第2話 続き
「それでは皆さん、たった一度の高校生活。後悔のないようにしっかりenjoyしてくださいね」
パチパチパチパチ
校長先生のありがたいお言葉(笑)がようやく終わり入学式は終了した。
「この後は学校生活の諸注意を説明したり、委員長を決めたりします。私は忘れ物をしてしまったので、ちょっとまってて下さい」
そう言って、哲也助は教室から出て行った。ちょうどよく時間もできたし何があったし越崎に鈴佳との事を聞くか。
「越崎。ちょっと、時間あるか?」
「何?早速、告白?確かに零斗はルックスいいし話して楽しかったけどもうちょっと互いの事を知ってからにしようよ。ねっ。」
「ちげぇよ。1つ、越崎に聞きたいことがあるんだ」
「分かってるって。別にいいよ。でもその前に私も1つ。零斗は自分の事、零斗って呼ばせる癖に私の事は名字で呼ぶんだね」
「お前も、名前で呼んで欲しい人なのか?」
「そうじゃないけど…私だけ名前で読ぶのは不公平な気がしただけ」
「分かったよ。えっと、なんだったっけお前の下の名前。ゆ……ゆ……そう、ゆきだ。
ゆき。これでいいか」
「違うよ。ゆきじゃなくて
「なんだ?それ?」
「中学時代のあだ名。自分で考えた訳じゃないよ」
「お前のことだからてっきり自分で考えたのかと思ったよ」
「なわけないでしょ」
越崎はちょっと頬をぷくっとさせてそう言った。
「かわいいな」
「え!?」
越崎がなんか高い声を出した。
「どうしたんだ?」
「いや、急に可愛いとか言われたから……」
小さな声で言うもんだから終盤は聞き取れなかった。
「頬をぷくってしてたのが可愛いとおもっただけだが」
「そんなこと、真顔で言わないでよ」
「別にいいだろ、悪口言ってるんじゃないし褒めてる」
「やっぱり、零斗ホントに私のこと好きなんじゃないの?」
「ちげぇって言ったろ。そもそも俺、恋なんてした事ねぇから好きが何かすらわからねぇよ」
「それって恋心に気付いてなかっただけじゃないの」
それはねぇよ。と言おうと思ったが、その時ふと鈴佳の顔が浮かんできた。いやなんでだよ。確かにアイツ、顔はいいし、コミュ力も高い。でもそれだけだ。別にいつも一緒にいたいとは思わねぇし、話しててテンションが上がったりもしねぇ。何より、3年間もろくに会ってなかったのに恋心抱いてたら凄すぎだろ。まあいいや。もし、俺の鈴佳に対する気持ちが恋なら、恋という言葉の重みがなくなるだけだ。何が言いたいかっていうと1番それらしいのが鈴佳だが、告ろうとはおもわねぇから*本物の恋*はしてないということだ。
あっ、鈴佳といえば
「全く話変わるんだが、お前さっき鈴佳となんかあったのか。あっ、橘 鈴佳な」
「あっ、え~と」
明らかに越崎は動揺した。本当ならここは引き下がるべきところだが、さっきの鈴佳のあの顔をみてしまったんだから、このまま引き下がるわけにはいかねぇ
「話しにくい事なんだろうけど教えてくれ。アイツ、さっき、お前に話しかけに行ったのに友達になれなかったって言ってたんだ。アイツの性格知ってる俺からすると納得いかねぇんだ。きっとどこかでなんかすれ違い的なのがあったと思うからその……やべぇ言葉がでねぇ」
「………」
越崎は無言でいた。きっと、俺の言葉の意味が分からないんだろう。もっと簡単に、もっとはっきりといわねぇと
「俺は、アイツが心配なんだ。助けてやりたい。友達ができないと泣いてた。だからお前から原因を聞いて、解決方法を考えたい」
「零斗は、優しいんだね。
でも、多分これは零斗には解決出来ないよ。そして、橘さんにも解決出来ない」
「?、それでも出来る事はあるはずだ。教えてくれ」
「別に、さっき何かあったわけじゃないんだ。でも、みちゃったんだ私。何人かの男の人と喧嘩してた橘さんを。けど多分、あれは橘さんじゃない。話してた印象が全然違った。それに目つきも全然違った。だから、ちょっと距離を置いちゃったんだ。これは私の推測に過ぎないんだけどもしかしたら彼女、二重人格なんじゃない?」
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