第7話 親方も案外やるもので

その後もどんどんと拠点の制作を続けていった。

結果として水辺までの道は整備され、周辺は畑なども作られ拠点というよりは自給自足の場所といった環境が完成した。明らかに異質なモノがあるのではあるが。

エメラルドの彫刻が乱立しているのだ。それはもうなんか周辺が緑一色な感じで。

エメラダが拠点に襲いかかってくる魔物達を退治した結果ではあるのでありがたいといえばありがたいのだが。

「主殿、次はなにをつくるのかの?」

井戸のそばで丸太製のソファに魔物の毛皮を敷いたお気に入りの場所でくつろいでいるエメラダがそう問いかけてくる。優雅。ほんっきで優雅。

「鉱石が足りないので探しに行きたいのが本音なんですがね」

親方を細かく操作しながら拠点の周辺にエメラルドの彫刻と木でできた塀を設置しながら答える。私なら近づかないレベルで不気味な塀ができあがりつつある。

「では、それを目的として主殿には少しばかり強くなってもらおうかの」

エメラダはそう言うと一瞬で衣装を通常時のそれに戻し、ふよふよと浮きながら近づいてきた。

ここに近づいてきている魔物がいるのは私にも気配でわかっていたのだが。あれ?今回は手伝ってくれないの?

「今の主殿であれば問題ない手合いであろうよ」

やってみなされ~とでも言うように塀に腰掛けエメラルドの彫像をなで始めた。

ずいぶん早い速度で近づいてくるのでどんな魔物かと思って見てみたら土煙を上げて走る亀であった。いやその巨体でぶつかったらこの塀では無理でしょう。とっさに丸太を投げ捨てさせた親方を塀の外側へと進ませる。

ここまで作った塀を壊されるのは勘弁ならないので、親方を操り魔物の迎撃に移る。やってきたのは亀を大きくしたような魔物だった。

「親方!いくぞ!」

魔力糸を通じて親方へ命令を伝えていく。地面に置いていた杭打ち用のばかでかいハンマーをつかみ上げた親方は突進してくる亀の頭に向かってタイミングを合わせフルスイングする。何かが爆発したかのような爆音が響き、一瞬の後土煙が周囲に噴き上がる。エメラダは謎バリアーで土煙を防いでいる。手応えはあった。位置取り、角度ともに完璧のスイング。土煙が晴れた場所を見てみると関節各部が淡く発光し、残心を決めた親方の前には頭が吹き飛んだ亀型魔獣の死骸ができあがっていた。親方の体が少しばかり地面に沈み込んでいたのは仕方ない。後で洗ってあげるから!

「亀はうまいのじゃ主殿!」

よほど嬉しかったのか足をばたつかせながら喜ぶエメラダを横に見ながらどうやって解体しようかと大きな亀を見ながら頭を悩ませる。あとあんまり足をバタバタさせると見えるから。見えるからやめなさい。

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