第4話 告白を取り消してみた件!
いつもの学園の帰り道。いつもは四之宮先輩のコトを思い馳せながらイクのに今日の私は超ブルー。なんでこんなコトに……。
クラスメイト全員参加の王様ゲームで罰を引いてしまった私は隣に居た師岡っていう小物に発見されて、現在……あのおっさんニートの隣に居る。クラスメイトのDQN男子二人組に監視されながら。
ポンピーンーー。
「次は
あのおっさんニートが降りた。
「おい、降りるぞ羽美!今日『は』お前に罰を受けてもらうんだからなぁ?ぁ゛?状況解ってっか?ひゃはははは!」
『は』って何さ『は』って!
『いつも』の間違いでしょう!
腕を掴まれそうになるが、こんなDQNに汚されたくない私はさっさとあのおっさんニートの後を追う。
「ハハッ、よく分かってんじゃんよ。今日は記念日になるな」
おっさんニートの後を私が追いつつ、私の後ろをDQN男子二人組が追う図……。何のゲーム??ハァ……超ブルーやわ……。
おっさんニートが公園に入ったことを確認し私も続いて入る。
おっさんが向かった先はW.C.……?!ええっっ?!ここに入れ……と?!?!後ろを確認すると二人は居ない。
茂みに居た一人のDQN男子が頭を出して私に指令を出した。
「あのおっさんニートが出てきたら、言え!言葉はシンプルかつ大胆に、な!それとも俺の考えた嗤えるネタのヤツがいいか?」
どう考えても最悪なヤツ(コイツら二人も)だと理解。
「私が…… ちゃんと言うから!」
「へぇ、度胸あんじゃん!たっぷり魅せてくれよ?」
茂みに隠れたわね。
…………。
出てきた!ええい、ままよ!
「あ、あの!『貴方のコトが好きでした!つ、付き合ってください!!』」
「はい」
「そうですよね〜、駄目ですょ…、は?はいぃぃい?!?!」
茂みから様子を観ていた男子2人が大爆笑。その手に持つのはスマホ。どうやら動画で撮影されてたらしい。
「ぷふっ、あはははは!!良かったな〜。
「ククッッ。四之宮先輩のコトは綺麗サッパリ俺が後継いでやるからよ!安心しな〜!ハハッッ」
「おい、抜駆けすんなや!」
駅の方に走り去っていく二人。
「じゃあ俺たちも遊びに行こうか」
おっさんニートが手を差し伸べてきた。
「あ、あの」
?
解ってないって表情だ。
「手は洗いましたか?」
「ああごめんごめん。急に告られたから洗ってなかったよ。ちょっと待っててね」
超ブルーやわ。
しかし、ちゃんとあの二人の前で告白したし、あれが演技だったって言っていいよね?
おっさんニートが出て来た。こっちの事情を言おうとする。……寧ろさっきよりも緊張する。
「あの!さっきの告白は罰ゲームだったんで、この告白は無かったコトにしてもらえませんか?」
「はぁ?ふざけんな!なんで告白された場所で告白取り消されないといけないんだ?!」
年上の男性の怒号を肌で感じて萎縮してしまった。声が出ない。
「キミ、好きな子でも居るとかそういう中での罰ゲームだったのかい?」
表情が砕けて爽やかな笑みをコチラに向けながら語りかけてくる。
何この人。さっき目の前で怒った人と同じ人なの??
私は知らなかった。
この目の前にいる人と同じ電車に毎日乗っているってだけで、この目の前に居る人の全てを知った気になっていたってコト。
私は知らなかった。
大人の男性を怒らせるっていうことは父親を怒らせるのと同じくらいなものと思っていたけど全く違うものだったコト。
私は知らなかった。
今、目の前に居る人が、こんな色々な表情が出来る人間なんだってコトを……。
今、色んな感覚が私の中を駆け巡って凄く痺れたみたいになった。
目の前の彼に返答しなきゃいけないんだ。
「その、通りです」
目の前にいる人は笑ってた。とてもとても暖かな笑顔で。こんな断り方をしてしまったのにそれに対して全く怒らない。不思議な人…… だな。
こういう人は今まで私の周りには居なかったから、もっとこの目の前にいる人のことを知りたいと思ってしまった。
不思議と、自然に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます