第4話 [猫宮さんの居眠り]

 外で弁当やらを食べていた人たちがぞろぞろと教室に戻ってきた。

 その数分後に先生がやってきて授業が開始した。


 俺は眠気と戦いながら先生の話を聞き、問題を解いていた。

 授業も終盤に差し掛かり、今は難しい問題を解いている。

 何となく猫宮さんの方を向いてみると、頭を前後にゆらゆらと揺らし、まるでドリンキングバードのようになっていた。


「なっ……」


 つい驚いてしまったが、俺に責任があるかもしれない。

 あの弁当は普通に男子が食べるのに丁度いいぐらいの量だから、猫宮さんには多くて満腹になった。そして眠気が襲来したのかもしれない。

 ここは俺が起こすべき——


「じゃあこの問題はー……。猫宮、解いてみろ」

「——っ!?」


 俺が起こす前に先生に当てられてしまった。

 猫宮さんは一気に目が覚めていた。


「どうした猫宮、解けないか?」


 猫宮さんはみるみる顔が青くなっていき、アワアワとして焦っている表情をしていた。


 猫宮さんがうたた寝をしてしまったのは俺のせいだ。

 よし、助けよう。


「せんせー、猫宮さんにノート貸してもらってました」

「ああ、そうなのか。じゃあ代わりに空音、いけるか?」

「はい」


 俺は問題の答えをスラスラと答えた。


「うむ、正解だ」


 一件落着だな。


 俺が安堵していると、隣から折りたたまれている紙の切れ端が投げられた。

 それを開くと、『ありがとう。助かった』と書かれてあった。


 それをポケットにしまい、授業を聞こうとしていたらなぜか隣から視線を感じた。

 チラッと横目で見ると、やはり猫宮さんが俺を見つめていた。

 俺がそちらを向くと、なぜかシュバッと顔を隠していた。


(なんか猫みたいだな……)


 それにしても何がしたいんだ……? もしかして手紙交換みたいなのがしたいのか?


 俺はそう思い、ノートの端をびりっと破った。

 すると隣からパァーっと嬉しそう効果音が聞こえてきた気がした。うん、気のせいだろう。


 俺はその紙の切れ端にすらすらと文字をか書き、猫宮さんの机に放り投げた。

 書いた内容は『寝顔可愛かったけど、猫被り忘れないようにね』だ。


 猫宮さんがその紙切れを開くと少し驚いた表情をし、頰をほんの少しだけ赤く染めていた。

 そして俺をギロリと睨み始めた。

 俺は知らんぷりして授業を受けた。


 その後は特に何もなく授業が進み、そのまま六時間目も終わって全ての授業が終わった。


「じゃあなー、鷹」

「ほなうちら先帰るでなー」

「おう、お前らまた明日な」


 涼牙や美兎、他のクラスメイトたちは帰り始めた。


 そしてクラスの一人の男子が猫宮さんに近づき、話しかけていた。


「鈴香ちゃん、今日一緒に帰らない?」

「……」


 このクラスで結構なイケメン且つ陽キャだが、猫宮さんは逆に苦手そうだな。

 猫宮さん現在進行形で無視してるし。


「あ、あの……。鈴香ちゃん……?」

「嫌よ。あなたを隣にして歩きたくない。一人で帰ってくれる?」

「ひぃん! わ、わかった……」


 陽キャ君は最後に情けない声を上げて撃沈した。

 俺は彼に手を合わせて幸運を祈ることしかできなかった。


 さて、俺はどうしようかな。

 今日の夜ご飯は昨日の残りのカレーだし、帰ってもすることがないんだよなぁ。

 あ、そうだ。テスト直しして帰るか。


 俺はバックのファイルからテストを取り出し、ノートに直しをしていた。

 ちなみに俺の順位はぴったり五十位だった。

 狙ってこの点だったから直しは余裕だが、書き写すのが面倒だ。


 俺は黙々とすべてのテストの直しを始めた。





「ふぅーー、終わったぁぁ……」


 全ての直しを終えた俺はぐぐぐと伸びをした。

 だがいつのまにか外の空は茜色に染まっていた。

 だいぶ集中して直しをしていたので時間を見ていなかった。


(そろそろ帰るか……。って、んん!?)


 家に帰ろうとしたのだが、どうやらただでは帰してくれなさそうだった。

 猫宮さんが数学の授業の時とは比べ物にならないほど爆睡していたからだ。

 机に突っ伏してよだれを垂らし、幸せそうに眠る猫宮さんの姿があった。

 幸いにもこのクラスには俺と猫宮さん以外誰もいなかった。


「え、えぇ……」


 どうする、俺。流石に起こした方がいいよな……。


 このまま猫宮さんをほおって帰ったら何となくずっと眠っている気がしたので、起こすことにした。


「猫宮さん、猫宮さーーん!」

「ん……んゅぅ……」


 肩をゆさゆさと揺らしたら猫宮さんがゆっくりと目を開けた。


「おはよう、猫宮さん」

「んん……おは、よう……?」

「うん、おはよう」


 寝起きの猫宮さんはぼーっと俺の顔を見つめていた。

 そしてだんだんと目が覚めてきているようだった。


「え、あ……あの……」


 猫宮さんの顔がみるみる赤くなっている。

 窓から差し込んだ夕日のせいではなさそうだ。


「大丈夫、誰にも言わないから」

「いや……。そういう、ことじゃなくて……」

「ん?」


 誰かに言われることを焦っているのかと思ったけど違うのか?

 兎にも角にも、早く帰らないと猫宮さんのご両親が心配しそうだ。


「猫宮さん、帰ろう」

「う、うん……」


 ——ってあれ? 地味に猫宮さんと一緒に帰ることになっているぞ?

 まあ今日はついてる日ってことにしとくか。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ちなみに作者である僕は何系かって?(聞いてない)


・カエデウマ-ナマケモノ+猫系作者


 ですね。名前に馬があるくせに馬ではないのです。


 もしよかったら皆様も何系な人か、感想で教えてくださ〜い。╰(*´︶`*)╯

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