第5話 見た目は美少女なのに上から目線です

 弓鶴ゆずるは家に着くと直ぐにお風呂場へ向かった。

(とりあえずお風呂で綺麗キレイにしてあげるか・・・

何故なぜかそうしてあげないといけないような気がして)


 弓鶴は外に捨てて居た猫達を家に保護ほごする事に決めたらしい。


(四匹の猫はいきなりお風呂は想像していなかった)


「お風呂は嫌いだにゃ!」


「でも、わたくし達がいきなり人間になると追い出されるかも知れませんよ」


「苦手なものは嫌だにゃ!お風呂は嫌にゃ!」


 弓鶴は暴れている猫に苦戦くせんしながら子猫達を洗っている。


あばれるなって、猫は水が嫌いなのは知ってたけど

ここまで嫌がるとは」

(初めて声を聞いた)


天然てんねんちゃん、今少しの辛抱しんぼうです!

終わったら私に任せてくださいね!」


「白猫さん、そういえばまだターゲットの暗示あんじいて無いんですか?」


「まだ解いて無いよ!

だからお風呂は辛抱して下さいね!」


 流石さすがに四匹同時にお風呂は弓鶴も戸惑とまどう。

あまりにも嫌がる子猫に根負こんまけした。


 中途半端ちゅうとはんぱになったがシャンプーがついた

ままだけどタオルで拭いてあげた。


 その時、白猫が素早く部屋の方に走って

行った、まだ他の猫達をき終わってないので追いかけなかった。


 なんとか拭き終わり三匹を抱えて部屋に入ると白猫が居ない。


「あれ? 先に行ったのにかくれているのか?

何処どこに隠れているんだ!」


 突然とつぜん後ろから肩を二回(トントン)たたいた。

(暗示が解かれた)


弓鶴は頭がぼーっとしてきた・・・

意識がハッキリするのに少しだけ要したが

いきなり話かけられて困惑こんわくしていた。


金髪美女!見た目は外国人のナイスボディが話しかけてる

(ちなみに上から110.60.80です身長は175くらい)


「ちょっと君! 覚えている?

私が声かけた時の事なんだけど・・・」


腰に両手をつけて顔を近づけながら言ってくる。


俺は困惑したままだ。

「あれ?なんで家にさっきの金髪美女がいるんだ?」


「いきなりだけど意味わかってないよね!

これから説明するから、大人しく聞いてよ

質問は無しでお願いね!」


 弓鶴はとりあえず頭を縦に二回動かした。


何が起こっているか理解出来ないけど

話が通じる事で聞く態勢が出来た


「もう率直そっちょくに言うけど、私は猫なの! 

 君が拾ってくれた四匹のうちの白猫なのよ!

どうびっくりした?」


おいおい! 何言ってんだ・・・


 弓鶴はポカーンとして反応がにぶい。

声も出ず金髪美女と三匹の猫を交互に

見ているが、完全に理解できて無い。

(どうなってるんだよ)


「私達は君に未来から会いに来た猫なのよ

まぁいきなり信じてとは言わないけど

ここにいるのは間違いなくリアルだから

とりあえず少し時間をあけるから見ててくれるだけでいいから!」


「はい、と言う訳でみんな人間の姿になってくださーい!」


(え⁉︎ 何を言ってんの・・・

マジで意味不いみふめいなんだけどーーー!)


 その瞬間しゅんかんには三匹は人間になってた・・・

これで四匹が人間の姿になって俺はドキドキした。


見た目が幼女ようじょが突然言い出した。

「いきなりお風呂ってもう!にゃんて事するにゃ!

初体験バージンの責任取ってもらうにゃ!」


 なんの事ですか⁉︎初体験バージンってもしかしてお風呂⁉︎でも言い方が違う気がする。

いきなり怒り出したのは白髪のツルペタ幼女だった。

髪はサラサラの綺麗なショートヘアー

肩に届かないくらいで、服装ふくそうは白のワンピで地べたに両足を

伸ばして俺に背を向けて顔だけ向けてにらんでいる。


(いきなり怒られた〜 しかも確実に圧倒的あっとうてき歳下としした

幼女にガン切れされた〜見た目は幼女だが年齢ねんれいは知らんけど、幼女だしな〜)


 あまりにも突然とつぜんの出来事で家に着いて

今までの人生で一番長い時間になった・・・


弓鶴は息を飲んで言った、機嫌をそこねないように、慎重しんちょうに。

「一つ聞いてもいいですか?」


金髪美女が返事してくれた。

「何かしら?なんでも応えてくれるとは思わないでね」


「その人間の姿はどうやってしたんですか?」


「私達には特別な存在であり能力のうりょくを持っているからよ」


もう一人の子も応えてくれた。

「わたくし達には個々に違う能力を持っていますけど

人間の姿はみんな自由に出来ますので完全に彼女達の気分きぶんですよ」



気分って事は毎回変わるのか⁉︎人の姿が?

(おいおい、これ以上混乱こんらんしたくない)

「それは、混乱するんで、せめてお名前を聞いてもいいですか?」


待ってましたと言わんばかりに金髪美女が叫んだ!


吾輩わがはいは猫である名前はまだ無い!」


「え⁉︎夏目漱石なつめそうせきですか!もしかして博識はくしき!」


「何よもう! 猫なんだから当然とうぜんのセリフでしょ!」

同時に髪を右手で肩から上にパサッとした、なんかツンデレぽく見えた。


「という事は名前は無いって事ですか?」


「まあ、そういう事だけど、人間は名前をつけないと

死ぬのかしら?私達は匂いとかでわかるし、いちいち

名前呼んでたら野生動物世界では面倒だし、そこまで生きる

事に余裕無いのよ、それもわからないの?」


なんでこんなに上から言ってくるんだこの人は!

「いや、こっちも初めてなので考えた事が無いです」


 幼女が叫ぶ。

「それよりお腹が空いたにゃ!お刺身食べたいにゃ!」


最後の一人が俺に向かって聞いてきた。

見た目は中学生くらいの美少女だ。

「ていうか話せるんじゃないですか!

猫とは話せて人間とは話さないんですか?」


唐突とうとつに言われた〜

「え!なんで話せないと思ってたんですか?」


「私達と会うまで他の人とひと言も会話してませんでしたよね?

何か理由でもあるんですか?」


(何で知ってるんだよ!)

「え〜っと、学校では誰も話しかけて来ないから

それが当たり前になっておばあちゃんも去年死んじゃって

まぁその前から友達とか居ないから話す相手が居ない

というか、そんな感じです」


 下を向いて何処どことなく嫌な気持ちになって話してた。

そんな俺に向かって質問攻めが来た。


見た目は美少女中学生。

「え!いじめですか?何かしたんですか?」

見た目が幼女。

「食べ物の恨みは怖いにゃ!誰かの食べ物取ったのかにゃ?」

金髪美女お姉さん。

「まさか女の子にセクハラでもしたの?」

和服美少女高校生。

「言葉使いがわからなかったのかしら?」 


 なんて言えばいいのかわからず戸惑っていた時に

その子は俺を見て目が青白く光ってから言った。(え⁉︎今目が光った⁉︎)


「わかりました、とりあえず言わなくていいです。

皆さん後は私に任せてください」


「りょーかいです!にゃ」


 三人が同時に言った、幼女だけ何故語尾に、にゃを言う!

今、一瞬目が青白く光ったのを見た俺はびっくりした。

そこに幼女が割り込んで来た。


「私はお腹が空いているにゃ!早くご飯にするのにゃ!」


 いきなり見た目は美少女の四人の猫が家に来て

一人は美女だけど・・・

騒がしくなったけど弓鶴は悪い気分ではなかった

久しぶりに会話をして人間らしく過ごしてる自分に

女の子四人は初体験だけど猫だって言ってるし

未来から来たとも言ってたのは今でも理解して無い。


 頭の中を整理する時間は無くそのまま四匹の猫達に

合わせることでいっぱいだった。

まだ一日は終わらない・・・

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