。私、橘さんのところ行ってくる」

と言って席から離れていった。

「ありがとな」

小さな声でそう言ったが

「やっぱ、起きてたし」

どうやら、聞こえてたらしい。


さて、鈴佳の件だが、どうしようか。まだ、出会ってすぐだか、おそらく越崎はあの場面で嘘なんてつく人間じゃない。

と、なったら二重人格を解消することが俺の辿り着くべき場所か

無理じゃねぇか。いくら進み続けても、辿り着くべき場所が見えてても、道を間違えたら辿り着けねぇ。どうすりゃいいんだよ。

確か、二重人格は前天性のものと後天性のものがあったはずだ。

これは、俺の予想でしかないがアイツのは後天性だろう。ただの勘だが。

そうなら、なにか原因があるはずだ。この間、読んだ小説には辛い事から逃げるためもう一つの人格ができるって書かれてたんだったけ?小説だから、フィクションの可能性もあるし、家帰ってから調べるか。

………

………

………

「如月くん。如月さん。如月ー」

「んっ?」

「ようやく、起きましたか。入学初日から寝るとは面白いですね。中々、気に入りました。

あなたが、このクラスの委員長です」

「「えっ」」

2人の声が重なった。1人が俺だがもう1人は

「なんでですか先生。俺が委員長じゃなかったんですか」

「確かに、先程はあなたに頼みましたが、気が変わりました」

「そんな勝手な事って」

「クラス委員長を決める権利は私にあります。諦めてください。#齋藤計__さいとうけい__#くん」

「んっ……はい、分かりました」

「ちょっと、待ってくれ。なんで俺なんだよ」

絶対、意欲ある齋藤計の方がいいだろ。多分。

「居眠りしたあなたにそんな事、言う資格ありせんよ」

「……」

そう言われたら何も言い返せない。

「それとは別に、この罰として放課後ちょっとした雑務をして貰います」

今更、何を言っても聞き入れられないだろう

「分かりました。何をすればいいんですか?」

「それは、後で話します。これ以上、あなたの事に時間をかけていられません」

「すいませんでした」

「では、話を続けていきましょう」

そう言って、先生はこの学校について色々、語り始めた。


「よっ、委員長」

「なんだよ、越崎。ってか、横にいるんだから起こしてくれてもよかったじゃねぇか」

「人との話の途中でねる人の事なんか、起こしてあげるわけないじゃん」

「うぐっ。それは、至極真っ当な意見でございます」

「反省してる?」

「勿論。話は変わるがどうだった鈴佳は」

「めっちゃ、可愛くていい子だった」

「だろ?」

「なんで、あんたが自慢げなの?私は、すずちゃんを褒めただけであなたの事は褒めてない」

すずちゃん?

ああ、鈴佳のあだ名だろう。

「別にそんなつもりはなかったよ。ところで何でお前、最初は二人称、あんただったのにあなたに変わったんだよ」

「別に深い意味なんてないよ。言葉の雰囲気に合わせて変えてるだけ。二人称だけじゃなくて一人称もね」

「そうなのか」

「そうだよ」

あっ、そうだったコイツも淫夢知ってんだった。


「これで話は終わりです。では、如月くん以外は解散です」

「終わった、終わった」

「全く、話が長い」

「あくしろよ」

だから3人目の淫夢中(俺)やめろよ。

「じゃあね」

そういって、越崎も帰った。

鈴佳もちょっと、こっちの方を見た後、帰っていった。

「さて、如月くん。これからあなたには、学校に届いた教科書を全5クラス分に分ける作業をしてもらいます。全クラス40人なのでお願いしますね」

「はい。その教科書はどこにあるんですか?」

「ついて来てください」

言われるがままに先生についていくと211教室(2階の階段を上ってすぐの教室)に着いた。

「では、頼みました」

「ちょっと、いいですか。先生?」

「なんですか?」

「俺の事を呼ぶときは零斗か、零斗さんって呼んでくれますか」

「どうしてです?」

「くだらない理由ですが聞きます?」

「なら結構です。零斗さん。

なら、私の事も先生ではなく名前も含めて読んでください」

「了解です。小木先生」

「では、今度こそ私は仕事に戻ります」

そういって小木先生はおそらく職員室に戻っていった。

「多い!」

でも、サボったら何されるか分からないしやるしかないか。

そう思い、一個ずつやっていった。

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