第5話 自己紹介をしてなかった件!

「キミの名前は?」

 彼に名前を聞かれた。

羽根羽美はね はねみです」

 ポン!と手を叩いた彼。

「そうか、キミが四之宮クンが言ってた羽美クンか。あはは。なるほどなるほど」

 四之宮……クン?

「ええっ?!?!私の四之宮先輩をどうして貴方が知ってるんですかぁ?!」

 彼は苦笑してしまった。

「『四之宮先輩』か。あはは。コレは筋金入りの百合っ子だね。噂通りだ。うん、気が変わった。今日はボクの家に一緒に行こう」

 ?!

「え?!私、断った」

「そんなの却下に決まってるだろう!それに、キミは四之宮クンと会いたいんだろう?」

 ?!

「何故ソレを!」

 今度は失笑してる。

「キミは……。面白いな。好きな人のことを考えると、人は盲目になるとはよく聞くけれど、実際初めて見たよ。キミみたいなタイプは。待っててくれないか?四之宮クンのトコロに行こうじゃないか。車を呼ぶからさ」

『是非とも全力でお待ちしてます!!』

 4~5分後、高級そうな黒塗りの外車が到着。運転席から見た目50代の痩せ型の(タキシードを着てる)男性が降りて一礼。

「お待たせいたしました。コチラのお嬢様も御一緒で構いませんか?」

「ああ。彼女は羽根羽美さん。オレの彼女で今は四之宮クンに会いたいそうだ。丁重にな」

「かしこまりました」

 ?!?!?!

 え?

 ええっ?!

 なんでなんでなんで?!

 なんでただのおっさんニートにこんな車が呼べるの?!

「あの〜、スミマセン。貴方のお名前は……?」

「ん?なんだ。知ってて告白してきたモノとばかり思ってたら知らなかったのか。ん〜、そうだな。面白そうではあるからそれは到着してから答えるよ。それより外の景色は見えるかい?」

 外?

 ええっ?!

 超高級住宅街!!こんな区画なんて入ったこともない!貴方……何者なの?!


 ホント、面白い子だな。

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